ぎっくり腰にも種類がある!? 寒暖差も落ち着き、ようやく暖かい日が続くようになってきました。 冬の寒い時期はあまり動かないという人も、そろそろ運動や家での用事などで積極的に活動を始めるという方も多いんじゃないでしょか? そうなってくると増えるのが腰痛です。特にぎっくり腰。 暖かくなってきたし、冬動かなかった分、張り切って――――痛テテテ! なんて経験ないですか? ぎっくり腰と聞いてまず最初に思い浮かべるのは、腰を伸ばせない(伸ばすと痛い)という症状ではないでしょうか? 実際、ぎっくり腰でうちに来られるお客さんの殆どは痛みで腰を伸ばせないという方です。 しかし最近はその逆、腰を伸ばすことはできても腰を曲げることができないという方も増えてきました。 そういった方で症状が酷い場合は、やや腰を反らし気味になり脚をしっかり挙げて歩くことができません。 腱引き療法では、このタイプのぎっくり腰を〝浮き腰〟と呼んでいます。 昔は珍しい腰痛だったようで、腱引きでは10年にひとりあるかないかなんて言われていました。 実際、特定の年代以上の方がぎっくり腰になった場合、曲げて痛いという方はほとんどいません。 しかし逆にある年代以下だとこの浮き腰が急に増えます。 生活習慣の変化~しゃがむ習慣がなくなっている~ では曲げて痛いぎっくり腰――腱引きでいう〝浮き腰〟――が増える年代はどこからなのか? それは椅子に座る洋式の生活に慣れた年代以下の世代です。もっと言うとしゃがむことしなくなった世代です。 数年前になりますが、あるラジオ番組で「トイレで長居してしまう時、やっていることTOP3」というのを発表していました。 「雑誌を読む(第3位)」「漫画を読む(第2位)」を抑えて堂々1位に輝いたのは「メール、ネット」。 スマートフォンやタブレットが普及した現代では、家だけでなく職場や学校の個室トイレで……と言う人も増えているんでしょうね。 ところで、こうやって長居できてしまう理由ってなんだと思います? その答えがランキングの結果? 確かにそうなんですが、ではなぜトイレで雑誌(漫画)が読めるのか。またはメールやネットができるのか。 色々な答えがあると思うんですが、どれにも共通していることがありますよね? 個室だから? そうですね。でも、もう一つあります。 それは、座れるからです。 この時の設問では洋式トイレとは言っていません。 でも最近のトイレってほぼ洋式ですよね。昔と違って和式を殆どみない。 もしかしたら和式トイレを知らない子供もいるんじゃないかと思います。 それくらい洋式トイレが普及しているんですね。 そして洋式トイレは和式と違って、椅子のように座って使います。 これが、トイレでついつい長居してしまう大きな原因ではないかと思います。 現代ではトイレですら、椅子のように座る生活が当たり前になっています。 脚を深く曲げるのに使う筋肉。 昔の日本は〝しゃがむ〟という行為を頻繁に行う生活様式でした。 しゃがむというのは、脚を深く曲げるということです。 家では畳(或いは板間)の上に座ります。座るまでにまず脚をしっかり曲げ(=しゃがむ)ます。 また座るのもあぐらか正座が多かった。 この脚を深く曲げるのに関係してくる筋肉が、浮き腰の原因になります。 しゃがむという生活をしなくなったせいで、関係してくる筋肉が鍛えられなくなったからです。 更には通常のぎっくり腰と浮き腰の症状を併発している方もいます。 その浮き腰の原因筋肉とは――ずばり〝大腰筋〟です。 姿勢の維持に関係している大腰筋は柔らかく捩れやすい 大腰筋はインナーマッスルに分類され、姿勢の維持に関係してくる筋肉と言われています。 また骨盤の安定に大きく関わってくると言われています。 そしてこの大腰筋はいわゆるヒレ肉にあたります。 ヒレ肉と聞いてまず思い浮かぶのはなんでしょうか? 牛ヒレ? 豚ヒレ? シャトーブリアンなんて答えた方は、かなりグルメですね。私も一度くらいは食べてみたいものです、シャトーブリアン……。 いずれにしてもヒレ肉は〝柔らかい〟というイメージがあるんじゃないでしょうか? それは大腰筋もしかり。大腰筋は柔らかいんです。そして柔らかいということは捻れやすいということです。 腱引きではこの大腰筋がなんらかの理由で捻れてしまったため、〝浮き腰〟になると考えています。 捻れた大腰筋は正常な伸び縮みができなくなる。あるいは常に収縮した状態になる。 すると腰を曲げた際に骨格の動きに沿ってうまく伸びなくなくなるので痛みが出てきます。 普通の腰痛だって色々ある。 話は少し飛びますが、普通のいわゆる慢性腰痛にも色々なタイプがあります。 面白いのは「腰が痛い」と言っても、人によって示す場所が違うこと。 骨盤の少し上を示す人。臀部を示す人。背中寄りを示す人……などなど。 また腰痛の8割は原因不明と言われていますが、腰痛の原因の一つには筋肉の問題があると私は思います。 捻れやズレによって筋肉の正常な伸縮が阻害される(いわゆる〝筋ちがい〟)状態になっていると、腰痛になるということです。 ですから筋肉に対するアプローチである腱引きで腰痛が改善する。 そして阻害されている場所(筋肉)が違うから、人によって腰の痛い箇所が変わるのです。 正常な伸縮が阻害される(常に収縮した状態になる)。 すると腰を動かしたら筋肉が骨格の動きに沿うことができすに痛みが……あれれ? これって何かに似てませんか? そうです。上でも書いた、浮き腰の原因――大腰筋が正常に動かなくなる――に似ているんです。 ということは腰に関係する筋肉が正常に動かないことが腰痛の原因の一つ――とも言えるんですね。 大事なのは伸筋と屈筋のバランス 昔から腰痛になると「腹筋を鍛えろ」とか「背筋を鍛えろ」とか言われていますよね? 確かに、鍛えることによって腰痛が緩和するケースも少なからずあります。浮き腰の例で言えば大腰筋を鍛えることによって、浮き腰の症状を引き起こしにくくなります。 しかし鍛えても同じ筋肉を使い続ければ疲労が溜まり、やがては正常な伸縮が阻害される故障を引き起こします。 逆に言えば一部の筋肉に頼らなければ、筋肉の故障は減らすことができるということになります。 人間の動きは伸筋と屈筋――二つの拮抗する筋肉の伸縮が産み出しています。 大事なのはそのバランス。筋肉の連携になります。 その辺りのお話は次回に。 筆者プロフィール 河野 伸幸 筋整流法 専門指導施術師 筋整流法 東広島道場 道場主 350年続く武術流派の活法であった〝腱引き〟。その腱引きの技を元に現代に合うよう改良されたのが『腱引き療法』になります。 お店の名前が道場となっていますが、これは武術の活法が起源であること。また一方的に施術するだけでなく共に学び合う場所、という意味が込められています。 どこに行ってもダメと諦める前に、腱引き受けに来てみんさい!
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筆者プロフィール
河野 伸幸
筋整流法 専門指導施術師
筋整流法 東広島道場 道場主
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