〝気にする〟から〝気づく〟へ。 前回、「体のメンテナンスの基本は自分の体を気にすること」だという記事を書きました。その中で「自分の体のことを〝気にする〟あるいは〝関心を持つ〟ことによって、色々と気づくことが出てきます」という部分があったと思います。 どんなことでもいいから気にしてみる。すると「なんか疲れてるな」とか、逆に「意外と元気だぞ」とかみたいに、何かしら気づくことが出てきます。自分の体を気にすることによって体の状態に気づくのです。 とは言っても「何を気にすればいいのか分からない」という方も多いはず。 そこでまず、普段行っている「歩く」ということを気にしてみましょう。 どんな歩き方をしているのか気にしてみる。 移動手段が多様化した現代では、昔ほど歩かなくなったと言われています。だからわざわざウォーキングなんて運動が流行ったりします。それでも普段の生活で数メートルすら歩かないという方は、特殊な事情の方を除けばいないはず。 そこで質問です。 あなたは歩く時、どこから着地していますか? 実際に気にして歩いてみてください。 歩くというのは普段何気なくしている行為なんじゃないかと思います。でも改めて気にしてみると、多くの人が〝踵〟から着地していることに気づくと思います。 踵から着地してつま先へと体重を移動させ、地面を蹴って進む。殆どの方はこの歩き方をしているはずです。そしてこの踵着地の歩き方は「膝を曲げずに歩幅を大きくとる」とセットでウォーキングの正しい方法として語られています。 靴ありきの洋式歩行。 ウォーキングで言われる正しい歩き方は洋式の歩き方 実はこの歩き方は靴ありき。洋装ありきの欧米人が行う洋式の歩き方になります。 踵から着地して順に指先まで接地して蹴り出す、いわゆる「後方蹴り出し」を推進力とした歩き方です。そして残した脚を真っ直ぐ伸ばして(膝は曲げない)、蹴り出した後は振り子のように脚が後方から前方へと移ります。 見た目にもダイナミックで「颯爽と歩く」という表現にふさわしい歩き方になります。また振りだした脚と逆の手を腕腰の捻りによって腰の捻れも生まれます。 歩行の脚の動きは2種類ある 歩行は立脚相と遊脚相という脚の動きに分かれます。 洋式歩行の場合、立脚相は踵の接地から始まり、足趾で蹴り出す(つま先部分が離れる)までを言います。 遊脚相は蹴り出して足そのものが地面から離れたあと、体幹の前に振り出され再び踵が接地するまでをいいます。 通常は立脚相が60%。遊脚相が40%の割合で歩行を行います。 くせ者なのは立脚相の始まりである踵接地。洋式歩行では脚を伸ばした状態で踵から接地するため、つっかえ棒のような働きをします。すると全体重が踵へ載るので衝撃はかなりのもの。更にはこの歩き方で坂を下ると衝撃は増すことになります。 そのため靴の踵部分は厚く衝撃を吸収できる構造にして、守らないといけません。 屋内では靴を履かないのが日本の生活。 歩く度に「ドンドン」と音がしていませんか? 日本では常時靴を履いているという生活ではありません。家などの居住空間では靴を脱いで生活します。しかし生活習慣も変わり洋式歩行に慣れた現代人は、靴を履かない時でも踵から接地する歩き方をしてしまう人が殆どなのです。 試しに素足でフローリングの床を歩いてみてください。この時に「ドンドン」と歩く度に音がしていると、踵着地で歩いています。更にこの音を気にしながら歩いてみると、思いのほか踵の接地音が大きいことに気づくんじゃないでしょうか? それくらい踵着地では衝撃があるのです。 中には踵から〝着く〟というより踵で〝突く〟ような歩き方をしている人もいらっしいます。そうなってくると……どうなるかはご想像の通り。 〝突く〟歩き方だと体に負担が掛かる 踵で〝突く〟歩き方だと着地の衝撃がそのまま脳へと伝わります。正確には膝もあるし股関節もあるし、背骨のアーチもあるし……で衝撃を緩衝する場所はたくさんあるので、そのままと言うのは言い過ぎです。 でも、通常の歩き方よりも体に負担が掛かることは間違いないです。特に洋式歩行だと膝は伸ばした状態で踵を接地しますのでクッションが少ない状態になります。 そうするとどうなるか? 勘の良い方はもう気づいていると思いますが、膝や腰といった部分を痛めやすくなります。場合によっては首なども。 これは程度の大小はありますが、普通に踵を着く歩き方をしている場合にも起こる可能性があります。だからウォーキング(ランニングも)をする際は足を守ってくれる靴選びが重要と言われるのです。 オススメしたいのはつま先着地の歩き方。 では洋式歩行が必ずしも悪いのかというと、そういうわけではありません。 しかし日本で生活するには洋式歩行よりも向いた歩き方があります。それはつま先着地の歩き方。いわゆる和式歩行の歩き方です。 和式歩行というのはどういうものなのか。その歩き方をすると何がいいのか、は次回に。 それまで自分なりにつま先着地を〝意識して〟歩いてみてください。 恐らく8割近くの方がぎこちない歩き方になると思います。なぜぎこちなくなるのか……これも考えてみてください。 筆者プロフィール 河野 伸幸 筋整流法 専門指導施術師 筋整流法 東広島道場 道場主 350年続く武術流派の活法であった〝腱引き〟。その腱引きの技を元に現代に合うよう改良されたのが『腱引き療法』になります。 お店の名前が道場となっていますが、これは武術の活法が起源であること。また一方的に施術するだけでなく共に学び合う場所、という意味が込められています。 どこに行ってもダメと諦める前に、腱引き受けに来てみんさい!
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筆者プロフィール
河野 伸幸
筋整流法 専門指導施術師
筋整流法 東広島道場 道場主
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