まずどこが動くかを知ろう。 前回「今、からだがどうなっているのか意識してみよう」という話を書きました。 体は脳と常に情報のやりとりをしています。しかし全部の情報のやりとりを意識しているわけではありません。 それと同じで体の中でも動かせるのに、普段動かしていないという部分もあります。 動かせることに気づいていないのです。 まず次の運動をしてみてください。 ・床もしくは机に手のひらをついてもらい、手首から肩までを垂直方向に一直線(腕を伸ばした状態)にしてもらいます。 ・できれば手首と肩は垂直に並んだ状態が望ましいです。 ・その状態(腕を伸ばしたまま)で肘を、反時計回り・時計回りに回転させてもらいます。 ※この時、肩が動かない(ブレない)事。手が肘の回転に合わせて動かない事。この二点をクリアしていればできているとします。 これを東広島道場では「肘の回内・回外運動」と呼び、「肘周り」「肩周り」の不調を抱えたかた向けの運動として指導しています。運動指導というのは腱引き療法の特徴のひとつで、前々回に紹介した「スパイラル運動」などもそうです。 この「肘の回内・回外運動」のような動きは、普段の生活の中でまずしないと思います。しかしこの動きがスムーズにできると、普段の生活で行う動作にもプラスの効果がでます。 人間は手を器用に使って道具を扱うことができる動物です。そして人間の手(腕)はいくつもの筋肉から成り立っています。筋肉そのものは縮む・緩む(伸びる)という運動しかできません。 しかしいくつもの筋肉が互いに連携して手(腕)の複雑な動きを生み出しているのです。 「肘の回内・回外運動」ができている場合、個人的には腕の筋肉が細分化ができていると言っています。 ひとつの動作をする際、筋肉には動くべき順番があります。正しい順序で筋肉が動作(収縮)するとよいのですが、筋肉の一つに異常があれば他の筋肉でカバーするようになります(もしくは動作そのものが不可能になる) これと同じで、明確な不調がなくとも腕の細分化ができていないと動かせるはずの筋肉を使わずに一定の動作をしていることになります。 動かせることに気づけていない。 実は「肘の回内・回外運動」を教える際に、まず肘の動きの確認をしてもらっています。 手の甲を上にして腕を前方水平に伸ばし、甲を翻さないで肘の裏側を上にできるか、というのをしてもらうのです。 ここでまず、できる人とできない人に分かれます。私の経験上では約8割~9割の人ができません。 そしてできない人も二つに分かれます。 一つは手の甲が翻ってしまう人。もう一つはそもそも動かす事ができない人。 このどちらかによって、その人がどの部分まで細分化できていないかというのが分かります。 これは機能的にできないのではなく筋肉の細分化ができていないため、動かすべき筋肉と動かさない筋肉の違いが分からないのです。 その証拠に「肘の回内・回外運動」をすると、ぎこちないながらも肘回りの回転が出来ていると思います。また他人が手を動かないように固定してあげても、肘の部分みを回転することができるはずです。 使える筋肉を使わないのはもったいない。 この状態を神経回路ができていないと言う事もあります。筋肉を動かすための運動神経に伝達経路ができていないんですね。だから脳の動作プログラムが作れないのです。 でも日常生活の範囲内で行う動作では、できなくても不便ではないわけです。 しかし一つの動作に多くの筋肉が連携できることにより、各筋肉の負担というのは減ります。そして細かい連携を行えるので動きそのものが柔らかくなります。 すると無理がない分、故障しにくい体になります。 動かせるはずの筋肉を使わないということは、実はもったいないことなのです。 ちなみに最初から「肘の回内・回外運動」ができる人や、できるようになった人にはもう一歩進んで腕を動かす時に意識してもらうことがあります。 それは腕の付け根。 みなさんは、腕ってどこからどこまでだと思いますか? 次回までに考えてみてください。 筆者プロフィール 河野 伸幸 筋整流法 専門指導施術師 筋整流法 東広島道場 道場主 350年続く武術流派の活法であった〝腱引き〟。その腱引きの技を元に現代に合うよう改良されたのが『腱引き療法』になります。 お店の名前が道場となっていますが、これは武術の活法が起源であること。また一方的に施術するだけでなく共に学び合う場所、という意味が込められています。 どこに行ってもダメと諦める前に、腱引き受けに来てみんさい!
筆者プロフィール
河野 伸幸
筋整流法 専門指導施術師
筋整流法 東広島道場 道場主
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