前回(連載第2回目のコラムは>>こちら)のお話で足指の変形によって筋肉の使い方が変わり、膝痛や腰痛を引き起こすことを分かっていただけたでしょうか。今回は、そのほかの代表的な足指の変形を解説します。 外反母趾(ぼし) 両足をそろえて座ると、左右の親指の間にVの字の隙間ができます。そこに手の人さし指が、足指の付け根部分まで入ると「外反母趾」です。体を支える大黒柱である親指が曲がることによって指の神経が圧迫されると、靴を履かなくても痛むようになります。近年は、先のとがったヒールを履く女性だけではなく、子供や男性にも急増しています。 寝指(ねゆび) 親指に比べると存在感に欠ける小指。でも手に小指がなければ、しっかりと鍋を持つことも、バットを振ることもできません。足も同様で、小指が使えなければきちんと歩けません。 小指や薬指が真横に寝転んでいたり、「く」の字に曲がったりしていたら「寝指」。爪が小さい人や、爪の生え方に異変がある人は寝指の可能性大です。 親指の爪の向きが斜めを向いている状態で、親指の真横にタコのある人は寝指です。 屈(かが)み指 上から自分の足を見て、第2~4指(人さし指│薬指)の爪が、真下を向いていたり、見えにくかったりしたら「屈み指」です。足指の裏、足指先、もしくは足指の関節の上にたこや赤黒い染みのある場合が多いです。 内反小指 ボールペンや定規などを小指側に当て、爪のところに隙間があれば内反小指といいます。小指の付け根が赤い、小指の爪が小さい、薬指と小指の間にタコができていれば可能性が大きいです。 きちんとケアをすれば外反母趾も改善する さて、しげしげと自分の足を見ると、正常な人の方が少ないと思います。 かく言う私も20代のころは、サイズの合わないウエスタンブーツを無理に履き、ひどい外反母趾でした。腰痛にもなり、寝返りやしゃがむ動作も困難な状態。スポーツで筋力をアップさせても腰痛の改善には至りませんでした。 その後、足指と全身の関係を知り、日常生活を見直してさまざまなケアを施すと、人さし指に乗りかけていた親指が、以前と比べものにならないほど真っすぐになりました。それとともにいつしか腰痛も消えていました。 足指の変形は間違った靴選びや靴の扱い方にあり 現代人の足指の変形には、間違った靴選びや靴の扱い方にあります。 足指の変形は足裏の筋肉を低下させ、偏平足や開帳足、内反足の原因となります。 足には3つのアーチがあり、3脚カメラと同様に3点でバランスを取っています。これは2点でも1点でも4点でもなく、3点だからこそバランスが良いのです。 しかし多くの方は偏平足や開帳足となって、非常にバランスの悪い状態で立っているので、疲れやすく、フラフラしたりします。足の裏のアーチ(土踏まず)が大いに関わっているのです。 次回から、それを改善するための靴の選び方や履き方、歩き方を紹介します。 一生元気でいたければ足指を広げなさい 著者名:湯浅慶朗 出版社:あさ出版 著者プロフィール: 湯浅慶朗(ゆあさよしろう) 理学療法士 みらいクリニック付属フットケアセンター長 西日本新聞で22回連載 NHK放送 「サキどり」に2回出演 フットケアセンターでの足腰の悩みに取り組む他、専門家向けの講演で全国のみならず、海外でも講演会を行い、世界各地を飛び回わる傍ら、独自ブランドの足指を矯正する靴下ゆびのばソックスの開発や研究も行い、活動は多岐にわたる。 Anan、日経ヘルス、クロワッサンなど多くの雑誌にも掲載。 あさ出版「一生元気でいたければ足指を伸ばしなさい」など著書多数。
著者プロフィール:
湯浅慶朗(ゆあさよしろう)
理学療法士
みらいクリニック付属フットケアセンター長
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