悩む必要はありません。
私も猫背です。六十数年この姿勢で生きて来ています。
確かにショーウインドウに写る自分の姿が思ったよりかっこ悪いと思うことはあります。
でも、特に肩こりはありません。腰痛も一時ギックリが癖になったこともありますが、今は全く問題ありません。
見た目だけの問題です。
猫背に全ての責任を追わせるのは得策ではないですよ。
猫背が治らないと腰痛から肩こりから全て良くならないと考えるのはやめた方がいいです。
腰痛や肩こりを楽にするのはそんなに難しくないですが、猫背を治すのはそれはそれは大変なことです。
テレビなどで、あっという間に背筋を伸ばしてしまうパフォーマンスがありますが、あれってすぐ戻ってしまいます。
私の施術も終了後は背筋が伸びていますが、こんなのってそんなに長持ちするものではありません。そんなのにだまされてはいけません。
猫背が治らないとは言いませんが、姿勢は癖と同様、筋肉に織り込まれているだけでなく、脳に書き込まれていますので、これを書き換えるのはそれはそれは大変な時間と労力が必要です。
しかも、その労力は誰かがやってくれるものではなく、ご自分でやらないといけません。
痛みは整体とかで誰かが軽くしてくれますが、猫背は他人では治せません。
整体では、ご自分の姿勢を診断・分析してもらい、何を気をつければ猫背が矯正できるかを指導してもらい、そのための筋肉を緩めてもらったら、あとはご自分の努力になるでしょう。
他人に頼れるのは努力の5%程度であとの95%はご自分の努力になります。
ではその覚悟ができたとして、猫背の修正の仕方です。
まず背中猫背か、首猫背かを見極めましょう。
壁を背中にして、かかとを壁に着けて立ちます。
お尻も付けましょう。
背中はつくと思いますが、肩はどうですか。
首猫背なら、背中と肩はあまり苦も無くつくと思いますが、頭をつけようとするときついと思います。首だけが前に出ているタイプです。
肩も頭もつけるのに苦労するなら背中猫背ですね。背中に頂点があって、そこから肩も頭も前に出ているタイプです。
背中から前に出て、さらに首が前に出ているタイプもあります。
当然、前に出ている部分を後に引き戻す努力が必要です。
ただ、肩だけ、首だけ後に下げようとしてもそう簡単ではありません。
まず筋肉がその形で固まっていますので、ストレッチなどで緩める必要があります。
整体などで緩めてもらうのもひとつの方法です。
それでも簡単には後に下げられません。
それは、からだのカーブはそこだけで起きているからではないからです。
背中のカーブも首のカーブも全身のカーブの一部です。全身のカーブを考えなければ、背中だけ、首だけ曲がりを戻そうとしても無理があります。
カーブは要は姿勢の問題ですので、身体の中心に近い要である骨盤を考えるか、立つときに地面の上で支えている足首を考えると分かりやすいです。
場合によっては、口の咬み合わせが姿勢に影響してくる場合もあります。
とりあえず一番簡単な骨盤を考えましょう。
人間は四つ足から立ちましたので、骨盤は少し前に倒れているくらいの形で身体は設計されています。
でも、楽な姿勢を取ろうとすると骨盤を後に倒してしまいます。
骨盤が前に倒れていると、そこから小さなカーブが背骨や上半身にできて、トータルすると真っ直ぐな身体に見えます。
ところが、骨盤が後に倒れると、そのまま背中は後の方向に大きなカーブを描いてしまい、背中を頂点に前の方へのカーブになってしまいます。
ですので、まず骨盤を前に倒し気味にしましょう。
そうすれば、胸を張りやすくなり、肩や首を後に下げやすくなると思います。
また、立った時に、つま先に重心が乗ってしまうと、お腹が出る形で体全体が前方向に大きくカーブしてしまい、首だけが前に出てしまいます。いわゆるスウェイバックの姿勢になります。
立つときの重心は足の裏の中央、少しかかと気味ぐらいにすると、骨盤も前傾しやすくなり、首も肩も後に下げやすくなると思います。
何度も言いますが、これらはあくまでも姿勢の問題で痛みの問題ではありません。
腰痛や肩こりはこれらの一部で対応できますので、猫背が治らないと全てがうまくいかないなどと考える必要はありませんし、悩む必要もありません。