お風呂に入るのだって「体のメンテナンス」 以前に『体のメンテナンスの第一歩は、自分の体を気にすること。』の中で「お風呂に入るのだって「体のメンテナンス」をしてるって言えるんです。」と書いたと思います。 この時に書いたコラムの主旨はタイトルにもあるように「自分の体を気にすることがメンテナンスの第一歩です」ということでした。 ですからこの場合のお風呂は、体の汚れや汗を気にして清潔にするために入るという意味合いが大きいです。 でもお風呂に入るというのはそれだけの意味ではないんですよ……というのが今回のお話。 「お風呂に入ってしっかり温まってください」 腱引き療法では施術後に「お風呂に入ってください」と言って入浴を勧めます。 他の整体だと「施術を受けた後は、お風呂に入らないでください」というところも多いと思います(最近は入浴を勧めるところも多いみたいですが) ポイントは「お風呂に入る=入浴」ということです。 入浴すると何が良いのかというと、一番の理由はやはり温まるということ。 温まることによって体中の血流が良くなります。 すると老廃物の排出が捗りますし、血液を通じて体中に栄養を運ぶことができます。 すると体は睡眠と合わせて回復していきます。 昔から湯治という言葉がありますが、温泉(お風呂)に入るのが良いというのは昔から知られていたんですね。 日本には浴槽にお湯をはり、その中に浸かるという文化があります。 仏教伝来の頃に建設された寺院に湯堂があり、それが日本でのお風呂の始まりという説もあります。 しかし風呂文化が大きく花開いたのが江戸時代。 湯屋(風呂屋)と呼ばれる、いわゆる銭湯が庶民の社交場となったのです。 ちなみに浴槽のことを湯舟と言いますが、昔は実際に舟の中に浴槽を作って入れ居るようにしたものがあったそうです。 その名もズバリ「湯舟」。日本の浴槽のことを湯舟というのは、この「湯舟」から来ているとも言われています。 鍵は成長ホルモン 入浴をしてもらう時は40度前後のお湯で体をしっかり温めること。 すると体温の低下がスムーズになり深い眠りにつける。そして深い眠り(=質の良い眠り)は疲労回復力が高いのです。 その鍵となるのが成長ホルモンという物質。 この成長ホルモン出てくることでが陳代謝を活発にし疲労を回復させるのです。 若い頃ほど多く分泌されるのが成長ホルモン。寝て起きるだけで元気になる子供の回復力にも納得です。 でも年齢を重ねても成長ホルモンは出てきます。さすがに若い頃のようにはいきませんが。 入眠後三時間以内が成長ホルモンがもっとも多く分泌されると言われます。また眠りが深いほどより多くの成長ホルモンが分泌されます。 そしてシャワーよりも入浴後の方が深い眠りにつきやすいのです。 シャワーのみで体の芯から温まることは難しいです。 質の良い眠りにつくためには上にも書いたように、体がしっかり温まりスムーズな体温の低下という過程が大事になります。 これが入浴を勧める理由です。 ちなみに成長ホルモンの分泌が活発になるのは入眠後三時間以内だけではなく毎日22:00~2:00の間にも多く分泌されると言われています。 二つの「ヒートショック」 ところで冬の入浴などでは浴室と脱衣場の温度差が激しいので気をつけて入浴してくださいという話を聞いたことがないですか? 短時間で急激な温度変化が起こることによって血圧の急激な上昇や下降が引き起こされ、体に大きな負担をかけるため突然死の原因になると言われています。 これを「ヒートショック」といい、高齢であったり高血圧であったり、糖尿病や動脈硬化の病気をもっているなどの要因で「ヒートショック」に耐えられなくなると言われています。 入浴して温まることが大切なのですが、寒暖差の激しくなる冬は少し気をつけたいものですね。 それとは別に「ヒートショックプロテイン入浴法」というものがあります。 「ヒートショックプロテイン(HSP)」とは傷ついた細胞を保護・修復してくれるタンパク質のことで、「細胞に対する熱などのストレス」により発現します。 この「細胞に対する熱などのストレス」を入浴方法を少し替えることによって与えてしまおうというのが「ヒートショックプロテイン入浴法」になります。 簡単に言うと 「42℃のお湯に合計10分入浴」(40℃ならば20分。41℃ならば15分) 「体温は38℃まで上がるのが理想」 「出た後も10~15分は体を冷やさない」 「入浴の前後で水分をちゃんと補給する」というもの。 この入浴法で体は元気を取り戻すのです。 HSPの増加は2日後がピークになりそこを前後に数日は持続するそうです。 また耐性ができるとストレスを感じなくなるので効果も低減します。 なので、この入浴を行うのは週二回までと言われています。 同じ「ヒートショック」という言葉でもこいうった違いが出てくるのは面白いですね。 四季を通じて入浴を。 入浴は気をつけるべき点もありますが「お風呂に入る=入浴」することによって多くの恩恵をもたらします。 うちに来られるお客さんでも多いのが「夏は暑いからシャワーで済ます」という方。 あとは温泉に馴染みのない、四季を通して比較的暖かい地域でもシャワーで済ませるという方が多いように思います。 上にも書いたようにシャワーでは体の芯から温まりません。 人間は約37℃の体温が理想とされています。しかし現代では36℃よりも体温の低い人が多いと言われています。 またシャワーで済ますよりも毎日入浴する習慣を持つ人の方が、幸福感は高いという調査結果も出ているようです。 湯舟に浸かって身も心もリラックス。ストレスから来る心の疲れも癒されます。 つまり入浴は、心と体の回復をするのに非常に理にかなった方法だと言えるわけです。 せっかく日本には湯舟に浸かるというお風呂の文化があります。 ぜひみなさんも湯舟に浸かって一日の終わりに体のメンテナンスをしてください。 筆者プロフィール 河野 伸幸 筋整流法 専門指導施術師 筋整流法 東広島道場 道場主 350年続く武術流派の活法であった〝腱引き〟。その腱引きの技を元に現代に合うよう改良されたのが『腱引き療法』になります。 お店の名前が道場となっていますが、これは武術の活法が起源であること。また一方的に施術するだけでなく共に学び合う場所、という意味が込められています。 どこに行ってもダメと諦める前に、腱引き受けに来てみんさい!
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筆者プロフィール
河野 伸幸
筋整流法 専門指導施術師
筋整流法 東広島道場 道場主
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