「ココロとカラダ再生研究所」蒼穹堂治療室(そうきゅうどう)の高澤昌宏です。
>右肩が上がらなくなり、背中を掻くことも難しくなりました。
(中略)
>エコー検査やレントゲンも行ったのですが、お医者さんの診断はシンプルに典型的な四十肩ですとのこと。
と書かれています。
ここで確認しておかなければならないのが、この四十肩/五十肩がどのような意味で使われているのか?ということです。
ご存じかもしれませんが、四十肩/五十肩というのはただの俗称であって診断名(正式な疾患名)ではなく、使われ方にも大きな幅があります。狭い意味での四十肩/五十肩は肩関節周囲炎のことですが、特に40代以降の人で肩周りに痛みや可動制限がある場合に、それを広い意味で四十肩/五十肩と呼ぶこともあります(というか、むしろそちらの方が多いかもしれません。実際、ウチに「医者には四十肩/五十肩と言われた」と訴えて来る患者の多くは、明らかに肩関節周囲炎でない人たちです)。なので誤解を防ぐために以下、四十肩/五十肩という言葉は避けて、肩関節周囲炎とその他に分けて述べます。
肩関節周囲炎は読んで字のごとく、肩関節周囲の炎症によって強烈な痛みや可動域の低下が起こるもので、症状は一般に前期と後期に別れます。前期はしばしば夜間痛がひどくて眠れない、ということを訴えます。後期になると痛みは消えますが、可動域の低下が起こり、凍結肩(フローズン・ショルダー)などとも呼ばれます。
肩関節周囲炎の前期は安静にしてひたすら炎症を抑えるしかないので、正直、治療院、整体院などでできることはほとんどありません。私の知る、日本でも名の知られた治療家の先生も、この時期の患者を診るのはイヤだと言ってました(やれることが限られる上に結果も出ないため)。私もこの時期の患者が来たら、「ウチに来るより整形外科でブロック注射でも受けた方がいいです」と言います。逆に後期は痛みはなくなるので、できるだけ肩周りを動かして可動域を広げるようにします。やり方が分かれば1人でもできるので、アイロン運動などをネットなどで調べてみて下さい。
次に肩関節周囲炎以外の肩周りの痛みについて。これは肩周りの骨、靱帯・筋・筋膜などの局所的な問題によるのか、それ以外の問題(内臓の問題や時には心理的な問題)から来ているのかを切り分ける必要があります。とかく「肩周りが痛い、肩が動かない」というとすぐ「骨が…」「筋肉が…」という発想になってしまいがちですが、例えば肝臓が腫れて右側胸部の皮膚を下に引っ張っていたために、右肩に痛みが出たり動きづらくなっていた患者もいます。また心疾患によって肩周りに関連痛が現れるのも、よく知られたことです(あなたは病院を受診しているので、そういう可能性は低いと思われますが、「ない」と決めつけることはできません)。心理的なストレスも、首や肩に身体的な症状を引き起こすことがあります(私自身、自分の体でそうしたことを経験しています)。
>半年ほど経ちましたが、まだ痛みが引きません。私はどうすれば良いのでしょうか?
ということでずが、まずは四十肩/五十肩がどういう意味で使われたのか、そして肩関節周囲炎ならば今どの段階なのか、肩関節周囲炎でないなら原因は何なのか、といったことを医師に尋ね、これからのことを相談することがまずは必要かと。その上で、場合によっては医療機関以外の治療院、整体院などを考えてみるのもアリでしょう。
──
蒼穹堂治療室
埼玉県草加市吉町2-3-10レジデンス草加1-B
TEL:048-922-7695
https://sokyudo.sakura.ne.jp