「ココロとカラダ再生研究所」蒼穹堂治療室(そうきゅうどう)の高澤昌宏です。
まだまだ治療業の世界では慢性腰痛に対して、「それは姿勢が悪いからだ」とか「骨盤の歪みから来るものだ」とか、原因を構造的な問題に帰着させようという傾向が消えていませんが、もう世界の医学会では慢性腰痛の原因が構造的な問題にある、などという議論は消えつつあります。
日本の整形外科でも、マトモな医師は「ほとんどの腰痛の原因はヘルニアだ」などということはもう言いません(もちろんヘルニアが原因で起こる腰痛があるのは事実ですが、割合は少ないです)。
慢性腰痛について現在、世界の医学会で主流になりつつある考え方は、「腰痛が慢性化してしまう人は、腰痛に対する考え方に何かしらの傾向がある」というものです(これは慢性腰痛を「生物医学的側面」からではなく「生物社会心理的側面」から見る、ということを意味しています)。
実際、イギリスではそうした考えに則って、Keele Universityを中心に、その腰痛が慢性化するかどうかのリスクを調べる「STarT Back Screening Tool(スタートバックスクリーニングツール)」が開発され、医療の現場で運用されています。
その詳しい内容は、私のHPのコラム記事をご覧ください。
http://sokyudo.sakura.ne.jp/z-0036.html
ここに挙げられた質問項目を見てもらうと、姿勢がどうとかいうことは全く問われていないことが分かります。つまり、腰痛が慢性化するかどうかは姿勢など構造的な要因ではなく、心理的要因が非常に大きいということなのです。
ですから、腰が辛い時に整骨院に行くことは否定しませんが、腰痛をもっと深いレベルで何とかしたいと思うなら、あなたが慢性的な腰痛になるに至った心の状態まで考えていく必要があるでしょうね。