慢性片頭痛とは? 片頭痛発作が起こった後、長くても2,3日で治まることが多いですが、中には、15日以上頭痛が続くことがあります。 この長引く片頭痛を慢性片頭痛と呼んでいます。 慢性片頭痛の特徴は以下の通りになります。 慢性片頭痛の特徴 1.緊張型頭痛または片頭痛、あるいは、その両方が、1ヶ月に15日以上起こる、また、その症状が3ヶ月以上続く 2.前兆の無い片頭痛発作を少なくとも5回以上、経験した後に、また、頭痛が起こる 3.少なくとも3ヶ月以上に渡り、片頭痛発作が月に8日以上ある 4.片頭痛に効果があるトリプタン系、エルゴタミン系の薬を飲むと、頭痛が軽くなる 5.お薬を乱用して、飲み過ぎていない、他の病気が無い 慢性片頭痛による頭痛は、必ずしも典型的な片頭痛の症状を伴うとは限りません。緊張型頭痛とよく似た症状になることがあります。 ただ、トリプタン系のお薬によく反応することから、通常の緊張型頭痛とは異なると、考えられています。 現在のところは、軽症の片頭痛が、緊張型頭痛様の頭痛として現れているのではとされています。 慢性片頭痛における問題点は、いわゆる痛み止めを多用することにより、薬物乱用頭痛になる可能性があることです。 お薬を多く飲む事により、薬の成分が残り、脳や身体に影響を与え、精神的な症状や身体のだるさが出てきたりします。 これにより、ますます頭痛がひどくなるという悪循環が起こります。 慢性片頭痛は発作性片頭痛より、障害度が高く、生活の質(QOL)も低いことが分かっています。 また、痛みが長期に持続することから、ストレスが強くなり、うつ病などの精神的な病気を引き起こしやすいことも知られています。 片頭痛と脳血管障害の関係 片頭痛と脳血管障害との関連につきまして、以前から多くの研究が行われています。 その中でも、片頭痛患者さんにおいて大脳深部白質病変やテント下病変のみられる比率が、健康人と比較して高いことが報告されています。 片頭痛と脳卒中の関係を見た研究結果を以下に示します。 片頭痛患者さんの虚血性脳卒中の相対的危険度 片頭痛全体:2.16倍 前兆のある片頭痛:2.27倍 前兆の無い片頭痛:1.83倍 経口避妊薬を使用:8.27倍 45歳未満(男女):2.36倍 45歳未満の女性:2.76倍 喫煙者:9.03倍 研究結果からは、前兆のある片頭痛患者さんでは、虚血性脳卒中のリスクが健康な人に比べて、2倍程度高いことが分かります。 また、タバコを吸ったり、経口避妊薬を飲んでいると、さらにリスクが高くなることも理解できます。 片頭痛と経口避妊薬 片頭痛患者さんが経口避妊薬を使用すると、片頭痛が悪化することが分かってきています。 現在、日本おいては、前兆のある片頭痛患者さんに、エストロゲンを含む経口避妊薬を使用することは禁止されています。 また、前兆の無い片頭痛であっても、慎重に投与するかどうかを判断するべきとされています。 この経口避妊薬は、結合型低用量経口避妊薬と呼ばれ、日本において最もよく用いられている避妊薬です。 片頭痛患者さんが、何らかの理由で避妊薬を用いたいと思い、婦人科に行かれた場合は「片頭痛持ち」であるとことを伝えることが大切になります。 まとめ 片頭痛の解説も今回で最終になります。 片頭痛からは、単なる頭痛としか印象付けられませんが、意外に多くな病気とつながっています。 特に脳卒中との相関性が高いことには、注意が必要です。 女性の場合は、低用量経口避妊薬の使用する場合に注意が必要になります。 片頭痛持ちなので、「仕方がない」とあきらめずに、治療を続け、症状が出ないようにすることの大切さを知っていただければと思います。 筆者プロフィール 夘野 裕樹 鍼灸院 天空院長(ポラリス株式会社 代表)資格:鍼灸師 所属学会:全日本鍼灸学会(認定鍼灸師)/日本線維筋痛症学会 鍼灸師になり30年以上が経ちました。 20代で一度、開業しましたが、阪神淡路大震災で閉院しました。 その後、整形外科や整骨院に勤務していました。 あなたが思っている以上に鍼灸はいろいろな病気に効果があります。 この鍼灸の良さをもっと広く社会に知ってもらいたいと思い、改めて、鍼灸専門の治療院を開業しました。 毎日、鍼灸治療と後進の育成に励んでいます。
筆者プロフィール
夘野 裕樹
鍼灸院 天空院長(ポラリス株式会社 代表)
資格:鍼灸師
所属学会:全日本鍼灸学会(認定鍼灸師)/日本線維筋痛症学会
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