薬物乱用頭痛を断ち切るには? 「週に1回は頭痛薬を飲んでいる・・」 「もう10年以上も薬が手放せないでいる・・」 ”頭痛持ち”と呼ばれる人、もしくは日本の頭痛難民とも呼ばれている人口は、推定でも3000万人以上はいるといわれています。 この驚くべき数字を見ると、まさに日本人の4人に1人は、何かしらの頭痛に悩まされているというのが現状です。 しかしその内の9割以上の方が行っている解消法は、いまだに「投薬のみ」というのも残念な実情です。 これまでにどれだけの量の鎮痛剤を、体のなかに取り込んできましたか? にも関わらず、いつまで経っても頭痛が治らないのは、いったいなぜでしょうか? できれば薬は使いたくない。このまま薬を使い続けていいのだろうか?どんどん薬が効かなくなってきている。 いつか本当に薬が効かなくなったら、いったい自分はどうなってしまうのだろうか? 頭痛に悩まされている人の多くが、頭痛薬を使い続けることには大きな抵抗を感じ、また使い続けることに対する不安や恐怖は、頭痛が慢性化すればするほど年々増していくばかりです。 頭痛は頭蓋骨の外で起きている! 頭蓋骨の中で起きる頭痛は、全体の0.1%にも及びません。 片頭痛などで、あまりにも強い痛みが発生していると、「頭蓋骨の中で何か重篤な問題が発生しているのでは!?」とか、「脳に異常が起きたのでは!?」と不安にもなりがちですが、頭蓋骨の中で起きる頭痛は、脳腫瘍やクモ膜下出血など、生命の存続に関わる緊迫したレベルのものだけであり、一般的に頭痛といわれているもののほとんどは、頭蓋骨の外側にある筋肉の中で起きています。 つまり私たちが普段感じている頭痛の99.9%は、頭の骨の外側から出ている痛みということになります。 また脳自体には、知覚(痛みを感じる神経)が存在しません。脳を覆っている膜(硬膜)やクモ膜の下にある血管には存在しますが、頭蓋骨の中ではその2ヶ所以外に、痛みを感じる場所はありません。 ちょっと意外だったかもしれませんが、脳が痛い!という頭痛は、この世にないのです。 なので下を向いたときに頭がズキズキしたり、ギューッと締め付けられるような感覚が常にあったとしても、それはほぼ間違いなく、頭蓋骨の外側で起きている現象ですので、頭の中で何かの異常が起きてる!?とか、脳が障害されてる?自分はたいへんなことになってる?と怖がる必要はないのです。 なぜ分かった?アゴと頭痛の不思議な関係 頭痛人口の増加にともなって、このような現状で途方に暮れている西洋医学難民たちは、藁をもすがる思いで投薬以外の「何かの解決策」を探しています。 あなたも月に数回は頭痛があり、それが何年も続いている状況ではありませんか? 病院でいろいろな検査をしても、「脳には異常ありません」「パソコンのせいでしょう」「きっとデスクワークの姿勢が悪い」「眼精疲労によるものでは?」などと言われ、また似たような鎮痛剤を処方されるだけのくり返しになってはいませんか? 実はどんなに対策を変えてみても、どんなに改善を試みても治らない、いつまでも解決されない頭痛の隠れた原因は、あなたの体の「ある部分」にあります。 ではその”ある部分”とは、いったいどこにあるのでしょうか? ここで少し実験をしてみましょう。 あなたの側頭部の両側に指の腹を当てて、グッと噛んでみてください。プクッと膨らみませんか?ひと言でいえば、それがあなたの頭痛の原因なのです。 アゴがズレると頭痛になる 頭痛の原因の約9割は、頭蓋骨の外側に張り付いている筋肉にあります。 そのなかでも特に、側頭筋(そくとうきん)という頭蓋骨の両サイドにある筋肉は、もっとも頭痛に関与している筋肉です。 側頭部の筋肉は、上の部分は頭蓋骨の側面に、楕円形にへばり付いています。 そして上から下に進むに従って、それぞれの筋肉が集まり束になって、最終的にはやや棒状のような形で、アゴの骨の頂上部分に直結しています。 このように側頭部の筋肉とアゴの骨は、ダイレクトにつながっていますので、たとえば顎関節症の人のようにアゴがどちらかにズレてしまうと、アゴと直結している接合部分によって側頭部が下に引っ張られ、筋肉は常に緊張してしまいます。 また側頭部の筋肉は、前頭部~頭頂部や、後頭部にある筋肉に比べて面積も広く厚みもあるため、この側頭部の筋肉に何らかの異常や不具合が発生することで、多くの頭痛が引き起されやすくなります。 さらに側頭部の筋肉は、咀嚼(ものを噛む)や会話(しゃべる)にも深く関与している筋肉なので、先にあった他の筋群と比較しても、やはり格段に疲労の多い筋肉なのです。 顔が歪んでも頭痛になる? 側頭部の筋肉とアゴの骨は直結していますが、側頭部の骨とアゴの骨は連結しています。 ということは?アゴのズレによって下から突き上げられた側頭部の骨が、隣にある蝶形骨(ちょうけいこつ)や頬骨(きょうこつ)といった骨のズレを誘発し、そこからドミノ式に他の顔面骨や頭蓋骨にもズレが波及して行くと、ついには顔全体にまで歪みがあらわれます。 側頭部の筋肉のみならず、頭痛の原因になっている全ての筋肉は、頭蓋骨の外側に密着しています。 顔面骨~頭蓋骨が歪むことで、それらに付着している筋肉も慢性的に引っ張られたり(伸展)、圧縮されたり(収縮)しますから、たとえアゴに違和感や痛みなどを感じない人でも、顔面~頭蓋骨までが歪んでいれば、頭全体に締め付けられるような頭痛が発生します。 ではこれらの現象(アゴのズレ〜顔面・頭蓋骨の歪み)を改善させるには、どのようにしたらよいのでしょうか? 次回のコラムでは1回たったの20秒で、アゴ〜頭蓋骨の歪みが解消できる具体的な方法をご紹介いたします。 アゴのゆがみを整えると健康になる著者:宮腰 圭出版社:廣済堂出版 筆者プロフィール 宮腰 圭(みやこし けい) 整体家。骨と筋代表。アカデミー骨と筋主宰。 1969年秋田県生まれ。50年代のアメリカに憧れ、テネシー州メンフィスでバンド活動に励んだのち、30才のときに音楽で生計を立てる道を断念。一転カイロプラクティックの道を志し、日本カイロプラクティックカレッジに入学。2001年より米国政府公認ドクター中島旻保D.Cのセンターに勤める。2006年より中目黒にて開業し、2010年にはスクールを開校、現在は神楽坂に拠点を移設し施術や整体家の育成に努める。誰もが自分で治せる療法の開発にも力を入れており、セルフメソッドの発明王!との異名をもつ。著書に「1日10分歩き方を変えるだけでしつこい肩こりが消える本」「1日30秒足を振るだけでしぶとい腰痛が消える本」などがある。
アゴのゆがみを整えると健康になる
著者:宮腰 圭
出版社:廣済堂出版
筆者プロフィール
宮腰 圭(みやこし けい)
整体家。骨と筋代表。アカデミー骨と筋主宰。
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