神奈川県藤沢市でリハビリの出来る鍼灸院を運営しております鍼灸師で理学療法士の久合田(クゴタ)と申します。 リハビリテーションと鍼灸をキーワードに知って得するお話をお伝えしています。 今回は、「脳梗塞」のリハビリテーションについてお話します。また、鍼灸治療を取り入れた場合の再発の確立に関する海外の報告もご紹介していきたいと思います。 男性の要介護になる原因第一位は脳血管障害 データによると、生活の広範囲において介護を必要とする、要介護4や5になる原因の男性の1位は、脳血管障害だということをご存知ですか? 脳血管障害によって亡くなる方は医療の進歩によって少なくなってきているものの、一命をとりとめても生活が困難になる確率が高い疾患です。 そもそも脳血管障害ってなに? 脳血管障害は、一般的に知られている言葉で言うと「脳卒中」です。 この「脳卒中」は、大きく3つに分類されます。 脳の血管が破れて起きる「脳出血」、「くも膜下出血」と、脳の血管が詰まって起きる「脳梗塞」です。 今回はこの3つの中から「脳梗塞」についてのリハビリテーションについてご紹介します。 通常行われるリハビリテーション 発症後まもない時期 「脳梗塞」を発症して間もない時期は、寝たきりの状態が続きます。それによる弊害をなるべく減らすために、早い段階からベッドから離れるため、そしてまだ残っている身体機能を維持改善させるための「機能訓練」と呼ばれるリハビリテーションが行われます。 状態が安定した後 状態が安定してきたらリハビリテーションを主に行うために回復期リハビリテーション病院へ転院し、機能訓練から日常生活活動訓練へ、そして在宅復帰に向けた様々な状況や環境を想定した予行練習を始めます。 自宅復帰後 晴れて自宅復帰となってからは、生活を自ら主体的に行うことによるリハビリと、通所や訪問によるリハビリを行います。 それにより心身機能を維持し自立度を保つこととなります。 WHOは「脳卒中の後遺症」を鍼灸治療の対象疾患としている WHOが鍼灸治療の対象疾患に脳卒中の後遺症を掲げていることをご存知でしょうか? また「脳卒中ガイドライン2009」(第7章 リハビリテーション)には、後遺症のひとつの「手足のつっぱり(以下痙縮)」が鍼通電療法で改善されるという結果が以下のように書かれています。 。歩行パターンを模した30Hz、20~30mAでの 下肢筋群の電気刺激は、下肢痙縮と歩行能力を改善する19)(Ⅰb)。麻痺側下肢の 4 か所の ツボに対する高周波刺激(100Hz、20回、60分)に足関節訓練を加えることで足関節底背屈 筋力、歩行速度が介入後 4 週時においても改善する20)(Ⅰb)。鍼治療のみでは痙縮に効果 はないが21)(Ⅰb)、運動閾値以下での50Hzでの通電鍼によって肘屈筋痙縮を改善する22、2 出典:日本神経治療学会 「脳卒中ガイドライン2009」(第7章 リハビリテーション)より引用 徐々にですが、脳卒中と鍼治療にかかわるエビデンスは集積が進んできています。 台湾の2つの事例 中国や台湾では標準的な治療として鍼灸の利用が進みだしているようです。 以下台湾で行われた研究報告の一部を記載します。 ※※それぞれ出典を教えていただけますでしょうか。※※ 研究報告1 2000年から2004年の脳梗塞患者記録から、年齢性別等が一致する計30058人を対象にした調査。 鍼治療を受けていた人、受けていなかった人それぞれで、2009年までの再発事例との関連を解析したものです。 ・1000人あたりの年間再発率は、鍼治療あり69.9人、鍼治療なし71.4人だった。 ・鍼治療を受けているグループの再発リスクは受けていないグループの0.88倍だった。 ・その効果は脳卒中の投薬治療も受けている場合により顕著だった。 ・鍼治療も投薬治療も受けていない者に比べて、再発リスクは 投薬治療のみ0.42倍、鍼治療のみ0.50倍、投薬治療+鍼治療では0.39倍だった。 脳卒中の鍼治療は、投薬治療中であっても再発予防効果が期待できるのかも知れない、 研究報告2 2000年から2008年に、台湾の2300万人の国民健康保健記録から脳卒中患者285001人を抽出し、鍼の利用と 関連する特徴を解析した報告です。 ・この間、鍼利用者は増加傾向。 ・女性、若年、ホワイトカラー、高収入者で鍼利用が多かった。 ・リハビリサービスを多用する患者ほど鍼も利用していた。 台湾では脳卒中患者の鍼利用は多くの層に受け入れられ 増加傾向にあった。 ほんの一部の情報ではありますが、この様に鍼治療は脳卒中の治療に何らかの影響をおよぼすことが分かってきています。 リハビリテーションをあきらめない 当院の治療方針です。施術者は病院や介護の施設でリハビリを担当してきた熟練者が鍼灸治療と運動療法を施します。是非、運動+鍼で自身のセルフケアを推進しましょう。 筆者プロフィール 久合田 浩幸 クゴリハ鍼灸院院長鍼灸師・理学療法士 急性期病院に勤め年間7000件を超すリハ対応を行う。医療における経験と補完代替医療の強みを活かし平成27年4月に独立し、リハビリ運動療法と鍼灸治療を柱に運営を開始。現在では鍼灸院運営と介護保険事業所のリハビリ部門コンサルも行い複数の草鞋を履き替え奔走している。
。歩行パターンを模した30Hz、20~30mAでの
下肢筋群の電気刺激は、下肢痙縮と歩行能力を改善する19)(Ⅰb)。麻痺側下肢の 4 か所の
ツボに対する高周波刺激(100Hz、20回、60分)に足関節訓練を加えることで足関節底背屈
筋力、歩行速度が介入後 4 週時においても改善する20)(Ⅰb)。鍼治療のみでは痙縮に効果
はないが21)(Ⅰb)、運動閾値以下での50Hzでの通電鍼によって肘屈筋痙縮を改善する22、2
出典:日本神経治療学会
「脳卒中ガイドライン2009」(第7章 リハビリテーション)より引用
・1000人あたりの年間再発率は、鍼治療あり69.9人、鍼治療なし71.4人だった。
・鍼治療を受けているグループの再発リスクは受けていないグループの0.88倍だった。
・その効果は脳卒中の投薬治療も受けている場合により顕著だった。
・鍼治療も投薬治療も受けていない者に比べて、再発リスクは 投薬治療のみ0.42倍、鍼治療のみ0.50倍、投薬治療+鍼治療では0.39倍だった。
・この間、鍼利用者は増加傾向。
・女性、若年、ホワイトカラー、高収入者で鍼利用が多かった。
・リハビリサービスを多用する患者ほど鍼も利用していた。
台湾では脳卒中患者の鍼利用は多くの層に受け入れられ 増加傾向にあった。
筆者プロフィール
久合田 浩幸
クゴリハ鍼灸院院長
鍼灸師・理学療法士
この記事が気に入ったら
いいね!しよう
最新情報をお届けします