朝がつらい、ダルイ、寝ても疲れが取れない… 一晩寝れば解消される疲れとは違う、半年以上続く慢性的な疲労を感じている人が増えています。 このような疲労を抱える方に共通している事の一つに、ストレスに対して反応しやすく、それをきっかけとした問題を抱えていることがあります。 心の疲れ、つまり「脳の疲れ」を解消することが慢性疲労の解消にも非常に重要となります。 そもそも脳が疲れるとはどういうことなのでしょうか? 新たな研究成果によって、様々な疲労に伴う症状には脳の機能異常が関わっていることが明らかになっています。 現代人の多くが抱える問題 現代人の多くが抱えている様々なストレス。このストレスに不快な思いをしていても、なかなかその環境から抜け出すことはできないものです。 現代は、大昔と違いストレス状態が長く続くため、自律神経系やホルモン系に影響を及ぼし、心や身体の不調を引き起こすことが多いと言えます。 不快な環境が及ぼす心身への影響をホルモン系の側面から見てみると、ストレス状態が長引くことで脳内物質である「セロトニン」の分泌が弱まることがあります。 「幸福ホルモン」ともよばれる心の安定に関与するセロトニンが不足すると、夜の眠りが浅く寝起きも悪くなり、うつになったりキレやすくなるとも言えます。 また、体に現れる反応としては、ストレスホルモンである「コルチゾール」の分泌が続くと、高血圧、血流の低下、免疫力の低下などが起こり、それによって様々な疾患にかかりやすくなります。 生活をしていくうえで完全にストレスを避けることなんてできませんよね。 ですが、何も手段を講じずにただじっと耐えていると、感情やストレス反応をコントロールすることができなくなって、心身の問題に悩まされることになりかねません。 命を守るための反応 ストレスを受けている時には、’’何ごとも楽しめない、はっきり物事を考えられない…’’といったようなことが起こります。これは脳の働きの低下や脳自体の損傷によるものです。 ストレス状況下では脳の本能的な部位である「扁桃体」への血流量が増します。すると交感神経は活性化して心拍数が上昇し、血圧を上げ、筋肉は緊張し戦闘態勢を整えるいわゆるストレス反応が起こります。 緊急の場合、じっくり考えてから行動していては危機を避けるのに間に合わないため、理性的な脳の部位である前頭前野は働きを停止します。危険を避けなければならない状況で「闘うor逃げる」を判断しとっさに行動するためです。 本来であれば、この反応は生命の危機を脅かす外敵から身を守るためのものです。 現代ではあまり必要としない反応 瞬時に闘ったり逃げ出したりすることが必要なくなった現代では、この「闘争、逃走反応」が活躍する機会は少ないと言えるでしょう。 例えば、急に獣に襲われることなどまずありませんし、会社に嫌な上司がいる、急に転勤しなければならなくなったなどの不快を避けたい環境下でも、その場を逃げだすような事はあまりしないですよね。 ですが、環境の変化や対人関係のような、生命の危機とはいえないちょっとしたストレスや、嫌なことを想像しただけでもこの反応は起こるため、命の危機にさらされない限りは抑えておくべきシステムが常に働くことになるのです。 本来なら危険が去れば鎮まるはずのこのシステムが長く働き続けると、前頭前野の機能が低下して扁桃体の活動をコンテロールする事ができなくなります。すると扁桃体の興奮はいつまでも鎮まらず、休んでいてもストレスや緊張状態が続き、いつも不安を感じたりイライラする事が多くなるわけです。 良いところもあるストレス 悪いことばかりのように見られがちなストレスですが、実はストレスとは良い悪いというようなものではありません。 不快なストレスを感じると「ノルアドレナリン」が分泌されます。怒りのホルモンとも呼ばれているこの物質の作用によって、血圧、呼吸、胃腸、体温などの変化、いわゆるストレス反応がでます。 このような身体的な反応や嫌な感情が生まれ、それにより交感神経が優位に働き体はいつまでも休まらず、それが高じると心身に悪影響を及ぼすことになります。 一方、何かを手に入れたい、試験に受かりたい、試合に勝ちたいといった目標に向かって頑張っている時に分泌されるのはドーパミンです。 ドーパミンは喜びに関係する脳内物質ですから、自分の欲望や喜びを求めることにより意欲が起こります。自分の欲望の実現ためならつらいことでも不快とは感じないものです。 同じ物事であっても前向きな気持ちで意欲的に取り組めば、ストレス反応は生じず多くの問題が解消されるはずです。 これはストレス反応を伴わない、良いストレスと言えるのではないでしょうか。 心の疲れを取る方法 ストレスを受けながし、気分を安定させてくれるホルモンが近年注目されています。セロトニンやオキシトシンは「幸福ホルモン、癒しホルモン」とも呼ばれ、心身の疲れを癒してくれます。 日光を浴びてリズム運動するとセロトニン神経が活性化することが分かっています。疲れない程度のリズム運動、ウォーキングやサイクリングなどがセロトニンの分泌を促進します。 また、近ごろ世界の大企業やスポーツ選手などが取り入れて、日本でも注目され始めている瞑想の効果も多くの研究で認められています。 瞑想を6週間続けて行ったグループと何も行わないグループにストレスのかかる課題を与えたところ、瞑想をしたグループはストレスホルモンや炎症に関わる物質が低下していたという研究もあります。 運動や瞑想に共通するのは、過去や未来のことではなく、今現在に意識を向けていることだと思います。過去を振りかえって後悔したり、未来を想像して不安になったりすることなく、今だけを見て前向きな考えで過ごせるようになるといいですね。 さいごに 日光を浴びる、歩く。そんな簡単なことで本当に問題を解消できるの?と思われるかもしれません。しかし、パソコンやスマートフォンの普及、ネット社会、残業で深夜の帰宅といった生活で運動不足や夜型の生活が増加し、心や身体の疲れはたまる一方。 そんな生活が続き日常化すれば、朝起きられない、頭がスッキリしない、活動力の低下などの慢性的な疲労に悩まされることになります。身体の異常や変調を感じたら、それが単なる疲れなのか、あるいは自身で解決できない状況なのかを判断して早期に対策することが大切です。 筆者プロフィール 青葉 秀樹 あおふじ整骨院院長 柔道整復師 EFT-Japan プラクティショナー SAJ スキー準指導員 山形県遊佐町生まれ。あおふじ整骨院院長 脳、神経の働きに注目し、痛みや不調を繰り返さない激しい運動でも痛まない健康な体づくりをサポート。身体的問題にも感情が関係していることが多いことから、心と体の両面に目を向けた施術を行っている。
筆者プロフィール
青葉 秀樹
あおふじ整骨院院長
柔道整復師
EFT-Japan プラクティショナー
SAJ スキー準指導員
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