ツボとは何でしょうか? ツボは、神経が集中する箇所に存在して360個(日本)以上あると言われています。 先人達が経験的にこのツボを押したらココが良くなった!!そのように代々伝えられてきたツボでありますが、このツボはどのような働きをして身体にどのような効果をもたらすのでしょう? 今回は、この「ツボ」についてお話ししたいと思います。 ツボは筋肉や神経の交差点にある ツボがあると言われている場所には、多くの筋肉が覆い被さっていたり、神経が集中しています。いわば、筋肉や神経の交差点にツボがあります。交差点は詰まりやすいところ・渋滞が起きやすいところであります。 道路に渋滞があるとどうなるでしょうか?そこだけの問題では済まなくなります。 全体の交通の流れが悪くなります。イライラして事故が起きるかもしれません。 身体も同じで、身体のある一部に生じた問題は身体の全体に波及し、あちこちに不調が出てきます。 ツボを刺激することで局所の循環を良くしてあげることで、他の場所にも良い流れが行き、刺激してない部分にも好影響が出ます。混雑していた神経がスムーズに通るようになり、身体の不調をスッキリ解消してくれるのです。胃のもたれ・むかつきに脛の外側にある“足の三里”を刺激すると解消できるのもその一つです。 ツボは数千年の歴史を持つ療法 数千年もの歴史をもつ東洋医学から生まれたツボ療法。 ツボ療法が今日まで発展し継承されてきたのは、効果のあるものであり、副作用がなく体に優しく響いていくものだからです。 ただ、このお話しを聞いても『経験的に伝えられてきたから・教科書に書いてあるから。の説明では納得できない!』そんな方もいらっしゃるのではないでしょうか。 そんな方のために、もう少し詳しくツボのお話しをしていきたいと思います。 ツボと神経の関係 私たちの体に関わる全ての情報が脳へ集まります。そして、体に関わる情報を伝えるのが神経であります。 神経が機能していれば、身体の情報は脳へしっかりと伝達されますが肉体的・精神的な負荷により神経の流れが悪くなると情報は脳へ伝達されず、様々な不調を招くことになります。 神経とツボには密接な関係があります。 長い間、神秘的なものとして語られてきたツボですが、近年ではWHO【世界保健機関】が統一基準をまとめるなど、東洋医学からも、西洋医学からも学術的な研究が行われてきました。その結果、神経が集中する場所にツボがあることがわかったのです! 神経が体に張り巡らせているようにツボも頭のてっぺんから足のつま先までくまなく存在します。そのようなツボは刺激することにより、身体の不調を改善してくれます。 大都市の道路の交差点は、とても混雑しやすい場所であります。ツボも同じで神経が多く集まっている場所ほど混雑して脳へ送る情報が渋滞してしまい、その結果様々な身体の不調を呼び込んでしまいます。 混雑してしまったら、交通整理をする必要が出てきます。その神経の交通整理がツボ刺激であります。 ツボの種類は局所と遠隔部に分類される 右の肩がだるいとします。 すると何も意識しないで左手で右の肩の凝っていると思った部分に手が行きグリグリとしてしまいます。 局所 この時の中指に当たっている部分がツボであります。ちなみに『肩井』と言うツボで肩の凝り、目の疲れ、頭痛などに使われることが多いです。肩井は直接押し、ダイレクトに神経に刺激を与えることができるので、効果が出やすいのが特徴です。これが今回で言う、局所にあるツボであります。 遠隔部 次に遠隔部に分類されるツボ『合谷』について。 手の甲の人差し指の骨の際。手の甲を上にして指を広げて、親指と人差し指が接する部分を探ります。ここが合谷であります。右の肩が怠い場合、右の合谷の方が押して痛いと言った反応が出ていることが多いです。 肩がだるいときの合谷の作用としては、神経(東洋医学では経絡)を介して患部に働きかけます。前記でお伝えした通り、渋滞が緩和されてスムーズに流れるようになるので、だるさが和らいできます。遠隔部ツボは、手足にあり患部に直接触れることが出来ない背中や腰をセルフケアで行いたいときに使うツボです。 東洋医学と西洋医学との共存・共生 東洋医学から発生したツボ押しの起源は、古代に遡ります。長い歴史の中で育まれてきた神秘的な治療と思っている方もいるでしょう!!しかし、現代の西洋医学の目で見ると非常に科学的で効果的な期待できる施術方法と言うことがわかってきました。 例えば、東洋医学の柱ともいえる“気”と言う概念。気はエネルギーとして身体の隅々に渡っておりその状態が健康と言われています。その反対に気が停滞している、足りない状態が病気になりやすい状態と言われています。 これを西洋医学で言う『神経器官や消化器官』で考えてみましょう! 頭が痛い!お腹を壊している!そのような時に【元気】【やる気】と言った力が出てくるでしょうか?また、【やってやるぞ!】と言う高く積極的な気持ちになれるでしょうか?力は沸いてこないし、何だか身体がだるいな。寝ていたいな。とどんよりした気分になり消極的な気持ちになってしまいます。 ツボ押しは神秘ではない?? 医療の進歩、学問の発展により段々と身体に関わるメカニズムが解明されてきています。神秘的ではない、科学的な作用を見ていきましょう! 今回は足の脛の外側にある、足三里と言うツボを使います。松尾芭蕉が奥の細道で、足三里を刺激すると情報が求心性神経(身体の中枢へ繋がる神経)を介して伝わり脳にある視床下部と言う部分に伝達されます。視床下部は、自律神経と本能を司っています。今回、重要視したいのが『自律神経の中枢である!』ということです。 何か食べたい・食べたくない摂食行動や熟睡する・不眠であると言った睡眠…普段の何気ない行動で意識しないでも出来ている行動を自律神経によってコントロールされているのです。 足三里からの刺激が視床下部に届くとそこからの指令が遠心性神経(身体の中枢から末端へ繋がる神経)によって、胃に届き、胃の働きが調整されて胃もたれやお腹が空かないなどの諸症状が和らぎます。 東洋医学で説明すると、この神経はツボとツボを繋いだ『経絡』として知られ、これは気の通り道であります。全部で14経ありそれぞれの経絡の要所にあり、気の流れを調整するのがツボであります。 鍼灸師として皆様へ!! “未病”ってご存知ですか?? 病気の一歩手前の事を示します。病院で検査を受けても異常はない。でも何となく体調が悪い…こんな経験ありませんか?? こうした状態を放っておくと、近い将来、病気に進んでしまうかもしれません。 東洋医学には、未病の段階で体のケアによってかかる恐れのある病気の進行を防ぐと言う基本的な考え方があります。その未病に対して手軽に取り組めるのがツボ押しであります。人間にはもともと、身体の不調を治そうとする力が備わっています。つまり、ツボ押しは、自然治癒力を高める最良の方法と思います。 もちろん、専門家に委ねた方が良いものもありますが、身体にやさしく響いていくツボ押しはこれからも必要なものと語り継がれていかれるものと思います。 筆者プロフィール 洲崎 和広 すのさき鍼灸整骨院副院長 鍼灸師・柔道整復師・ケアマネージャーの資格を保有。北海道室蘭市で(院長)父親である 洲崎 理 がすのさき鍼灸整骨院を経営し30年以上が経ちました。そこで私も入り施術に従事しています。4年程デイサービスに勤務してデイサービスのセンター長もやりました。整形外科・整骨院・介護業界の経験を活かしてその人がその人らしく生きて明日への活力を与えるエネルギーステーションのような存在になれれば幸いです。
筆者プロフィール
洲崎 和広
すのさき鍼灸整骨院副院長
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