マッサージを受けたあとに、痛くなったことはありませんか? マッサージは身体に力を加えて変化させる技術。施術後に痛みが出ることもありますが、実は、良い痛みと悪い痛みがあります。 悪い痛みは「もみかえし」 マッサージを受けた後、押されたり、揉まれたりしたところが腫れて、痛くなる状態です。これが起こるのは、主に強すぎる力で揉み・押されたときです。 不慣れな施術者が固いコリに出会うと、力ずくで揉みつぶそうとしがちです。いくら固くても、筋肉は細胞。強い力で押すと、破壊されてしまいます。 そうしてつぶされた筋肉が炎症を起こして腫れているのが、いわゆる「もみかえし」です。柔らかくなったようでも、腫れによる緊張ですぐに固くなってしまいます。 もみ返しを繰り返すと、筋肉が線維化して、簡単には戻らなくなってしまうので、注意が必要です。 良い痛みは「変化の痛み」 良い痛みは、変化に伴う痛みです。 少し前のことですが、猫背の患者さんを治療しました。 丸くなったまま固まっていた腰椎の癒着(貼り付き)を取り、周辺の緊張を緩めてゆくと、次第に腰が伸びてきました。前かがみになっていた背中が立ち上がって 「姿勢が完全に変わった」 と、喜んで帰って行かれたのですが…。 しばらくして、電話がありました。 「あれから、上半身のところどころが痛みました」 というのです。 痛みは、移動しながら数日で消えたとのことでした。 二週間後に、再び来院された患者さんを拝見して、すぐに気づいたのは、上半身の柔らかさ。以前は張っていた肩がゆるみ、背中も柔軟になっていました。前回の施術直後よりも良くなっていたのです。 長期間、猫背でいたため、上半身の筋肉や筋膜が、猫背に合わせた形になっていたのでしょう。腰が伸びたので、それらが新しい姿勢に適応するときの痛みだったと考えられます。 見分け方は? もみ返しは筋肉の破壊によるものですから、揉まれた場所に発生します。施術を受けた直後から痛みがあり、熱を持つことが多いのが特徴。 これに対して、変化による痛みは、広い範囲で起こります。関係なさそうな場所に起こることも多く、痛みが移動することもあります。熱を持つことは少なく、つっぱり感や、違和感を伴うことが多いです。 治療後、気になる痛みなどがあれば、気軽に治療者に相談して下さい。 筆者プロフィール 池浦 誠 八起堂治療院長院鍼灸師・マッサージ師 臨床経験の中で、関節で生じた癒着(貼り付き)が、不調の原因となっていることに気づき、2005年に「TAM手技療法」を考案。癒着による身体の歪みや固さをとり、自然な動きを取り戻す治療を行っている。 田舎町の個人治療院ながら、他府県からの来院者も多い。
筆者プロフィール
池浦 誠
八起堂治療院長院
鍼灸師・マッサージ師
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