冬のこの季節、乾燥肌でお悩みではありませんか? 日本の冬は低温・低湿で乾燥する季節です。 あなたのお肌も一年、最も乾燥しやすくなります。 肌が乾燥すると、意外に多くの皮膚の症状を引き起こします。 例えば、アトピー性皮膚炎が代表的な病気といえます。 今回は、乾燥肌に関する基礎知識についてお話しします。 また具体的な乾燥肌の改善方法についてもご紹介していきます。 あなたの肌を守る角質の水分 生物はもともと、水中で暮らしていました。 乾燥した陸上では、体内の水分を如何に失わないかが、生きていく上で、最も重大な問題といえます。 人間の皮膚は、表皮、真皮、皮下組織から成り立っています。 このうち、表皮の角質が水分保持に関与しています。 角質の約30%は水分です。 この水分のお蔭で、肌が柔らかくて、滑らかな状態を保てます。 また、外界からの微生物や、からだに有害な物質が、体内へ入らないように防いでくれています。 これを角質のバリア機能と呼んでいます。 乾燥肌(ドライスキン)により、このバリア機能が破綻しますと、アトピー性皮膚炎だけでなく、さまざまな感染症にかかりやすくなります。 角層の水分は、あなたのお肌を張り・艶のある肌にするだけでなく、外敵からも守ってくれているわけです。 角質を保湿するための3つの要素 角層を保湿するには3つの重要な要素があります。 1.角質細胞間脂質 角層は、表皮のケラチノサイトからつくられる角層細胞が、10何層も緊密に積み重なり、その間を細胞間脂質が、ぎっしりと埋めています。この細胞間脂質は水と脂質から成っています。 ラメラ構造と呼ばれています。 イメージ的には、水をたっぷりと含んだ段ボールを何枚も積み重ねた感じです。 2.皮脂 皮脂の分泌は、性ホルモンの影響を受けます。 性ホルモンがあまり分泌されていないお子様や高齢者は、乾燥肌になりやすいです。 皮脂には、水分を溜めこむ力はありません。 角層上を皮脂膜で覆い、水分が蒸発して逃げていくのを防いでいます。 3.天然保湿因子(NMF) 天然保湿因子は水分を吸収し、角層の保湿力を高めます。 この保湿因子がなくなりますと、水分を吸収しないので、乾燥が進み、乾燥したままになります。 冬になると乾燥しやすい4つの理由 女性は25歳ごろから、皮脂の分泌が減少し始めます。 あなたの肌の乾燥は以下のような理由により生じています。 1.脂質の減少 角層の細胞間脂質だけでなく、皮脂由来の脂質も減少 2.天然保湿成分(NMF)の減少 3.角層構造の変化 加齢により、徐々にターンオーバーが遅くなり、角層細胞が積り、表皮は水分が足りない状態 4.環境の変化 角層における保湿力の低下が、ドライスキン(乾燥肌)の主な原因となります。 皮脂の分泌は、意外にも、年間を通じて一定です。 では、なぜ、冬に乾燥肌になることが多いのでしょうか? これは、あなたの周りの環境の変化が原因になっています。 例えば、外気の乾燥、エアコン・ストーブなどで湿度が下がる、寒いので汗をかかないなどです。 冬の乾燥肌を改善するために必要な7つのこと 1.加湿器を使う 2.換気をよくする 3.ウール、毛足の長い洋服を避ける 4.モヘア、アンゴラ系のセーターを避ける 5.肌に直接、触れる肌着などは、コットンにする 6.スカート・パンツなどもコールテン系の木綿素材 7.寒くて寝られない場合は、ホットカーペットの上に布団を敷いて寝る 暖かく、皮膚も乾燥しない その他には、食事と入浴が大切です。 乾燥肌を防ぐための食事 積極的に摂りたい食品 ビタミンA:チーズ・牛乳・卵・鰻の蒲焼き・レバーなど ビタミンB2:レバー・アーモンド・鰻の蒲焼き・ズワイガニ・豚肉・納豆・卵・鯖・鰤・牛乳 ビタミンB6:烏賊・蛸・鰯・鱈・セロリ・玄米・豚肉・牛肉・レバー・大豆・卵黄 ビタミンE:たらこ・卵黄・鰻の蒲焼き・大豆・サラダ油・マーガリン・アーモンド・落花生・レバー 脂の乗った魚:マグロのトロ・ハマチ・鰯・養殖真鯛・鯖・鰊・鰤・秋刀魚・鰻の蒲焼き・鮭 植物油:オリーブオイル・菜種油・紫蘇油・ごま油 乾燥を防ぐ入浴法 入浴により、全身の角層に潤いを持たせることができます。 入浴後に乾燥しやすいからと控えるのは、逆効果です。 効果的はいりますと、乾燥を防ぐのに有効です。 効果的な入浴法 1.湯温は、温かめ(38度前後) 熱い湯はかゆみを誘発して、脱脂作用が強いので、温めのお湯が有効です 2.温泉の素は使わない 温まるタイプの温泉の素は、皮膚温を上げ、痒みを強くさせます 保湿効果が高いことを明示している入浴剤を使うのが効果的です 3.固形石鹸で洗う ボディーソープは、1回に使う量が多くなりがちで、界面活性剤が多くなり、皮脂が必要以上に流れやすくなります。 4.手で洗うか、木綿のタオルで洗う 強く擦りますと、角層が必要以上に落ち、保湿力が下がり、乾燥します。 手で洗うか、やさしいタオルで、優しく洗うのが基本になります 5.皮膚が乾燥していても石鹸を使う 石鹸を使わないと、本来、落ちるべき古い角層を、落とすことができません。 古い角層が残っていますと、そこには水分がなく、保湿力の低下を招き、乾燥しやすくなります。 ただ、擦りすぎや洗浄力強い石鹸を使いますと、角層内部から細胞間脂質やアミノ酸等の水溶性成分が溶けだします。 これにより角層の水分量や柔軟性が低下し、肌が荒れます。 また、表皮のターンオーバーが亢進し、表皮が厚くなります。 表皮が厚いと、角化過程の異常が生じ、硬く肌理の粗い肌になります。 あかすりなどは、しないことが大切になります。 6.保湿クリームなどは、お風呂上りにすぐに塗る 入浴後、皮膚に水気が残っている間に、保湿クリームを塗ることにより、乾燥を防ぐことができます。 乾燥肌(ドライスキン)に有効な鍼治療 意外にも、鍼治療は、乾燥肌の改善に有効です。 もっとも、鍼をしたことにより、水分が増えるわけではありません。 人の肌も植物の葉と同じように、肌から水分が蒸発しています。 これを経表水分蒸散と呼んでいます。 鍼刺激により、この経表水分蒸散を適正にすることができます。 肌からの水分が異常に蒸発しない、あるいは、適正に蒸発すようにできるわけです。 これにより、あなたのお肌の水分が適正になり、ドライスキンを改善できます。 また、この作用は、蒸発のし過ぎ、蒸発の不足どちらにも作用しますので、オイリー肌(脂性肌)の改善もできます。 これを鍼灸の2面性と呼んでおり、鍼灸治療の特徴の一つになります。 鍼治療による、ドライスキン(乾燥肌)の改善は、あなたの皮膚の働きを正常化することに在りますので、根本的にドライスキンの改善が期待できます。 まとめ いかがでしたか。 冬になると乾燥肌になりやすい原因は、お肌より、環境にあります。 環境を変えると、冬のドライスキン(乾燥肌)の予防に繋がります。 乾燥肌の根本的改善には、鍼治療がお勧めです。 筆者プロフィール 夘野 裕樹 鍼灸院 天空院長(ポラリス株式会社 代表)資格:鍼灸師 所属学会:全日本鍼灸学会(認定鍼灸師)/日本線維筋痛症学会 鍼灸師になり30年以上が経ちました。 20代で一度、開業しましたが、阪神淡路大震災で閉院しました。 その後、整形外科や整骨院に勤務していました。 あなたが思っている以上に鍼灸はいろいろな病気に効果があります。 この鍼灸の良さをもっと広く社会に知ってもらいたいと思い、改めて、鍼灸専門の治療院を開業しました。 毎日、鍼灸治療と後進の育成に励んでいます。
1997
筆者プロフィール
夘野 裕樹
鍼灸院 天空院長(ポラリス株式会社 代表)
資格:鍼灸師
所属学会:全日本鍼灸学会(認定鍼灸師)/日本線維筋痛症学会
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