日常生活で“しゃがむ”動きは頻繁にされるもの。生活の中でも良くする動きなので、痛みがあるとストレスもたまりますし今後が不安になってしまいますよね。 しゃがむと膝が痛いと言っても、痛む部位によって種類や原因が異なります。 大きく分けると事故や転倒などの外傷によるものと、背骨のゆがみなど不バランスによって膝にダメージが蓄積されたもの。この2つに分けられます。今回は、外傷による膝の痛み(しゃがむと膝が痛い)について解説していきます。 外傷 スポーツ、転倒、事故などの急激に膝に強くかかった負荷により、膝関節の周辺の筋肉やじん帯などが傷んだことで症状が出ます。 外傷の代表例としては、軟部組織(筋肉、じん帯など)、半月板損傷、打撲、捻挫、損傷などが考えられるのです。 軽度に壊れてしまった組織 急な運動や外部からの力によって、各組織に傷がついてしまうとすぐには治せません。軽度なものはアイシングや固定をして、患部にかかる負担を極力減らし自然治癒するのを待ちましょう。 これは、いわゆる保存療法といわれるやり方で、組織が回復さえすれば自然と痛みは引いてきます。重度にじん帯などが損傷、断裂してしまっている場合は、しゃがまなくてもちょっとした動きで痛みがある場合が特徴です。 破損部位別にチェック!しゃがむと膝が痛い時に考えられる8つの原因 前十字靭帯損傷 ・スポーツ中の受傷が多く、スキー、バスケットボール、サッカー、バレーボールなどのジャンプの着地の際に膝を捻る動作で、靱帯が損傷されやすい。 ・症状は、スポーツ中などに、膝がガクッ(膝くずれ)となったり、ずれた感じが起こり、受傷時に断裂音(ポップ音)が聞かれたり、やがて膝関節内に少しずつ血腫が貯まり、腫れを感じられたりすることが多い。 しかし、2~3日で腫れや痛みのピークは減少し、2週間くらいで歩行は出来るようになり、1ヶ月くらいで日常生活の支障は少なくなる。 ・痛みを感じることは少ない。不安定感が主な症状【膝がガクッ(膝くずれ)となったりすることを繰り返す】 ・膝の不安定感はスポーツ復帰時や階段下降時に自覚し不安定感が続くと内側半月板が擦り切れ、半月板を切除しなければならなくなることもあるため膝の不安定感のある人は治療の必要がある。 ・医師の診察(徒手検査:手で触って不安定性をみる)、骨折の合併がないかレントゲン写真、関節内出血の有無確認、MRI(磁気共鳴画像)を行い診断。 ・断裂した前十字靱帯は自然にはくっつかないため自分の取っても大丈夫な腱を使って、靱帯を模倣した移植腱を作製し、関節内に移植。 ・7ヶ月でスポーツ復帰が可能です。 ・膝に激痛などを感じた人が出た場合、まず、第一には絶対安静。RICE療法を行う。 後十字靭帯損傷 ・膝関節には前後方向の安定性を得るために,前十字靭帯と後十字靭帯があり、協調して膝のスムーズな動きをコントロールする。 ・膝後十字靭帯は,歩行中転倒し,すねをぶつけて靭帯損傷を起こす場合がもっとも多く,他の人と交錯する,ラグビ-のタックルによる直接の外力で断裂する他,日常的に転倒して膝下をぶつけて受傷するケースが珍しくない。 急性期でも3度の完全断裂以外では膝の痛みや腫れは少なく,本人の自覚症状も少ない場合がある。 ・靭帯損傷の程度および合併損傷(半月板損傷や軟骨損傷)の有無がその後の経過に影響する。 ・膝の不安定感に加え,起立時、階段下りでの膝痛の原因になる。 ・後十字靱帯損傷は膝下を強打することで受傷する。 ・前十字靭帯損傷に比べ,受傷直後でも3度の完全断裂以外では膝の痛みや腫れは少なく、本人の自覚症状も少ない場合があるが、膝後十字靱帯が断裂すると膝がぐらぐらする。 ・膝後十字靱帯にも痛みを感じる神経はないので,後十字靱帯損傷で直接痛みを感じることはないが、膝後面から外側にかけての放散痛や合併した半月板損傷や内側側副靭帯損傷による痛みが続く。 ・急性期を過ぎるとスポーツも可能となるが,ダッシュの際にカクンと抜けたり、ジャンプの着地の際に力が入らないなどの症状が続く。 ・その十字靭帯に大きな力が加わり,断裂したり伸張したりしてゆるみと痛みが現れる。 ・早期からの可動域および筋力低下を防ぐリハビリテーションに加え、後方動揺性の強い場合は,支柱付きサポーターなどの着用も考慮。 内側側副じん帯 ・内側側副靭帯は、膝の内側にあり、大腿骨と脛骨を結んで膝の左右へのブレを防止している靭帯。 ・膝の外側から内側へ強い力が加わり、内側側副靭帯が伸びて強く引っぱられることで損傷が発生します。膝のスポーツ障害の中でも発生件数が多いケガで、特に球技系のスポーツで多く見られます。前十字靭帯損傷や半月板損傷と同時に起こる(合併する)こともあります。 ・内側側副靭帯が強く引っぱられるのは、ひざが外側から内側に曲がったり(外反)、ひざから下を外側にひねられたり(外旋)した時で、サッカーやラグビーなどで横からタックルやスライディングを受けた時によく損傷します。ジャンプの着地時や、急激に方向転換を行った時などに同様の動作が加わることでも起こります(非接触型)。 <発症しやすいスポーツ> 野球、サッカー、バレーボール、バスケットボール、ラグビー、スキーなど ・損傷を受けると、膝関節の内側に痛みと腫れが発生します。怪我の度合いが強いほど痛みも強く、膝を外側にひねった時に不安定感も感じます。 <治療> 応急処置法である「RICE療法」を行った上で膝関節をギプスやサポーターで固定する保存療法が基本となります。 「痛みや不安定感の症状が重い」「靭帯が完全に切れている」「複数靭帯の損傷など合併損傷がある」といった場合には手術も検討します。 外側側副靭帯 ・外側側副靭帯は、膝の外側にあり、内側の内側側副靭帯とともにヒザの左右の安定を保つ働きをしています。 ・膝の内側から外側へ強い力が加わり、外側側副靭帯が伸びて強く引っぱられることで損傷が発生します。内側側副靭帯に比べるとケガの発生件数が少なめですが、接触プレイの多いスポーツで膝に衝撃を受けたり、格闘技の蹴りや関節技を受けた時などに損傷します。非接触型では、急激な方向転換、ジャンプの着地時などにも損傷が起こります。 ・外側側副靭帯損傷が単独で起こることはまれで、後十字靭帯損傷や半月板損傷と一緒に(合併して)起こることが多いようです。 <発症しやすいスポーツ> サッカー、バスケットボール、ラグビー、スキー、格闘技など ・損傷を受けると、膝関節の外側に腫れが見られ(腫脹)、患部を圧迫された時に痛みが発生します(圧痛)。怪我の度合いが強いほど痛みも強く、膝を内側にひねった時に不安定感も感じます。 ・内側側副靭帯の損傷時と同じく、「RICE療法」を行った上で膝関節をギプスやサポーターで固定する保存療法が基本となります。「痛みや不安定感の症状が重い」「靭帯が完全に切れている」「複数靭帯の損傷など合併損傷がある」といった場合には手術も検討します。 ジャンパー膝(膝蓋靭帯炎) 好発・ジャンプを多くする競技(特に多いのがバレーボールやバスケットボール) ・走る動作の多い、長距離ランナー、サッカー選手、テニス選手にも多くみられる。 ・好発年齢は15歳から20代中盤くらいまでが多く、30歳以上でなる方はまれ ・大腿四頭筋に膝蓋靭帯が引っ張られ、膝蓋骨の下の靭帯に炎症、血流障害、などにより、膝に痛みがでる。 ・ジャンパー膝(膝蓋靭帯炎)の症状の分類 1.運動のあとに、ひざのお皿の下、痛みがある。運動は可能である。 2.運動開始時の痛みがあり、動いていると痛みが和らいでくる。運動後にまた痛みがでてくる。運動はできる状態 3.運動中、運動後共に痛みが強い、運動不可 4.膝蓋靭帯の断裂。歩行困難。 ・診断・ほとんどの場合レントゲンでは異常は診られることは少ない ・主な診断基準は、多くの場合は膝蓋靭帯そのものを圧迫すると痛みを訴えます。 ・膝蓋靭帯に圧痛や運動時痛などが診られると、ジャンパー膝(膝蓋靭帯炎)と診断されることが多い。 ・ジャンパー膝の場合、痛む部分が腫れるたり、赤くなることはない。 ・保存療法で経過を見る場合が多い。 ※保存療法とは?:スポーツの中止・アイシング・運動(遠心性運動)・ストレッチ・薬物療法(痛み止め薬の処方、シップ)など。 上記の保存療法で効果のない場合、痛む部位への注射(ステロイド・ヒアルロン酸)をする場合もある。 オスグット ・脛骨結節(お皿の下の骨)が徐々に突出し、疼痛が現れる。 ・赤く腫れたり、熱を持ったりすることもある。 ・休んでいると痛みが無くなりますが、スポーツを始めると痛みが再発を繰り返しやすく発症後3~6ヵ月はスポーツをすると症状が強くなる。 ・10~15歳の成長期の子供が、跳躍やボールをけるスポーツをし過ぎると、発生しやすい。 ・原因と病態 大腿四頭筋は膝蓋骨を経由して膝を伸展させる力として働き、膝を伸ばす力の繰り返しにより、大腿四頭筋が膝蓋腱付着部を介して脛骨結節を牽引するために、脛骨結節の成長線に過剰な負荷がかかり成長軟骨部が剥離することで生じる。 ・同部の圧痛や隆起である程度可能ですが、X線(レントゲン)検査を行うことで確定。 ・予防と治療 成長期の一過性の病気で、成長が終了すると、多くは治癒。この時期はスポーツを控えることが大切。 大腿四頭筋のストレッチングやアイスマッサージなどを行い、痛みが強いときのみ、内服や湿布。 ・痛みがなくなればスポーツは可能。 ランナー膝 ・ランナー膝はランニングによる膝関節周辺のスポーツ障害の総称でさまざまな病態が含まれる。 ・狭義のランナー膝として腸脛靱帯が膝部外側で摩擦し、痛みがが発生する腸脛靱帯炎を主として述べる。 ・腸脛靱帯炎はランニングによる膝障害の代表で、膝の屈伸運動を繰り返すことによって腸脛靱帯が大腿骨外顆と接触して炎症を起こし、疼痛が発生。 ・特にマラソンなどの長距離ランナーに好発します(ほかにバスケットボール、水泳、自転車、エアロビクス、バレエ等)。 ・主因はオーバーユースで過剰なランニング時間と距離、柔軟性不足、ウォームアップ不足、休養不足、硬い路面や下り坂、硬いシューズ、下肢アライメント(内反膝)など、さまざまな要因が加味される。 ・大腿骨外顆周辺に限って圧痛が存在。 ・腸脛靱帯は明らかに緊張が増し、時に靱帯の走行に沿って疼痛が放散。 ・初期はランニング後に痛みが発生し、休むと消失するがそのままランニングを続けていると次第に疼痛は増強、消失しにくくなる。 ・症状の誘発方法として、膝を90度屈曲して外顆部で腸脛靱帯を押さえてから膝を伸展していくと、疼痛が誘発される。 ・保存療法が原則で局所の安静、ランニングの休止が重要。 ・大腿筋膜張筋など股関節外側部を主としたストレッチの強化・アイシング、消炎鎮痛剤、超音波。 半月板損傷 ・半月板は線維軟骨からできている組織で、 関節の適合性や安定性をよくし、荷重を吸収分散して 円滑えんかつな動きをさせるクッションとローラーベアリングの働きがある。 ・スポーツ活動などによって膝にひねりがかかると損傷を生じる。 ・内側半月板はスポーツ活動により損傷が生じることが多く、外側半月板は生まれつき半月板の形態が大きい場合、自然発症する。 ・自分で半月板損傷を改善する方法 ・見落としやすい外傷と合併損傷 ・膝の 捻挫ねんざに伴う発症では、半月板単独の損傷と、 前十字靭帯損傷や 側副靭帯損傷に合併して生じる損傷がある。 ・初回の受傷で半月板に亀裂が入っても、小さな傷の場合には無症状もしくは疼痛のみで特徴的な症状はない。 ・受傷を繰り返したり、ひねり方が強いために亀裂が進行したり、大きくなったりすると、膝の中でコリッという音(クリック音)がしたり、ロッキングなどの症状が現れます。 ・関節に水がたまったり、受傷直後には血がたまったりすることもある。 ・検査は超音波検査やMRI検査が有用で、半月板に信号の変化や形態の異常を確認。 ・症状があり、スポーツ活動や日常生活に支障があれば、保存療法は無効のことが多いので、手術療法を行い、関節鏡を使っての手術が一般的で、損傷の大きさ、程度と部位により全切除術、部分切除術、縫合術のいずれかが選択。 ・受傷後はRICE(ライス)療法を行い、MRI設備のある整形外科医を早急に受診することをおすすめ。 ・予防としては、下肢筋肉や体幹筋肉のストレッチ、バランス訓練やウォーミングアップを十分に行うことで膝の捻挫を防げる。 上記のような「じん帯系の破損」の場合は整形外科や接骨院を受診しましょう。 さいごに しばらく治療をしても治りが悪い場合は、背骨や骨盤のゆがみがある可能性が高いので、カイロプラクティック・整体・鍼などの東洋医学系の施術を受けることをお勧めします。 筆者プロフィール 東郷 純宏 グリーンカイロプラクティック水道橋本院院長 プロアスリート、タレント、著名人などが通う技術派の治療院、「グリーンカイロプラクティック水道橋本院」院長。 年齢こそ若いが、日本で2か所でしか受けることができない特別な施術を行う。 "何度も通わせず、なるべく最短で治す"ことを第一に掲げ、患者にとって負担の少なく治すことを信条としている。 頭痛や腰痛などの一般的な症状はもちろんのこと、小児カイロ、妊婦さん、産後の調整なども得意としている。大学内での講演、セミナーを主催したりするなどテクニック講師としても活躍中。
46032
筆者プロフィール
東郷 純宏
グリーンカイロプラクティック水道橋本院院長
この記事が気に入ったら
いいね!しよう
最新情報をお届けします