筆者プロフィール 大久保圭祐 全米ストレングス&コンディショニング協会認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト 米国Rolf InstituteR卒業し、世界三大ボディワークのロルフィングRを修得する。トレーニングやエクササイズ、ランニング等の運動処方、ストレッチングや筋膜リリース等の手技を使って、クライアントの要望に応える。各種メディアにてボディメークの監修、セミナー講師、コラムの執筆など幅広く活躍中。 たった一度の血管トラブルでも、命や生活を脅かしてしまうことがあります。 普段、あまり意識することのない血管ですが、私達のカラダにとって、とても大切な役割を担っています。 今回は血管を支える自律神経・筋肉の仕組みと、効果的な体の動かし方を書いていきます。 むくみや冷え性に悩んでいる方も、一度この「血管」のことを見直してみるといいかもしれません。 血管・自律神経・筋肉。3つのバランスが重要 血管の動き・働きの低下が血管トラブルを引き起こす 血管は全身に血液を流して、酸素と栄養を届けています。 血管そのものの動きをコントロールしている自律神経が乱れたり、血管の働きをサポートしている筋肉が硬くなったりすると、血管も硬くなって血液の流れを悪くします。 そうすると、全身に血液を送る心臓がより強く血液を流すようになり、血圧が上がります。 血圧が上がれば、血管に掛かる負担は大きくなり、血管に傷が付きます。 そこに血液中の成分が集まって固まってしまえば、血管は詰まってしまいます。 また、何度も傷つけられれば、やがて薄くなって破れてしまいます。 そういった血管トラブルを予防するには、血管の動きや働きを整えることが大切です。 自律神経が血管の動きをコントロール 血管は、縮んで拡がる動きを繰り返していますが、それをコントロールしているのが自律神経です。 自律神経は、カラダを活性させる交感神経と沈静させる副交感神経の2つの神経からなり、一方が働き過ぎたり、一方が働かなくなったりしてバランスを崩すことがあります。 中でも、心配事やストレスを抱えていると、常々緊張していてカラダが活性したままの状態、つまり交感神経が働き過ぎてしまいます。 心臓が強く脈を打つように働き、血管を縮める力が強い状態です。 この状態が続けば、血管に負担が掛かるのは言うまでもありません。 カラダを沈静させる副交感神経をしっかりと働かせてあげて、自律神経のバランスを整えてあげる必要があります。 筋肉が血管の働きをサポート また、血管の働きをサポートしている筋肉のコンディションを整えてあげることも重要です。 心臓の一押しだけで全身に血液を流すのは難しく、全身の筋肉が伸びたり縮んだりすることによって、バケツリレーのように血液の流れをサポートしています。 ある筋肉が働いていなければ、そこのサポートは弱く血液の流れが悪くなります。 ある筋肉が硬く縮んでいれば、そこの血管は狭くなっていて、血液が通せんぼされてしまいます。 働いていない筋肉を強くしたり、硬くなっている筋肉を緩めてあげたりして、筋肉のコンディションを整える必要があります。 血管の動きを整える為にできる2つのこと ・血管の動きをコントロールする自律神経を整える ・血管の働きをサポートする筋肉のコンディションを整える この重要な2つを整えるには、ストレッチと運動が有効です。 ストレッチで心身共にリラックス 自律神経が乱れて交感神経が働き過ぎたカラダは緊張しています。 ストレッチしてあげることで自分のカラダの緊張をほぐすことが出来ます。 ストレッチはゆったりと自分のカラダの伸びている場所を感じることが出来ます。 それは普段意識しなかった自分のカラダの内側に意識を向け、自分のカラダが緊張していることに気付くことが出来るので、気持ちを落ち着かせてくれます。 つまり、副交感神経も働くように働き掛けて、自律神経を整えることが出来ます。 ストレッチは、筋肉が硬くなっている部位を伸ばして緩めることが出来ます。 硬くなる部位は個人差がありますが、特に、共通して硬くなりやすい部位としては、身体の中でも太い血管が通っている場所です。 脚の付け根、神経血管が複雑に通っている脇の下、現代病の代表の1つである肩こりの原因となる肩や首です。 これらの部位をストレッチして緩めてあげれば、血管が拡がり、血液の流れが良くなります。 特に、脚の付け根はストレッチすることによって、足のむくみが解消されたり、中には顔のむくみまで軽減されたりすることもあります。 これは、血管が全身に血液を巡らせているからと言えます。 冷え性対策にもなる、動かしていない部位を動かそう 運動によって働いていない筋肉を動かしてあげることも大切です。 肩甲骨まわりやお尻の筋肉を、しっかり使えていない方が多いです。 肘で円を描くように腕を大きく回す運動をしたり、後ろ脚を置いてくるように歩幅を大きくして歩いたりすると良いでしょう。 また、血液の流れの発端となっている心臓から遠い、足や手は血液が届きにくかったり、血液が滞りやすかったりする部位です。 冷え性が起こる原因でもあります。 手を閉じたり開いたりする運動を繰り返すと、瞬時に赤みを増して熱が生まれるのを感じます。 これは、血流によって届けられた栄養と酸素を使って、熱を生み出しているからです。 片脚立ちや、バランスを取る運動に取り組むと、足を細かく動かして、足の筋肉を活性させることができます。 血管とカラダを整えれば、危険は回避できる 血管のコンディションが悪ければ、カラダのコンディションも悪くなります。 酸素や栄養が届かなければ、カラダは上手く働きません。 その状態が続けば、たった一度でも命や生活を脅かす血管の事故に繋がります。 運動やストレッチで、血管のコンディションを整えてみてください。 筋膜ボディセラピー著者:大久保圭祐 出版社:三栄書房
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大久保圭祐
全米ストレングス&コンディショニング協会認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト
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