こんにちは。山の上の院長こと佐々木です。 今回のコラムは当院に来院される患者様の悩みの中でもとても多い頭痛や肩こりについて、 ちょっと違った観点から情報をお届けしてみたいと思います。 まずこの頭痛と肩こり、よく聞くお話しをすると 「こんなに肩の筋肉が硬くて血流が悪くなっていれば頭痛もするさ。」とか、 「肩や首の筋肉が硬くて血流が悪くて頭痛が出ているんだと思いますよ。」と 患者様にお話しされる先生がいます。 確かにその通りなのですが、ここでまず考えてゆかなければならないことは、 ”血流が悪くなっているから肩こりや頭痛が起きている”ということではなく、 ”なぜ血流が悪くなってしまったのか”を考えなければ根本的な改善は見込めません。 つまり”同じことの繰り返し”となってしまいます。 この同じことの繰り返しを”慢性化”という言葉に置き換えて表現しているようなものです。 その部分を詳しく考えてみたいと思います。 理由や原因が明確化されていない症状に対する考え方 人間の体に現れる痛みや不調には必ずなんらかの原因が潜んでいます。その原因が見つけられれば病名が付けられます。 しかしその原因が見つからなければ俗に言われる「原因不明」や「異常なし」として扱われてしまい、その多くの場合、その症状に対する明確な治療法や施術法ではなく、経過観察となり、 改善が見込めるかどうかわからないまま治療や施術を継続してみることになってしまいます。 例えばカッターナイフで指を切ってしまったという方がいたとします。 カッターナイフで指を切ってしまい、出血している、痛みがあるとした場合、どのように対処するか。 これが小さなお子様で初めてカッターナイフを使ったという場合に置き換えて考えてみて下さい。 一度出血箇所をティッシュや滅菌ガーゼなどで拭いたり消毒したりして絆創膏などを貼ってあげると思います。この時とても多く聞こえてくる親から子供へ話す言葉の内容として「カッターナイフは危ないから気をつけないとこうやって手を切ってしまうんだから気をつけなさい。」というような内容の言葉でした。 また、私の住んでいる田舎には用水路や河川がとても多く入り組んでおり、小学校の会議などでよくフェンスを設置して欲しいというような要望を耳にします。 確かに悪いことではありませんが、その方々に家庭でお子様に対してどのように話しているのか。一番多く聞こえてきた言葉が「川(水)は危ないから絶対に近づかないようによく言って聞かせています。」ということでした。 なんの問題もなさそうに聞こえてしまうこの言葉ですが、私が思うに一番重要な部分がポッカリと抜けているような気がします。それは何か皆さんはおわかりになりますか? 「どうやって手を切ってしまうことになったのか?なぜ川(水)は危ないのか?」など、危険に対する理由や原因がどこにもないのです。 実際にお子様に聞いてみると「川に行っちゃダメなんだよ。だってお母さん(お父さん)に怒られるから。」と大半の子が答えます。なぜ親が怒るのかという理由自体わかっていないのです。その理由がわからないと、川や水の本来の危険性などわかるはずがないのです。 それと同様で、人間の体の痛みや不調に対して、痛みや不調が出ている部位や運動器などにだけ着目してしまうことで、その奥に隠れている痛みや不調の本来の原因が見えなくなってしまうものなのです。 痛みや不調はあくまでも結果であって、本来はその深い部分に隠された理由と原因を明確にしなければ症状の改善はなかなか見込めなくなってしまいます。 頭痛の種類を特定することが改善への第一歩 頭痛とひとくちに言っても種類はたくさんあります。 そのたくさんある頭痛の中で自分はどの頭痛なのか、単発的な頭痛なのか複数の種類の頭痛の併発なのかをまずは考えなければなりません。 具体的に多く見られるのは「血管性や偏頭痛」のように、一部血管の拡張作用によて頭部を下げると脈拍に合わせるように「ズキンッズキンッ」とか「ドクンッドクンッ」と痛みが増悪するタイプの頭痛と、逆に血流が阻害され、結果的に首のこりや肩こりになってしまうことで起こる「緊張性の頭痛」がもっとも多く見られます。 また数少ないケースでは目の奥がまるでえぐられるように激痛を伴うこともある「群発性」や循環器疾患による血栓などの影響で起こるものもあります。 どの種類の頭痛なのかによって対処方法が異なり、逆の対処方法をとってしまうことで症状が悪化することがありますので、慎重に見極めて対処してゆくことが大切になります。 しかし先にも挙げましたが、痛みに対する対処方法だけであれば根本的なものにはならず、時間の経過や生活環境が変わっていなければまた同じ痛みが数日で繰り返してしまうことが多くなります。 頭痛の原因の多くは生活環境、生活背景の中にある これは頭痛に限った話しではなく、ほぼ全ての痛みや不調の原因は、我々が何気なく送っている生活環境、生活背景の中に潜んでいることがとても多く、その環境改善を行うことで痛みや不調を出さずに生活して行くことが可能になることが多いと考えられます。 これは自宅での生活だけでなくお仕事やその他まで含めた部分を言い、近年増えていると言われているパソコンを用いたデスクワークやスマートフォン、タブレット端末の使用による姿勢の悪化や視神経の疲弊、女性の場合であれば仕事と家事の両立によるストレスや内蔵の疲弊などから起こる自律神経系の作用による頭痛など、様々な状況が考えられます。 ではこの症状に対して、痛みを和らげる為に頭痛薬の服用を行ったとして、症状によっては一時的な改善はあるかもしれませんが、基本的には一時的なものであり、数日経過するとまた同じ症状が繰り返されます。 これを「慢性化している」と表現しているのであり、本来先生であれば、患者様に対峙している時の治療や施術だけでなく、日常生活で何に気をつけるべきか?簡単に行える対処法は?なぜそれをやらなければならないのか明確な理由は?など、院外で行うべきことを的確にアドバイスできるまでが治療や施術であり、それがなければ治療や施術は絶対に完結することはありません。 慢性症状は治らない症状ではない 長く続く慢性症状と呼ばれる多くのものは、決して治らない症状ではありません。 ではなぜ治りにくいのか。 上記でもお話しさせて頂きました通り、体の不調の原因の多くは日常生活の中にあります。 大きく日常生活の環境が変わらなければ治りにくいのも当たり前です。 患者様の中には「それはわかるけど、それをどうにかするのが先生と呼ばれる人の仕事でしょ?」と話される方もおられます。 確かに言いたいことはわかりますが、よく考えてみて下さい。 例えばガンの患者様が手術をして治ったとします。治ってしまえば元通りの生活や不規則な生活をしても全く問題ないのかというとそうではありません。 これは何もガンという症状に限ったことではありませんし、車などの機械も同様で、点検や整備をしてもらっているからといって乱暴な運転ややってはいけないと言われているような走り方をすれば壊れてしまい「保証外」と言われてしまうのがオチです。 我々は(もちろんそうでない先生もおりますが・・・)本気で治って欲しいと思うからこそ本気でアドバイスも致します。 「別に治らなくてもいいかな。」と思えば適当に対応すると思います。 だからこそ本当に辛いのであれば患者様も本気で何かを変えて行こうと努力をして頂きたいのです。それができないからこその慢性症状なのです。 まとめとして 本当に辛い頭痛や肩こりは検査をしても軽視されがちで、結果的に薬や注射などでの対応となっています。しかしわかって頂きたいのは「薬の服用は治療や施術ではない」ということです。 一時的には楽になるかもしれません。 しかしその後は症状が出ないかというとそうではありません。皆様に将来的改善へと向けて何をして行くべきなのかを真剣に考えた上で対処していって頂きたいものだなぁと思います。 もう一度お話しさせて頂きます。 慢性症状は決して治らない症状ではないということを皆様のどこか心の片隅にでも置いておいて下さい。 こちらの動画では、デスクワークによる頭痛と肩こりの30代女性の悩みに対してお答えしています。気になる方はぜひご覧ください。 それではまた次回お会いしましょう(^ー^) 筆者プロフィール 佐々木 俊一 佐々木長生整体院院長 ●東洋整体専門学院、東洋整体認定整体師 ●NPO法人日本手技療法協会会員 ●NPO法人日本手技療法協会・整体師会バランス整体実技指導員 ●トップセラピストカレッジパートナースクール岩手八幡平校代表 不定愁訴、慢性疼痛など、来院される患者様のおよそ97%が様々な病院、治療院、施術院などに通い、様々な治療や施術をしてきたにも関わらず症状が改善しなかったという方々になります。その患者様、お客様の症状に対して色々な観点からお話しを伺い、回復へと繋げる手技施術を行なっており、患者様の中には医師、看護師、薬剤師、柔道整復師などの医療従事者の方々、地元テレビアナウンサーの方々、一般の方、高齢者、学生、小さなお子様の方々などを幅広く診させて頂いております。 医師の先生(内科医)から、ご自分のお子様の体のことでご相談を受けたり、同業者の先生からご相談を受けたりと、珍しい経験もあり、様々な状況や情報のご提供をしてゆけるのではないかと思い、コラムの寄稿を行っております。
筆者プロフィール
佐々木 俊一
佐々木長生整体院院長
●東洋整体専門学院、東洋整体認定整体師
●NPO法人日本手技療法協会会員
●NPO法人日本手技療法協会・整体師会バランス整体実技指導員
●トップセラピストカレッジパートナースクール岩手八幡平校代表
この記事が気に入ったら
いいね!しよう
最新情報をお届けします