背中を丸めてあごを出し、浅い呼吸でスマホやパソコンをしていませんか? 「猫背かな?」とご自身でも意識はあっても、「じゃあどうすればいいの?」と悩んでいる人も多いのではないでしょうか。 猫背は、首や肩のコリの原因になるだけでなく、首のたるみや二重あご、しわの形成など美容面にも影響を及ぼしてしまいます。 一般で言う「背骨」は、医学的には「頸椎・胸椎・腰椎」に分けられます。 首の骨(頸椎)は前カーブ、胸の骨(胸椎)は後ろカーブ、腰の骨(腰椎)は前カーブというふうに、緩やかにS字曲線を描いているのです。 しかし、現代人の大部分は胸椎の後ろカーブが強い、猫背の状態になってしまっています。 この、猫背を整えて「正しく美しい姿勢」になりたいと思いませんか? 今回は、猫背の原因とそれを緩和する方法をお伝えいたします! 猫背を生み出す原因とは? 猫背は楽だけど良い姿勢ではありません。 基本的に人間は、丸まろうとする力のほうが強いものです。 赤ちゃんは身体を丸めて生まれてきますし、年齢を重ねるとどうしても背中はだんだんと丸くなりやすいものです。 このように「丸まろう」とする力に対抗するのが筋肉なのですが、現代社会では一日中パソコンの仕事で猫背になりやすかったり、スマホゲームに夢中で不良体勢になったりと、筋肉を正しく使えていません。 これが、猫背を生み出す原因となるのです。 猫背の見分け方 ご自身が猫背かどうかは、ちょっとした立ち方ですぐに分かります。 横側から見て、頭は前に出て、背中は丸まり、あごが上がっているのが猫背。 特にイスに座ってのパソコン作業などでさらに悪化します。 なぜなら、猫背の方が楽だからです。 どういうわけかといいますと。 体重を支えて、身体と床が接している部分をぐるりと囲んだ範囲を「支持基底面」と言います。 イスに座った姿勢のときは、お尻がイスに接する面と、両足が床に接する面をぐるりと取り囲んだ範囲内となります。 このとき、最も楽な姿勢は、身体の"重心"が支持基底面の中心にあるときです。 座ったときの"重心"はどこかといいますと、ちょうど胸椎の9番付近となります。 胸椎9番とは、ちょうど背中を軽く丸めた頂点あたりです。 ここが重心となりますので、背すじをピンと伸ばすと、重心が後ろに寄ります。 すると、姿勢を維持させるためにお腹の筋肉を使わなければなりません。 しかし、背中を前に丸めれば、重心が前方に移動するため、支持基底面の中心に近づくことになります。 そのため、お腹の筋肉を使うより、背中を丸めたほうが楽なのです。 楽な姿勢と良い姿勢のちがい ただし、重要なことは「楽な姿勢」と「良い姿勢」は違うということです。 猫背の姿勢では、身体が正しく使われていません。 筋肉をほとんど使用していないのです。 そのために、筋肉が本来の動きができないため調子を崩してしまうことも。 まずは、ちょっとだけ普段の座り姿勢を意識してみてください。 猫背の体勢でパソコン画面を見ると、あごが出て後頭骨が縮まります。 すると上部頸椎(首の骨)を走る自律神経が圧迫され、頭痛・耳鳴り・目の奥の痛みなどの様々な不調が起きてしまいます。 また、肩が前に出る「巻き肩」の姿勢によって呼吸が浅くなり、自律神経が乱れて気分も滅入ることがあります。 本来、肩まわりには腕を自在に動かすのを支える大胸筋や小胸筋などの筋肉がありますが、これらの筋肉が硬いと、猫背がさらに悪化します。 さらに、腰が丸まった、若い人に多い「仙骨で座る癖」も、猫背を悪化させてしまいます。 イスに座るときに背骨が丸まっていると、連動して腰も丸まり、骨盤の後ろ側の仙骨や尾骨で支える座り方となります。 正しい座り方は、座ったときに左右のお尻の下にある骨「坐骨結節」をイス面につけて体を保持する姿勢なのですが、これは背すじを支えるための腹筋がないと長続きすることができません。 常に良い姿勢をとる必要はない! 猫背は、ほとんどの人がちょっとした意識とその継続で改善を目指すことができます。 最近では、姿勢を改善するための矯正ベルトなどが雑誌の付録などに付いていますが、短時間のトレーニング用として使用する分には良いと思いますが、長時間の使用はあまりオススメはしません。 なぜならば、猫背によって胸の大胸筋や小胸筋がガチガチに硬まっているのに、ベルトで無理に外からの力で胸を反らせると、腰を痛めてしまいます。 身体はつながっていますので、その部分だけの矯正ではケガのもと。 それよりも、日々の動作の中でこまめに筋肉を動かすことが改善につながります。 すると、少しずつですが身体は学習し、筋肉の質も変わっていきます。 日々のちょっとした意識の持ち方で、身体は良い方向に向かうのです。 このコラムをワードで入力している私自身も、作業に集中するとどうしても猫背になってしまいます。 猫背に気づいた時に、修正姿勢をとる。 きつくなってきたら元に戻す・・・という繰り返しを日々おこなっています。 こうして、筋肉に伸び縮みの刺激を繰り返し与えることが大切です。 常に良い姿勢をとる必要はないのです。 まずは、1時間に30秒だけ胸を広げる姿勢を意識して修正しつつ、身体に筋肉の使い方を再学習させることから始めてくださ い。 そこで今回は、猫背のリセット方法を3つお伝えいたします。 猫背のリセット方法 猫背のリセット法とは、「硬くなった筋肉をストレッチして、衰えた筋肉を鍛える」ストレッチです。 猫背により硬くなる筋肉は、おおまかに2カ所あります。 「首の後ろ側の筋肉」と、「胸の大・小胸筋」です。 そこで、まずは胸筋のストレッチをお伝えします。 大胸筋を伸ばすストレッチ 1. 椅子に浅く腰かけます 2. 両手は椅子の背もたれにつかまります 3. 手首を内側にしてつかみます 4. 胸をはり、顎を上に向けてゆっくり伸ばします 5. 10秒を3セット行いましょう イスに座っているちょっとした合間に簡単にできます。 次に、小胸筋のストレッチです。 小胸筋のストレッチ 1. 立ち上がって壁に手をつけます 2. 壁に体重をかけていきます 3. 壁に着けている手を後方に少しずつずらしていきます 4. 小胸筋が伸びていると感じる体勢をキープします 5. 息を吐きながら30秒1セットを行いましょう 6. 反対側も行ってください 決して無理はせずにゆっくりと気持ちの良い程度で始めてみてください。 繰り返すうちに、実感としてどんどん筋肉が伸びていくのを感じ取れると思います。 最後に、脊柱起立筋を鍛えるストレッチをお伝えいたします。 脊柱起立筋を鍛えるストレッチ 1. 仰向け姿勢で足を揃えて、床からできるだけ直角に両足を上げます 2. そのままゆっくりと足を下げていきます 3. できるだけ低い位置まで両足を下げて、そのまま30秒キープ(足は床につけないでください) さいごに 正しい姿勢、良い姿勢には欠かせない背中の筋肉を鍛える訓練です。 簡単ですが地味にキツイかも…ですが筋肉を鍛えている証ともいえますね。 ぜひ続けてみてください。 筆者プロフィール 市之瀬 法彦 株式会社いちのグループ代表 全国規模の有名整骨院で部長職、千葉県有数の整骨院グループで院長に赴任するも、理想の治療院を作る為に、東京の激戦区である板橋に「いちの整骨院・整体院」を10年前に開院。 当院卒業生で開業したスタッフ多数。「楽になったよ。ありがとう」の声を聞きたくて日々奮闘中!!
筆者プロフィール
市之瀬 法彦
株式会社いちのグループ代表
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