原因が特定できない症状でも施術法を見出せる鍼灸治療 自律神経関連疾患の治療と言えばまさに我々鍼灸師の得意とする分野です。 なぜならば、現代医学では原因疾患や目に見える病理学的変化や検査所見が見つからないとまず有効な治療手段が見出せないのが現状ですが、 それに対して我々の技術ではその原因が特定できなくても症状をターゲットとしてアプローチし、改善させる施術を行うことができるから です。 自律神経の働きが乱れると様々な症状を引き起こす 自律神経系は精神と身体の接点であり、内分泌とともに内部環境の調整及び免疫反応に大きな役割を果たしています。 この自律神経の働きがみだれ各種の症状をみるようになった病態が自律神経失調症です。 それでは、自律神経に対して鍼灸などの手技療法はどの様な影響を与えるのでしょうか。 鍼灸などの手技療法が効果的に作用するメカニズムとは? 臨床鍼灸学を拓く(西條和止 著 医歯出版薬出版)の中で臨床における鍼の治効、六つのメカニズムという記載があります。 このうちの4つは一般に鍼治療の治効メカニズムを判り易く表現されていますので、下記に転記させていただきます。 ① 組織損傷による生体防御機転刺激 ② 筋への刺激により、筋の過緊張を緩和し血液循環をよくする刺激局所作用 ③ 筋刺激による交感神経を遠心路とする反射機転 ④ 皮膚・皮下組織刺激による副交感神経機能を主体的に高め、自然治癒力を高める機転 (西條和止 著 医歯出版薬出版より) つまり、鍼を刺し、筋肉や皮下組織などに刺激を与えることで筋肉の緊張をほぐしたり、血液の循環を良くしたり、交感神経の機能を高め自然治癒力を高めたりすることができるということです。 私の場合も、まさに治療に際して上記の様な事を念頭に置いて治療していますし、きっとそのようなメカニズムで鍼の効果が表れているのだろう思っています。 鍼治療を行うと、刺激に対する反応が体の一部の色が変化し現れることも そして実際に鍼治療で一例として皮膚の体色変化として目に見えるかたちでも刺激に対する反応が現れます。下記の写真は当院の患者さんに背部置鍼して5分程経った時点での写真です。 はっきりと直線的な境界線で帯状に皮膚の色がピンク色に変化しています。ちょうどキネシオテープを貼ったように色が変わっています。二本の線が途中で交わった後、腰部下部から仙骨部でループ状に輪を描いています。 特に自律神経の変調しやすい患者さんに多く見られる現象です。 筋の走行やデルマトームとも一致しないラインです。どちらかと言うと経筋の走行の方が近いかもしれません。 筆者プロフィール 杉山 祐介 経歴 都賀光明堂治療院 院長 千葉市鍼灸マッサージ師会副会長 千葉県鍼灸マッサージ協同組合監事 資格 あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、介護支援専門員
1947
① 組織損傷による生体防御機転刺激
② 筋への刺激により、筋の過緊張を緩和し血液循環をよくする刺激局所作用
③ 筋刺激による交感神経を遠心路とする反射機転
④ 皮膚・皮下組織刺激による副交感神経機能を主体的に高め、自然治癒力を高める機転
(西條和止 著 医歯出版薬出版より)
筆者プロフィール
杉山 祐介
経歴 都賀光明堂治療院 院長
千葉市鍼灸マッサージ師会副会長
千葉県鍼灸マッサージ協同組合監事
資格 あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、介護支援専門員
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