デスクワークの人が訴える身体の不調で、最も多いのが首の痛みや肩こりです。 今回はデスクワークの人が首の痛みや肩こりになる原因を取り上げていきます。 1.姿勢からくるもの デスクワークの仕事では長時間同じ姿勢になりがちで、姿勢を維持するときに首、肩、背中の特定の筋肉を収縮させています。筋肉は同じ位置で固定され続けると硬くなる性質があるため、首の痛みや肩こりを引き起こします。 また、パソコンの作業姿勢は悪い姿勢になりやすく、顔を前方に突き出し、顎は上を向いた姿勢になります。この姿勢だと5キロ前後ある頭の重さが数倍にもなって首や肩の筋肉により負担をかけます。 他にも机や椅子の高さが合っていない場合も姿勢が乱れ、首の痛みや肩こりを引き起こしやすくなります。 長時間同じ姿勢でいることが毎日繰り返されることでだんだんと筋肉が硬くなり、姿勢も悪くなり、首の痛みや肩こりが慢性的な症状になります。 2.血行不良からくるもの 血液には酸素や栄養を身体の各部分に届けたり、老廃物を運搬したりする働きがあります。血行不良になるとこれらの働きが衰えるため、首や肩の筋肉にも十分な栄養や酸素を送り込めなくなり、老廃物も蓄積するため、首の痛みや肩こりの症状がよりひどくなります。 長時間の同じ姿勢や、身体の冷え、運動不足、ストレスなどで血行不良を引き起こします。 3.眼精疲労からくるもの パソコン作業を長時間行うと眼が疲れてきて、同時に首の痛みや肩こり、頭痛などの症状も起こりますが、これには理由があります。 後頭部から首にかけて付着する4つの筋肉を総称して「後頭下筋群(こうとうかきんぐん)」という筋肉群があります。 この、後頭下筋群は、頭の位置を固定する役割を持つ一方で、眼の動きと連動してこの筋肉も同時に動きます。パソコンの画面を見ている最中は、常にこの後頭下筋群が働いて、首の後ろはずっと緊張状態になっています。後頭下筋群が硬くなると、その表面を覆う僧帽筋という首、肩、上背部まで広がる筋肉も硬くなります。 そのため、眼が疲れている時は、後頭部から首、肩の筋肉も緊張状態になっているのです。 4.ストレスからくるもの 自律神経には活動時や緊張時に働く交感神経と、休息時や睡眠時に働く副交感神経があります。 この交感神経と副交感神経はシーソーのようにお互いのバランスをうまく調整していて、どちらか一方が働いているときは、もう一方は休んでいる状態になります。 身体を正常な状態に保とうとする恒常性の維持機能は、交感神経と副交感神経のスムーズな切り替えによって行われています。 ところが何らかの事情で強いストレスを感じると、自律神経のバランスが乱れ交感神経が働きすぎる状態になります。 交感神経が優位になりすぎると、血圧の上昇、末梢血管の収縮、筋肉の緊張といった状態が長く続いてしまいます。そうなると首や肩の筋肉も血流障害が起こり、首の痛みや肩こりにつながります。 このようにデスクワークの人の首の痛みや肩こりの原因は、どうしても避けられないものもありますが、症状が出ているのに放置していると、頭痛や吐き気、しびれなど重症化してしまうこともあります。 ひどくなる前にこまめにケアをしていきましょう。 筆者プロフィール 浅見 仁 「はり・きゅう・マッサージJIN治療院」院長 鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師 頚椎症、頚椎ヘルニア、ムチウチなど首の症状でお悩みの方が数多く来院し、痛みやしびれ、頭痛などの改善を得意としている。 腰や膝の痛みなどの一般的な症状はもちろんのこと、内臓の不調や婦人科系のトラブルなども幅広く対応している。 施術だけでなく、日常の姿勢や動作、食事や運動など、健康に近づくためのトータル的な視点からとらえたアドバイスを心がけている。
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筆者プロフィール
浅見 仁
「はり・きゅう・マッサージJIN治療院」院長
鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師
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