VDT症候群とは VDTとはVisual Display Terminal(コンピューターの表示機器)の略で、VDT症候群は、パソコンやスマートフォン、タブレットなどの機器を長時間使用することによって、目の症状や、首、肩、腰などの身体の症状、精神的な症状を引き起こす病気です。VDT症候群の目の症状については、「テクノストレス眼症」と呼ばれることもあります。 VDT症候群の症状 目の症状 最も多いのが目の症状で、 ・目の疲れ ・目の痛み ・ドライアイ ・目の異物感、 ・視力障害などの症状があります。 パソコン作業中は、ディスプレイを凝視することが多く、まばたきの回数が減ってしまいます。そうすると涙の分泌量が減り、目が乾いた状態になるので目が傷つきやすくなり、目の疲れや痛み、ドライアイなどの症状を起こしやすくなります。 また、パソコン作業を長時間行うと、常に近い位置にピントを合わせている状態になるので、ピントの調節機能が衰え、視力低下につながります。 身体の症状 身体の症状としては、 ・頭痛 ・首や肩のコリや痛み ・腕のだるさや痛み、しびれ ・背中や腰のコリや痛みなどがあります。 同じ姿勢でパソコン作業や、スマートフォンの操作を長時間続けることによって身体が緊張し、血流も悪くなるため身体の各部に身体のコリや痛みが起こります。例えば、パソコンのモニターを見る姿勢を長時間続けて、首や肩に負担がかかり、痛みやしびれの症状を引き起こしたり、キーボードのタイピングによって腕や手首、手指に負担がかかり、腱鞘炎やばね指などを起こしたりすることもあります。 精神的な症状 精神的な症状としては、 ・めまい ・食欲不振 ・過食 ・睡眠障害 ・抑うつ症状などがあります。 VDT症候群は、目や身体だけでなく、精神的な症状も引き起こすことがあります。目を酷使することにより脳もストレスがかかり、その結果、精神的な症状が発症します。 VDT症候群の予防 VDT症候群の原因は、パソコンやスマートフォン、テレビやタブレットなどの電子機器に接することが多いために起こるので、根本的な予防としてはそれらの機器を使用する頻度を減らすことが一番です。しかし、仕事でパソコンを使う場合は、使用をやめるわけにもいきません。 仕事でパソコンを長時間作業する場合は、1時間おきにVDT作業を休止して、他の業務をローテーションで行うなどの工夫も必要です。また、休憩中に遠くの景色を見たり、軽い体操を行ったりすることで同じ姿勢で緊張してしまった身体をほぐしてあげることも必要です。 また、ディスプレイの位置や、机と椅子の高さも重要で、ディスプレイに日光や照明の光が反射しない場所に設置し、高さも目線が少し下向きになるように合わせると目の負担を減らすことができます。 家や電車に乗っている時間にパソコンやスマートフォンなどの使用を減らすことも予防につながります。 VDT症候群の解消法 目を閉じてから、パッと大きく見開く運動や、顔を動かさずに目を上・下・左・右に大きく動かすことで、目の周りの筋肉をほぐす効果があります。 温かい蒸しタオルを用意して目の周りや首筋ににあてることで、血液の循環が改善して疲れ目が解消されます。 長時間VDT作業で同じ姿勢を続けていると、首、肩、背中、腰、腕、足など全身の筋肉が緊張して疲労が蓄積して血流も悪くなり、痛みやしびれなどの原因につながります。特にパソコンやスマートフォンを操作するときの姿勢は、顔を前に突き出した悪い姿勢になりやすいため、身体の負担が大きくなります。 姿勢に注意し、できるだけ長時間同じ姿勢を続けないようにすることと、ストレッチをしたり、立ち上がったり、こまめに歩くなど、身体を動かして筋肉を柔らかい状態に保つことが大切です。 筆者プロフィール 浅見 仁 「はり・きゅう・マッサージJIN治療院」院長 鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師 頚椎症、頚椎ヘルニア、ムチウチなど首の症状でお悩みの方が数多く来院し、痛みやしびれ、頭痛などの改善を得意としている。 腰や膝の痛みなどの一般的な症状はもちろんのこと、内臓の不調や婦人科系のトラブルなども幅広く対応している。 施術だけでなく、日常の姿勢や動作、食事や運動など、健康に近づくためのトータル的な視点からとらえたアドバイスを心がけている。
筆者プロフィール
浅見 仁
「はり・きゅう・マッサージJIN治療院」院長
鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師
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