こんにちは、国際中医師の梶村です。 五十肩を経験した人の多くは「五十肩はしっかり運動して早く治さないと肩が動かなくなるよ」という人が多いです。 もっともな感じがしますが実際はどうなのでしょうか? 昔は、40代~50代で棚の上の物が取りにくい、夜中に肩が痛くて目が覚める、などの五十肩特有の症状を呈する疾病群を、全部ひっくるめていわゆる「五十肩」と呼んでいました。 しかし現在では腱板炎、滑液包炎、腱炎、化骨性筋炎などと固有名詞で呼ぶようになったので、五十肩という病名を使うことが少なくなってきています。 ではどういったものを五十肩と呼ぶのでしょうか? 五十肩はこじれて1年以上の期間をようするもの こじれてしまって治るのに1年以上の期間をようするものを五十肩と呼びます。 つまり、初期段階での治療に失敗した人が五十肩になるのです。 五十肩は真面目な人ほどひどくなる傾向が強く、そのほとんどが早く治そうとして、早期から痛みに耐えながら肩を一生懸命動かします。 では、一生懸命努力したのにこじれるのはなぜでしょう? 痛みを我慢して運動し五十肩を発症してしまう 文章の流れからカンの良い人ならもうお分かりだと思いますが、五十肩の初期は腱板炎、腱炎、滑液包炎などの炎症症状なのです。 肩関節周囲の靭帯や腱などに炎症が起こって痛みを発して、痛みで肩関節の動きが制限されているのです。 組織の炎症は安静、冷却、固定が基本であるのに、逆に痛みを我慢して運動した結果、炎症が最高潮に達し、ついには痛みで夜も寝ることが出来なくなるほどにこじれて五十肩を発症してしまうのです。 五十肩の3つのステージ 五十肩には3つのステージがあります 初期(急性期)は炎症による痛みが激しい時期 中期(慢性期)は完全に五十肩が発症して痛みと共に関節の拘縮が始まる時期 後期(回復期)は痛みは軽くなるが肩関節が拘縮して動きにくい時期 五十肩の先輩からアドバイスを聞かない方がいい理由 五十肩が治った人は、後期(回復期)に、拘縮して動きにくい肩関節を一生懸命運動して五十肩を克服した記憶だけが残ります。 そして初期(急性期)に五十肩の先輩からアドバイスを受けて、肩関節が動かなくなると大変だと思いこみ、我流の運動療法を実行したことで、こじれて五十肩になってしまったことなど忘れてしまっているのです。 だから肩の調子が悪い人を見ると「五十肩は肩が拘縮して動かなくなるから動かさないとダメだよ」とみんなにアドバイスするようになってしまい、それをまじめに実行した人が新たな五十肩患者となってしまうのです。 だから五十肩になった人のアドバイスは聞かない方がいいのです。 調子が悪いと思ったらまずは専門の治療院へ 肩の調子が悪いと思ったら、他人のアドバイスや自己診断で勝手な運動療法をしないで、専門の治療院へ行って、自分の症状が初期の炎症の時期なのか、中期の五十肩を発症してしまっている時期なのか、すでに1年以上不調が続いて回復期になっているのかを正しく診断してもらってから、治療する事が最も早く治す近道なのです。 筆者プロフィール 梶村英男 梶村鍼灸整骨院院長国際中医師、鍼灸師、柔道整復師、ケアマネージャー、 チャイルドボディーワークセラピスト 高校時代に部活動の軟式テニスで腰痛症になり、整骨院へ通院した経験から治療家を志し、卒業後に行岡柔道整復専門学校へ進学、大阪鍼灸専門学校卒業時に大阪府知事表彰受賞し、平成2年に現在の大阪府藤井寺市に梶村鍼灸整骨院を開設。 25年にわたり地域医療に根ざした治療活動を展開。現在では中医鍼灸治療と極細鍼治療の普及活動を精力的に行っており、業界誌『鍼灸ジャーナル』に「心に残る症例」、『医道の日本』に「5分の置鍼で治った五十肩の症例と仮説」が掲載され論文やコラム多数執筆。来年1月発売予定の「腰痛解消!神の手を持つ15人」(現代書林)の一人に選ばれている。
筆者プロフィール
梶村英男
梶村鍼灸整骨院院長
国際中医師、鍼灸師、柔道整復師、ケアマネージャー、
チャイルドボディーワークセラピスト
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