腰椎すべり症は中高年によくみられる症状です。原因として、加齢による腰の筋肉や靭帯の老化があげられます。 腰椎を若いころのように安定させるには、腰椎の周囲にあるインナーマッスルを鍛えることが必要です。 インナーマッスルを鍛える体操は、激しい動きではありません。体力のない方でも手軽に取り組める運動です。 腰椎すべり症とはこんな病気 腰椎すべり症とは、腰の骨である腰椎の一部が前後どちらかにずれる疾患です。椎骨棘突起が割れることで椎弓と椎体が分離し、椎体だけがすべります。ずれた椎体は元の位置に戻ることはありません。 腰椎すべり症は中高年に多い疾患です。急性のすべり症というものはほとんどなく、大抵は若いころに腰椎の一部がすでに分離しています。 中年期にさしかかり腰の筋肉が弱くなったことで、筋肉や靭帯が破損した腰椎を支えきれなくなり、病状がすべり症に進行します。 症状改善のために体操が効果的な理由 体操で腰椎すべり症を完治させることはできません。しかし体操で腰の筋肉を鍛えれば、痛みやしびれなどの症状を大きく減らすことはできます。 体操の目的は、加齢で弱くなった腰の筋肉に刺激を与え、若いころのような強い筋肉を腰椎の周りにつくることです。 体操を続けると、すべってしまった椎体の周囲の筋肉が柔軟性をとりもどします。筋肉の支えのおかげで腰椎が安定すれば、神経への刺激を減らし、痛みやしびれを軽減させることも可能です。 症状改善のためには、インナーマッスルを意識して刺激することが大切です。この筋肉群は体の深いところにあるため、整形外科で電気治療でもうまく働きかけることはできません。インナーマッスルを鍛えるには、自分で行う体操がもっとも効果的な方法です。 腰椎すべり症の人が体操で気をつけること 腰椎すべり症の人がむやみに運動をすることは危険です。腰に必要以上の負担をかけると、症状をかえって悪化させることがあります。できれば専門家をに相談し、自宅でできる安全な体操について助言をもらるといいでしょう。 この疾患の人が、必ず気をつけるべきポイントは2つあります。 腰を後ろへ大きく反らせる動作は厳禁です。とくに椎骨が前方へすべっている人の場合、腰を反らせることですべりが大きくなることがあります。 寝そべった状態から状態をおこす腹筋運動はやめましょう。腰に大きな負担のかかる動作なので、この運動では腰の疼痛がかえってひどくなります。 また腹筋運動で鍛えることができるのはお腹の表層筋です。つらい腹筋運動はインナーマッスルには効果がありません。 腰の痛みを改善できる体操 腰部にあるインナーマッスルは、腹横筋とよばれる筋肉です。この筋肉がコルセットのように腰椎を支えています。 腰痛を軽減するには、腹横筋を刺激して鍛えることが必要です。 インナーマッスルを刺激する体操は簡単です。腹筋運動のような筋肉痛もないため、効いている自覚をもちにくいかもしれません。 ですがこの体操で腹横筋は確実に刺激できます。丁寧に呼吸をし、ふだん使わない深い部分の筋肉を動かすように心がけましょう。 椅子に浅めに座ります。両手をまっすぐに上げ、頭のうえで左右の手の平をあわせます。腰が反らないように注意しましょう。 下腹をふくらませるように、鼻から大きく息を吸います。限界まで息を吸いきったら、ゆっくりと息を口から吐きます。吐きながら下腹をできるだけへこませます。お腹の皮が背中につくようなイメージでへこませましょう。この姿勢を20秒キープします。 この動作を3セットくりかえします。下腹を大きく動かすほど、腹横筋に強い刺激を加えることができます。
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