寝違えとは 「朝、目が覚めたら、首が痛くて動かない…」みなさんも今までに一度はこのような経験があるのではないでしょうか? 寝違えは、朝起きたときに首、肩、背中に痛みがあり、症状が軽い場合は首を動かそうとすると痛みで動かしにくい程度ですが、症状が重くなると上下左右の首の動きや振り向く動きが激痛のため、全くできない状態になります。 原因の多くは、首や肩の筋肉の疲労が続いていたり、睡眠時に無理な姿勢のまま寝てしまったりすることで起こります。 通常は、睡眠中に首に負担のかかる姿勢になっても寝返りをうつことで正しい姿勢に戻るのですが、深酒をして酔っぱらった状態で寝ると、首に負担のかかる姿勢で寝ていても寝返りをせず、そのままの姿勢で眠り続けてしまいます。 そのため、翌朝に寝違えていることが多くなります。 ひどい寝違えの時は、首や肩の筋肉をグリグリとマッサージしたり、無理にストレッチしたりするとかえって悪化してしまうので控えてください。 ツボを使って寝違えの症状を和らげる方法 今回は、遠隔部のツボを使って寝違えの症状を和らげる方法を紹介します。 ①落枕(らくちん) 人差し指と中指の間を指先側から手の甲に向かって指ですべらせていくと、途中で骨で止まる場所が落枕というツボです。寝違えの痛み全般に効果があります。 ②懸鐘(けんしょう) 外くるぶしから指4本分上で、腓骨(ひこつ)と呼ばれるすねの骨のやや後ろ側にあるのが懸鐘というツボです。首から肩にかけて横に痛みが広がるような時に有効です。 ③合谷(ごうこく) 手の親指と、人差し指の骨と骨の間で、やや人差し指側のへこんでいるところに合谷というツボがあります。首や肩のやや前側に痛みが出るときに効果があります。 ④養老(ようろう)、⑤後谿(こうけい) 手の甲側で、手首のしわの中心からやや外側でへこんでいるところにあるのが養老というツボです。 手を握った時に小指側にできるしわの端にあるのが後谿というツボです。 この2つのツボは、首から肩甲骨の辺りに痛みが出るときに効果的です。 ⑥承山(しょうざん) ふくらはぎの筋肉がアキレス腱に変わる部分で、中央のへこんでいる部分が承山というツボです。 首の後ろから背中にかけて痛むときに効果があります。 ツボを押す手順 はじめに首の状態を確認するために、どんな動きでどの辺りが痛むのか首を軽く動かして確認します。 決して無理に動かさないようにしてください。どの辺りが痛むか確認できたら、その部分に効果のあるツボを刺激します。 ここでは首を右に振り向いた時に、首から右の肩甲骨が痛む時の例を紹介します。 首から右の肩甲骨の辺りが痛む時 首から右の肩甲骨の辺りが痛む時は、右手の④養老と⑤後谿のツボを使います。 ①落枕のツボは寝違えの時の痛み全般に効果があるので、こちらも併せて使います。 まず、首を痛みの出る少し手前まで振り向いて、その状態でツボを押していきます。 ゆっくりと呼吸しながらツボを20~30秒押していくと、振り向いている首の状態が先ほどよりも楽になっていると思います。 そうしたら、もう一度痛みが出る手前まで首を動かし、この状態で再びツボを押していきます。 この手順を3回くらい繰り返します。 まとめ 今回紹介した方法を寝違えた時に使うと、痛みが改善するのが早くなると思います。 ただし強く痛めてしまった場合は回復までに少し時間がかかるので、一度にたくさんやるのではなく、少しずつ試してください。 また、通常は数日で症状が軽減していきますが、1週間以上症状が全く変わらなかったり、痛みが悪化したり、腕にしびれが出ている場合は、寝違えではなく他の疾患の可能性があります。その時はまず医療機関で診てもらいましょう。 筆者プロフィール 浅見 仁 「はり・きゅう・マッサージJIN治療院」院長 鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師 頚椎症、頚椎ヘルニア、ムチウチなど首の症状でお悩みの方が数多く来院し、痛みやしびれ、頭痛などの改善を得意としている。 腰や膝の痛みなどの一般的な症状はもちろんのこと、内臓の不調や婦人科系のトラブルなども幅広く対応している。 施術だけでなく、日常の姿勢や動作、食事や運動など、健康に近づくためのトータル的な視点からとらえたアドバイスを心がけている。
筆者プロフィール
浅見 仁
「はり・きゅう・マッサージJIN治療院」院長
鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師
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