首の筋肉や骨に疾患のある人は、首の痛みとめまいの症状が同時にでることがあります。 これらの症状はただの筋肉疲労や過労のせいだろうと見過ごしてしまう人も多いでしょう。 筋力の衰え始める中高年になってから、蓄積された首への負担でこうした症状を引き起こすことも珍しくありません。 早めに診察を受けて適切な治療を施すことが、辛い症状を予防するには大切です。 首の痛みだけでなくめまいがおきるメカニズム 首の皮膚の下には、脳と心臓を結ぶ重要な血管である頚動脈と頚静脈があります。頚椎の中には自律神経も通っています。首の筋肉や神経に異常が起きると、こうした血管や神経に影響が出てしまいます。 その代表的な症状がめまいです。 首の筋肉がひどくこると、硬くなった筋肉が首の動脈を圧迫します。このため脳へ送られる血流量が減少し、脳が貧血状態になるためにめまいが起きるのです。 頚椎に異常がある場合、中を通っている神経束が骨のゆがみや椎間板などで圧迫されます。このときにもめまいがよくみられます。 圧迫されている箇所によってその他の症状は異なりますが、手足のしびれ、頭痛、首の痛み、耳鳴りといった症状も起きてきます。 中高年以降に頚椎の疾患が増える理由 首の異常が原因でめまいに悩まされる人は、中高年に多いという特徴があります。 こうした人のほとんどは、若いころに首に負担のかかる生活習慣をもっていたり、首を傷めるような事故を経験したりいます。 例えば20代のころのボクシング、ラグビーや柔道の経験、事故によるむちうち症などです。 かつては何の症状もなくても、筋力や骨の機能が衰えてくる中高年になってから、若い頃の負担が辛い症状を引き起こすこともあります。 過去の首への負担が今の症状の原因だということには、本人はなかなか分からないものです。 こうした自覚のなさが、中高年の首の疾患の発見と治療を遅らせる原因のひとつとなっています。 首を伸ばしたり回したりすると起きる頚椎めまい デスクワーク中に急に頭を上げたり、ふいに振り向いたりするときに、気の遠のくような強いめまいがおきることがあります。 これは頚椎めまいの症状です。 めまいはすぐにおさまりますが、1日に何度もおきる傾向があります。 頚骨めまいは、筋肉の強いコリや骨の異常により、首を動かしたときに頚動脈が圧迫されることで起こる疾患です。 この疾患を治療するには、まずは整形外科を受診することが大切です。 レントゲン検査を受け、頚骨に異常があるかどうかを確認してもらいましょう。頚椎のゆがみや骨棘の形成がみられるときは、外科的措置が必要になることもあります。 頚骨に異常がなければ、硬くなった首の筋肉がこの症状の原因だと考えられます。 この場合は、整体院や鍼灸院で首や肩の血流を改善する施術を受けることも有効です。 早めの治療が大切な頚椎椎間板ヘルニア 頚椎椎間板ヘルニアは、首の骨の軟骨の異常でおこる疾患です。頚椎と頚椎の間の軟骨がすり減ったり、外へ飛び出したりすることで、自律神経が圧迫されます。 初期症状では続く首の痛みと、時おり起こるめまいが特徴的です。 整形外科でレントゲン撮影とMRI画像診断を受ければ、腰椎椎間板ヘルニアかどうかを知ることができます。 初期症状の場合は、頚骨の牽引と温湿布だけでも症状はかなり改善します。 しかし重症になり、椎間板が修復できないほどつぶれてしまっている場合は、保存療法では回復は望めません。 首の痛みだけでなく、全身に強いしびれが見られるほど悪化すると、金属などで頚椎を固定する手術が必要となります。 どんな症状でも、見過ごすのではなく、症状が軽いうちに処置を受けることがとても重要なのです。
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