完治が難しいといわれる顎関節症ですが、専門医に相談すれば症状は改善していくことでしょう。 顎関節症の典型的な症状は、顎を開閉するときに関節の音が鳴るというものです。症状が進むと、音がすると同時に痛みがでるようになったり、ものを噛みにくくなったり、口がほとんど開かなくなったりもします。 まずはストレッチ療法から始め、経過をみながら適切な次の治療法を選ぶようにしましょう。 関節円盤のずれが大きな原因!顎関節症がおきるメカニズム 下顎の骨は、耳の前あたりで頭蓋とつながっています。この関節が顎関節です。 下顎がスムーズに動くように、顎関節の中には関節円盤とよばれる軟骨がはさまっています。顎関節症のほとんどの症状は、関節円盤が前方へずれてしまうことでおこります。 関節円盤がずれていると、口を開閉するたびに下顎の骨が関節円盤にひっかかることで音がなります。このままの状態が続くと、下顎との摩擦が原因で咀嚼筋や滑膜などの柔らかい組織が傷つき、炎症をおこして痛みが生じます。 関節円盤がずれた位置からまったく動かなくなると、下顎の動きはそこでさえぎられてしまいます。顎関節症の人が口を大きく開くことができないのはこのためです。 軽症の顎関節症ならストレッチで改善 強い痛みがなく、口を開くときに関節の音がなる程度の顎関節症なら、口の周りの筋肉のストレッチで症状が改善できることもあります。 口を大きく開けたり、顎を前後左右に動かしたりする動作が効果的です。 このストレッチには、筋肉を伸ばすと同時に、顎関節の可動域を広げる効果もあります。 ストレッチと合わせて、食いしばりや歯軋りなどの、顎関節に負担をかける生活習慣をなくす工夫も必要です。 昼間の食いしばりの癖は意識してやめるようにし、夜間はマウスピースを装着することで睡眠中の歯軋りを防止します。 口の開閉時に多少の痛みがある人は、症状が改善するまで、鎮痛剤を必要に応じて服用してもいいでしょう。 重症の顎関節症にも効果のあるマニピュレーション法食いしばりと歯軋りをやめ、ストレッチを続けても、顎関節症の改善がみられない人もいます。 その場合、関節円盤がずれた位置で密着し、そこでとまってしまっていることもあります。 なかなか改善する様子がない場合、顎関節症の治療にはマニピュレーション法が用いられます。 皮膚から顎関節まで細い注射針を刺します。生理食塩水を注入しながら圧力をかけ、顎関節のすき間を広げます。主治医が下顎を手でつかみ、下へ引っぱったり回転させたりしながら、動かなくなっていた関節円盤を正しい位置へ押し戻します。 難しい症例でも治る顎関節症の外科手術 マニピュレーション法施術後に関節円盤がまたずれてしまい、さらに3ヶ月以上たっても症状の改善がみられないとき、顎関節症の治療で外科手術が勧められます。 顎関節症の外科療法とは、ずれて癒着した関節円盤を切り離し、正しい位置へ戻して縫合する手術です。内視鏡下での手術なので、関節の近くに小さな穴をあけるだけで済みます。 この手術をうければ、重症の顎関節症の症状も大きく改善することができるでしょう。ただ、口と顎のストレッチなどのリハビリは術後にも必要です。 食いしばりと歯軋りの改善、ストレッチ指導などは、一般の歯科医院でもうけることができます。マニピュレーション法と外科手術は、大学病院の口腔外科を受診して相談しましょう。 顎関節症は治療院で改善するケースも 顎関節症がなかなか治らずに困っている、医者から手術しかないといわれたけど他の治療法がないか探している、といった人は鍼灸や整体などの治療院で施術を受けてみるといいでしょう。 顎関節症の治療を得意としている治療院もありますので、興味があれば一度調べてみてくださいね。
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