こんにちは、国際中医師の梶村です。 『三日前に階段から落ちて腰を打ったので、腰が痛くてお風呂で温めていたけど、いっこうに痛みがとれないのはなぜでしょうか?』 などという質問をされる事がとても多いのですが、皆さんこの間違いわかりますか? 腰を打って痛くなったということは打撲しているので、お風呂に入って温めることは逆効果になってしまっているのです。 このように文章にすると、そんな間違いする人はそそっかしい人だと思われるかもしれませんが、このような間違いをする人が後を絶たないのが実情です。では、なぜ間違いをする人が多いのでしょうか? それは、固定概念にダマされてしまったのです。 階段から落ちて打撲したら普通は冷やして安静にしますが、「腰が痛い」というキーワードに対して「腰痛は温めよ」という固定概念に惑わされて、温めてしまう人が多いのです。 ダマされやすい固定概念は他にもあります。 固定概念で身体を悪くする2つのケース 五十肩のケース 『2カ月前から肩が痛いので、アイロンを持って運動しているのですが、最近痛みがひどくて夜も眠れないくらい痛くなってきた。肩関節が固まらないよう頑張って動かしているのにナゼ痛みが増してくるのですか?』 これは「肩の痛みは動かして治せ」という固定概念にダマされた人です。 五十肩の始まりは、肩関節を支える靭帯などの軟部組織に炎症がおきたことによります。 炎症ですから当然安静にしなくてはならないのに運動してしまうのは、五十肩の治る時期(回復期)に、肩関節の拘縮を治して可動域を回復するために、アイロン体操などの肩を動かす運動をするので、「肩関節は動かして治せ」という固定概念があるからです。 ですから五十肩の始まりの人が、痛いのに無理やり肩の運動をして、症状がこじれて治らなくなった人は、固定概念にダマされてしまった人達なのです。 変形性膝関節症のケース 『膝が痛いので鍛えようと、ご近所の友達と毎日ウォーキングしているのですが、だんだん症状がひどくなります、一生懸命に歩いているのにナゼ悪くなるのですか?』 これは「膝痛は歩いて治せ」という固定概念にダマされた人です。 そもそも変形性膝関節症は、加齢によって膝関節の軟骨がすり減って変形して痛みが生じる疾患です。 ですから膝関節の周りの大腿部と下腿部の筋肉を鍛えて、膝の関節をしっかり支えるようにしなければならない。 要するに足の筋肉を強くするために歩くのです。 ところが、この疾患は軟骨がすり減って変形しているので、歩くと体重と衝撃で軟骨が刺激されて、さらにすり減って変形が進み、症状が悪化していきます。 関節を支える筋肉を鍛えるためのウォーキングで、肝心の軟骨がさらにすり減ってしまうのです。 ですから、当院では変形性膝関節症の患者さんには、マット体操をしてもらうようにしています。寝転んでの体操ですので、軟骨に負担なく、足の筋肉を鍛えることができるからです。 さいごに 今回は腰、肩、膝を例に挙げて説明させてもらいましたが、このように固定概念にダマされて、自分で症状を悪化させているケースがとても多いのです。 あなたは、大丈夫ですか? 一生懸命運動しているのに症状が改善せずに悪化している場合は、もしかしたら固定概念にダマされて、間違った努力をして、かえって病の進行を早くしてしまっているかもしれません。 ご自分の治療法が間違っていないか、いちど専門家に相談してみて下さい。 筆者プロフィール 梶村英男 梶村鍼灸整骨院院長国際中医師、鍼灸師、柔道整復師、ケアマネージャー、 チャイルドボディーワークセラピスト 高校時代に部活動の軟式テニスで腰痛症になり、整骨院へ通院した経験から治療家を志し、卒業後に行岡柔道整復専門学校へ進学、大阪鍼灸専門学校卒業時に大阪府知事表彰受賞し、平成2年に現在の大阪府藤井寺市に梶村鍼灸整骨院を開設。 25年にわたり地域医療に根ざした治療活動を展開。現在では中医鍼灸治療と極細鍼治療の普及活動を精力的に行っており、業界誌『鍼灸ジャーナル』に「心に残る症例」、『医道の日本』に「5分の置鍼で治った五十肩の症例と仮説」が掲載され論文やコラム多数執筆。来年1月発売予定の「腰痛解消!神の手を持つ15人」(現代書林)の一人に選ばれている。
筆者プロフィール
梶村英男
梶村鍼灸整骨院院長
国際中医師、鍼灸師、柔道整復師、ケアマネージャー、
チャイルドボディーワークセラピスト
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