肩こりと一口に言っても様々な症状があります。 今回は症状が左右どちらかの首筋から肩に現れるものついて書いてみたいと思います。 頚椎と胸椎の境目がずれることが原因で発生する肩こり 私の治療院に「肩こり」を訴えてお見えになるうちで一番多いタイプです。 ご本人は「肩こり」の認識なのですが、よくお話を伺うと多くの場合こりと言うより痛みに近く、頭痛や腕のしびれを併発していることもあります。 結論から言えばこのタイプの肩こりは頚椎と胸椎の境目がずれることが原因で発生します。 ここがずれることで周辺の筋肉や神経や血管が歪んでしまうのです。 背骨は上から順番に7個の頚椎、12個の胸椎、5個の腰椎が縦に連なって出来ています。 同じ背骨ではありますが、それぞれ名称も違えば動き方も違います。 胸椎にはそれぞれ肋骨が付着し、胸郭(きょうかく)と呼ばれるカゴが形成されます。 心臓や肺、食道などはこのカゴの中に納まっており、胸郭の下部は横隔膜で塞がれています。胸椎は胸郭の一部なので背骨としての動きはあまりありません。 それに対して頚椎はよく動きます。特に首の前後左右への動きはほぼ頚椎と胸椎の境目で決まってきます。 動かない胸椎と動く頚椎が椎間板を挟んで接しているのでずれやすいポイントの一つではあります。 片側の肩こりはもんでも良くならない 今回のテーマである片側の肩こりはいわゆるマッサージでは良くなりません。 あくまでも頚椎と胸椎のずれが周辺の筋肉に作る歪みが原因なので筋肉には根本的な問題が無いからです。 こっているからといって自分でぐいぐい揉んだりしていると今度は筋肉を傷めてしまい更に悪化させてしまうことになります。 筋肉はポンプの役割を担っています。 血液やリンパ液など液体成分を体内で移動させるという大切な役割です。 むやみに筋肉を揉んでしまうと筋線維を破壊し、このポンプ機能をスポイルしてしまうことになります。 そうすると液体成分の流れが滞ってしまうので余計にこりとして感じてしまいます。 再びこのこり感は筋肉を揉むことによって血液やリンパ液が流れるので一時的に解消しますが、揉み方によってはポンプ機能をより以上に壊してしまう悪循環が発生してしまいます。 場合によっては頚椎や胸椎の並び方まで狂わせてしまいますので注意しなければなりません。 私自身はもう何年も患者さんに対して揉むという行為をしていませんが、もしマッサージにかかる場合はこの辺をよく理解している先生を探すことが大切だと思います。 今回はメカニズムが分かりやすいので片側に出現する肩こりについて書きましたが、首や肩、腕の痛みには大なり小なり頚椎と胸椎の境目のずれが関係していると思っても間違いではありません。 左の肩こりや腕のしびれには注意が必要 蛇足ですが、これらの症状が左側に出るときは少し注意が必要です。心疾患による放散痛の場合があるからです。 駆け出しの頃、夕方まで接骨院で修業し、夜はほねつぎの学校に通う生活をしていました。 当時の老人保険は窓口負担がゼロだったので、その接骨院も特に早朝は日課のように通うお年寄りで大混雑していました。 いつも朝一番でおみえになるおじいさんが、ある日、左の肩と腕が痛いと言い出しました。普段は特にどこも痛くないのに(笑)です。 院長の指示で低周波を当てる位置を変えたりしましたが一週間ほどでお見えにならなくなりました。 スタッフみんなで心配していたのですが、来なくなって数日後、いつものように仕事を早退し、学校に行くために駅に向かっている途中、そのおじいさんのお葬式が出ているのを発見しました。本当にびっくりしました。 院長が後にご家族に伺ったところによると心筋梗塞であっという間に亡くなってしまったとのことです。 おじいさんには本当に申し訳ないことですが、この一件を駆け出しの時に経験できたのは、私にとって大きな戒めになりました。 筆者プロフィール 吉川良介 柔道整復師 吉川整体院長 昭和41年2月 東京生まれ 平成11年3月 「梅ヶ丘よしかわ整骨院」開院 平成17年8月 同院閉院 平成17年10月 東急世田谷線上町駅前にて「吉川整体」開院 現在、都内を中心に東北や、関西方面からも訪れて頂く患者さんの施術に忙しい日々 を送っている。
筆者プロフィール
吉川良介
柔道整復師
吉川整体院長
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