みなさん、はじめまして!ご機嫌よろしゅうございます。 新しくコラムを担当させていただきます、あおぞら整骨院院長の石関祐輔と申します。 みなさんにとって少しでもお役に立てる情報をお届けできるよう、精一杯書かせていただきます。 これからどうぞ、よろしくお願いいたします。 さて、一発目の投稿テーマをどうしようかと考えていましたら、どんどんと日にちが経ってしまったのですが...(笑)。 やはり、あまり深く考えずに自分らしいテーマにしようと思い、今回のタイトルにさせていただきました。 みなさんの中には、腰痛や首肩痛、膝の痛みなどで病院に行って診てもらったことがある、という方も多いと思います。 例えば整形外科であれば、ほぼ間違いなく真っ先にレントゲンを撮ってもらい、 「骨の間が狭くなっているから~」 「骨が曲がって(真っすぐになって)いるから~」 「骨にトゲが出てきているから~」 などなど、要するに「骨が変形している」のが原因だと言われることが大半だと思います。 では、果たして本当に骨の変形が痛みの原因なのでしょうか? 「腰痛の85%は原因不明」の発表 1994年、アメリカの厚生省が「成人の急性腰痛治療ガイドライン」を発表しました。 そしてその2年後、今度はイギリス医師会が「クリニカル・エビデンス」という本を出版しました。 この中で、腰痛における両方の見解はほとんど一致しています。 それは腰痛の原因に関して、『患者さんの症状とレントゲン所見はあまり相関せず、約85%の人が原因を特定できない』という、それまでの常識を覆すものでした。 では、レントゲンで原因を見つけることができない腰痛が、どうして8割以上にもなるのでしょうか? それは「背骨の変化が痛みの原因」という説明には、科学的根拠が全くないことが分かったからです。 今まで原因と考えられていた骨の変化は、実際には痛みを引き起こすとは限らない...。 世界中から寄せられた実験報告から、判明したのです。 レントゲンでは解らない?3種類の実験で分かった、痛みとの関係 腰椎(背骨の腰の部分)は、全部で5つの骨からできています。 一般に腰椎は前方にゆるやかなカーブを描いていて、このカーブの消失やカーブが強すぎるものも、整形外科では「痛みの原因」とされています。 背骨のカーブ・すべり症・分離症どれも腰痛とは関係なし しかし、ある時「痛みのない200名」「急性腰痛の200名」「半年以上続く慢性腰痛の200名」の3つのグループそれぞれの腰椎前彎の角度をレントゲンで調べるという実験を行いました。 その結果、この3つのグループ間に違いはありませんでした。 これにより、背骨のカーブと痛みの間には何も関係性がないことが証明されたのです。 次に、「腰椎すべり症」という腰の骨の並びが前後にずれてしまっているものはどうでしょうか。 腰痛のある308名と、腰痛の症状がない376名を調べたところ、両グループともに「すべり症」が約3%見つかっています。 つまり、腰痛があってもなくても「すべり症の変化」は同程度に見つかることが分かりました。 ちなみに、腰椎分離症は日本人の約6%にあることが分かっているのですが、これもすべり症と同じ実験結果が得られており、腰痛との因果関係は証明されていません。 骨の歪みは腰痛と無関係!実験で明らかに さらに分離すべり症(腰椎分離症とすべりの合併)をプロのバレエダンサーで調べました。 レントゲンを撮ると32%に分離症が見つかり、そのうち8割がすべり症を合併していましたが、分離すべり症のあるダンサーらと、分離すべり症のないダンサーらの腰痛発生率を比較してみたところ、ほとんど差がなかったと報告しています。 つまり、「分離」や「すべり」はあってもなくても、腰痛の出現率に差はないのです。 では、いわゆる加齢による老化で骨が変形してしまったものはどうでしょうか。 これも、腰痛があるグループと腰痛がないグループのレントゲンを比較した結果、どちらにも同程度に認められるという調査報告が多数寄せられています。 「老化による骨の変形は、腰痛の原因とは考えられない」というのが研究者らの共通した見解です。 「腰痛の85%は原因不明」という現実 このように、様々な実験の結果、これまで腰痛の原因として考えられてきた「背骨の変形」の多くが腰痛とは無関係であることがお分かりいただけたかと思います。 これが、「腰痛の85%は原因不明」という現実です。 私もはじめ、読売新聞「医療ルネサンス」(平成17年12月)の記事を読んだときは、正直信じられませんでした。 当時は私もまだ専門学生で、いわゆる「医学常識」を学校で習っていましたので、「そんなこと、あるわけが...」と思っていました。 しかし、なんとなく頭の片隅に引っ掛かっていた私は、臨床の現場で日々たくさんの患者さんと接していく中で、こうした「現実」に直面します。 「右ひざが痛い」と来院されたのに、レントゲンでは明らかに左ひざの方が変形が強かったり...。 「背骨と背骨の間が狭くなってるからね~」と説明しておきながら、背骨自体に対してのアプローチは何もしようとしない院長。しかし、レントゲン自体は何も変わっていないはずなのに、腰痛が治っていく方...。 こうした「現実」を目の当たりにしながら、「腰痛の85%は原因不明」という記事を思い出します。 「あの時読んだのはこういうことだったのか...。待てよ、これって腰痛だけじゃなく慢性痛すべてに言えることじゃないか...」 しかし、こういった「現実」は現代整形外科...現代医学からは無視され続けています。 様々な実験結果により「レントゲンと痛みはほとんど関係がない」ことが証明されているのも関わらず、未だにレントゲンを撮っては「骨の変形が~」という説明をしていることからも、お分かりいただけると思います。 現代整形外科は、こうした「現実」を決して直視しようとはしません。 整形外科の本質が、現実を受け入れない原因に? では、なぜ臨床の現場ではこういったことが起きているのでしょうか? それは、整形外科の歴史に大きなヒントが隠されています。 整形外科は、もともと読んで字のごとく「形を整える」ことを目的として作られた診療科目でした。 骨折や脱臼などのケガ、または小児の側弯など、こういった病態に対し「外科的対処」により元に戻す。 つまり、「正常な形に戻す」ことが整形外科の本質、本来の役割だったのです。 よって、腰痛などの慢性痛に対しても「形」に目がいってしまうのは、ある意味で当然の成り行きといえます。 こういった経緯があって作られたのが整形外科ですので、なかなか「現実」を直視できないのも分からなくはありません。 なにせ「現実」を受け止めるということは、整形外科としてのアイデンティティを失うことにもつながるからです。 医者の言葉を鵜呑みにしない!それが原因?と疑う必要も 腰痛を含め、なかなか治らない慢性痛でお悩みの方で、過去に病院などでレントゲンにより「骨の原因が~」などと言われてしまったことがある方は、ここまでお読みいただければ“呪い”は解けたでしょうか? 臨床経験上、こういった「心配」「不安」「恐怖」などの「心の引っ掛かり」を抱えていると、なかなか痛みなどの症状がとれにくいことが多いので、ぜひ今日この瞬間を境にレントゲンのイメージを捨て去りましょう! 痛みなどの症状の原因を考えるとき、体の問題とは分けて考える視点をもつことがこれからは重要になります。 医者の言うことを、そのまま鵜呑みにしてはいけません。 一度、冷静に立ち止まり、「本当にそれが原因なのか?」と考えてみましょう。 私は患者さんを診るとき、脳科学の視点を取り入れて考えています。 次回以降は脳科学の視点も取り入れながら、みなさんにお伝えしていければなと思います。 最後までお読みいただき、ありがとうございました。 お退屈様でした 筆者プロフィール 石関 祐輔 あおぞら整骨院院長 柔道整復師・整形外科で9年間勤務後、当院の院長として就任(H26.4.2)。 ・整形外科では主に手技療法、リハビリ、ケガの処置などを担当。 ・BFI(ブレイン・フィンガー・インターフェース)研究会会員 ・テーマ「医学に挑む?健康に導く 哲学の医療?」で第6回国護り演説大会本戦に出場(H26.2.11)。 ・月刊『カレント』10月号(H26年)、"20代の視点"に寄稿文が掲載。 キャッチフレーズは「哲学の医療漫才師」。 健康とは「健体康心」の略。脳科学の視点と東洋医学を合わせた施術やカウンセリングで、患者さんが「真の健康」になるようサポート。 脳卒中のリハビリ技術(AKA‐博田法&ANT)をベースにCRPS(RSD)や線維筋痛症などの難治性疼痛を改善させるために開発された新しい療法・BFI(ブレイン・フィンガー・インターフェース/脳と手指をつなぐ技術)、幻肢痛やCRPS(RSD)の治療および脳卒中の回復期リハにおいて利用されている最新の療法・ミラーセラピーを中心とした施術で、難治性疼痛や自律神経症状、内科や精神科系疾患など幅広い症状に対応。
筆者プロフィール
石関 祐輔
あおぞら整骨院院長
柔道整復師
・整形外科で9年間勤務後、当院の院長として就任(H26.4.2)。
・整形外科では主に手技療法、リハビリ、ケガの処置などを担当。
・BFI(ブレイン・フィンガー・インターフェース)研究会会員
・テーマ「医学に挑む?健康に導く 哲学の医療?」で第6回国護り演説大会本戦に出場(H26.2.11)。
・月刊『カレント』10月号(H26年)、"20代の視点"に寄稿文が掲載。
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