車を運転出来る様になった今でこそ車に酔うことが無くなりましたが、小さい頃、私もよく車酔いになり、気分が悪くなっていました。 車酔いになりやすい方にとって、長時間車に乗って移動する予定は、とても憂鬱です。そして、車に乗っている時も不安になります。 みなさんの中にもそんな悩みを持っている方は多いのではないでしょうか。 そこで今回は、車酔いのメカニズムを確認し、対策や解消法をお伝えしたいと思います。 車酔いの原因は視覚と体感のギャップ! 車酔いの根本の原因は「目がとらえる情報と、体が受けとる情報のギャップ」です。 人は五感という感覚で情報を得ていますが、中でも人間が1番頼りにしているのは、目から情報を得る「視覚」なのです。 車に乗っていると、目では景色などの動いている情報をとらえます。 しかし、実際の体はシートに座っているだけで動いていません。 そのため、目がとらえる情報と、体が受けとる情報にギャップが生まれます。 それどころか、本来自分の動きとは異なる速さやパターン、その上誰かに運転してもらっている車であれば、予想しにくい揺れも感じています。これが一層ギャップを大きくしていくのです。 自分で運転するようになって車酔いが解消されるのは、ギャップが少なくなるから。 言い換えると、自分で車の動きをコントロールすることによって、自分の体が目でとらえる情報に対応しやすくなるからです。 車酔いのメカニズム では、車酔いのメカニズムをみていきましょう。 目から得る情報とカラダから得る情報のギャップが生じると、脳は不快と判断します。その不快を解消すべく、自分ではコントロールできない働きをコントロールしてくれている自律神経が働きます。 中でもカラダを休めたり回復させたりするため、カラダを落ち着かせる働きの副交感神経を活発にして、不快を取り除こうとします。 副交感神経は、体温を下げたり、血圧を下げたり、カラダを落ち着かせる働きをします。また、食べた物を吸収する時にも働きます。食後に眠くなることがありますが、その要因の1つとして、胃で食べた物を消化させるため副交感神経が優位になって働き、その一方でカラダは落ち着いてしまうからです。 脳が感じている不快を解消すべく、副交感神経が誤作動を起こして優位になってしまい、ご飯を食べたわけでもないのに胃の活動が活発になり、過剰に分泌した胃液によって気分が悪くなります。これが車酔いのメカニズムです。空腹の時、特に酔い易いのもうなずけます。 車酔いの対策と予防法 車酔いのメカニズムについてわかったところで、対策や対処法についてお話ししていきましょう。 ~車に乗っている時編~ 体の向きに気を付ける まず一番大事なのは、目から得ている情報とカラダから得ている情報のギャップを少なくしてあげることが大切です。 目から情報を得る時、自分が感じている揺れや動きとのギャップを無くすため、なるべく運転手と同じように前を向いて、視線を遠くに置いて全体を見渡す視野の使い方をします。 運転手と違う方向を向いていては、車の動きや揺れを予期することが出来ません。近くに目線を置くと、得られる情報が少なくなったり、必要な情報を得るために細かく目を動かし、揺れや動きに対応するための情報が得にくくなったりして、よりギャップが生まれてしまいます。 これは、車内で本を読むと酔い易いと言われている理由でもあります。 冷たい氷を口に含む 車酔いになった時には、活発になった副交感神経を落ち着かせるため、対極にある交感神経を活発にしてあげるのが有効です。 代表的なものとしては、冷たい氷を口に含む方法。 冷たい刺激に交感神経が活発になって、自律神経のバランスがよくなり、胃の不快感が解消されます。 このように、交感神経が活発になる刺激を受けることがいいので、窓を開けて冷たい風を浴びることも効果的ですよ。 また、血糖値が下がっていても車に酔いやすいと言われています。 そうなると、冷たくて糖分を摂取できるアイスクリームは、車酔いの解消にはピッタリですね。 もちろん、刺激を受けることが大事なので、辛い物を食べても効果は得られますよ! ~普段の生活で行う予防法編~ 揺れやカラダの傾きを察知する三半規管を鍛えることも、重要です。 三半規管では、リンパ液の揺れや流れの傾きで情報を得ていると言われています。 この情報によって、人は二足歩行や片脚立ちなどといったバランスを取ることができるんです。 つまり、バランスを取ったり揺れに対応したりするトレーニングが三半規管を鍛え、車酔いの根本からの解消になるのです。 それを踏まえた上でのトレーニング法をご紹介しますね。 前転、側転、スキップ、ジャンプ、トランポリン とにかく、「体が受け取ったバランス」と「三半規管のバランス感覚」を整えて処理できるようにならなければなりません。 それを鍛えるのは、平衡感覚が身につく遊びをすることが効果的です。 これらも、慣れてきたら目を閉じて行うと、より強度を上げることができます。 視線をぶらさずに体を動かす 両腕を前に伸ばして手を組み、親指を立てます。 立てた親指を見つめて目線を固めたまま、ゆっくり頭を上下左右斜めと動かします。 頭の動きと共に目線を動かしてしまわないように気を付けましょう。 まとめ さて、いかがでしたでしょうか。 車酔いのメカニズムを理解して、対策や解消法を紹介しました。 車酔いは、睡眠不足や体調などのコンディションの影響も受けると言われていますし、精神面の影響も受けます。 メカニズムを知って車酔いを頭で理解しただけでも、それが心の支えとなって効果として現れてくるかも知れません。 その上、対策や解消法もお伝えしたので、もう大丈夫でしょう。 車酔いに対する憂鬱や不安が少しでも解消できればと願っています。 筆者プロフィール 大久保圭祐 全米ストレングス&コンディショニング協会認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト 米国Rolf InstituteR卒業し、世界三大ボディワークのロルフィングRを修得する。トレーニングやエクササイズ、ランニング等の運動処方、ストレッチングや筋膜リリース等の手技を使って、クライアントの要望に応える。各種メディアにてボディメークの監修、セミナー講師、コラムの執筆など幅広く活躍中。
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筆者プロフィール
大久保圭祐
全米ストレングス&コンディショニング協会認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト
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