ブシャール結節という疾患には、決定的な治療法がまだありません。患部を固定し、できるだけ安静にしておくことが今のところのおもな治療です。 この疾患は、放置しておいても発症後2、3年ですべての症状がほぼ消えます。関節性リュウマチと違い、ブシャール結節は患者を長い間苦しめる病気ではありません。 しかし手の疾患であるため、症状がでているあいだ、患者は日常生活を送ることがとても不便になります。症状を悪化させると指関節が大きくゆがみ、手のうつくしさが損なわれるという問題もあります。 治癒までのあいだ適切に対処し、痛みを抑えながら指関節を守ることが大切です。 ブシャール結節は第2関節におきる ブシャール結節とは、手の指の第2関節におきる骨の疾患です。第2関節がこわばって曲げにくくなるうえ、痛み、腫れ、赤み、水ぶくれなどが生じます。 痛みがとくに強くなるのは、指を曲げるときです。関節が曲がったり、関節部が太くなったりすることもあります。 ブシャール結節とよく似た疾患で、へバーデン結節とよばれる病気があります。このふたつの疾患の症状はほぼ同じです。ブシャール結節が第2関節におきるのに対し、第1関節におきるものをヘバーデン結節とよんでいます。 ブシャール結節を患うのはどんな人? ブシャール結節は、40歳以上になってから発症する人が多い疾患です。男性にもみられる病気ですが、40代以上になるととくにこの疾患の女性患者が増加します。 発症のメカニズムはまだはっきりとは解明されていません。ただ加齢による関節の軟骨のすり減りが、この病気の発症に関係していると考えられています。 閉経が近づくと、女性の体内ではエストロゲンというホルモンが減少します。エストロゲンには関節や腱を保護する作用があります。 このホルモンが激減すると関節への負担が大きくなり、軟骨がすり減って、腱の炎症や骨の変形といった症状があらわれると考えられます。 ブシャール結節と関節性リュウマチとの違いは? ブシャール結節ととてもよく似た症状をおこす、関節性リュウマチという疾患があります。これら2つの疾患には共通しているのは、指の関節が腫れて変形する、動かすと痛むなどの症状です。 ただブシャール結節は指の第2関節にしか発症しません。それに対し関節性リュウマチは、指関節だけでなく全身の関節に症状が広がります。また関節性リュウマチは、とくに朝に患部のこわばりが強いという特徴もあります。 症状がブシャール結節か関節性リュウマチか判断できないときは、専門医のところで診察をうけましょう。問診、触診、血液検査、レントゲン画像検査をつかえば、ほぼ正確な病名診断ができます。 ブシャール結節への対処法 ブシャール結節には治療法が確立されていません。ただこの疾患は、放置しておいても2、3年で自然に治癒します。それまでのあいだ、どのようにして痛みを緩和させ、指関節の変形を防ぐかが治療のポイントとなります。 患部の痛みを抑えるには、関節をできるだけ動かさないことが大切です。そのためには、指関節へのテーピングが有効です。 痛みの強いときは、軟膏や湿布を使ったり、消炎作用のある内服薬を服用したりします。それでも抑えられないときは、ステロイド注射を患部にしてもらうといいでしょう。 入浴中に指をしっかりと暖める温熱療法も、痛みの軽減に効果があります。湯のなかで指をよく動かすと、関節のこわばりを軽減することも可能です。指関節の大きな変形を防ぐために、指の曲げ伸ばし運動はとても役にたちます。
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