みなさんこんにちは、国際中医師の梶村です。 鍼灸治療といえば、ご高齢の方が肩こりや腰痛、神経痛の緩和ケアに通っているイメージをもっておられる方が多いかもしれませんが、実際には脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニアで手や足がシビレている患者さんや、小児はりにくる赤ちゃん、 夜尿症の小学生、低血圧で朝起きられない中学生、部活でケガをした高校生、スマホやパソコンでドライアイや頭痛に悩むOLさん、逆子でお灸をしに来る妊婦さん、癌や膠原病と闘う体力や免疫力を高めるために通院される患者さん、 などなど例をあげればきりがないのですが、鍼灸治療の適応症は本当にたくさんあり、鍼灸治療は病気の治療や養生にとても効果を上げているのです。 穴性(けつせい)を知ることが鍼治療では重要 鍼灸治療では、一人一人の症状に合わせて治療するツボを選んでいます。 その時に最も重要なのが、ツボの「穴性(けつせい)」を知ることです。 ツボには全て特有の性格があり、それをツボの穴性と呼びます。 気の昇降出入りを順調にするために、ツボの穴性を利用して、気が滞っていると巡らせる性格のツボを使い、気が上昇していると下げる性格のツボを使います。 中には特定の疾患に絶大な効果を発揮する、特効穴(とっこうけつ)と言われるツボがいくつかあり、「足三里」などは胃の病気の特効穴として有名ですが、今回は乗り物酔いに効果抜群の特効穴「内関」というツボをご紹介いたします。 内関は手首のシワから指3本のところにある 手首のシワから自分の指の第一関節3本分横の中央に取ります。 バス旅行や船旅の時には、事前に内関に円皮鍼を貼っておくと、乗り物酔いの予防になります。 円皮鍼とは小さな画びょうのような形をしている鍼で、ツボにテープで貼り付けるタイプの鍼です。乗り物酔いは、酔ってしまってから何をやってもなかなか症状は改善しません。ですから事前に予防するのがベストです。 つわりや抗癌剤治療の副作用にも効く 内関は手の厥陰心包経という経脈(気血が流れる経路)にあり、厥陰心包経は臣使の官といわれ、心臓の役割を同じように担う経絡ですので、動悸の特効穴としてもよく用いられ、安神、寧心に効果があります。 また、絡穴といって表裏の連絡をとる役割をもっていて、心包経と表裏の関係の少陽三焦経と連絡をとる役割をしています。 三焦経は決瀆の官といわれ、気化と水分の通路の役割をしているので、気を補って水分の逆流を防ぐことができます。そして、八脈交会穴といって奇経(正経以外の気血の経路)の陰維脈とつながっているので、胸の痛みや胃痛、嘔気、嘔吐などに効果があります。 ですから、つわりや抗癌剤治療の副作用を抑える効果も期待できるのです。 さいごに 鍼灸治療は副作用がないので、体にやさしい安全で安心の治療法です。 円皮鍼は鍼灸師しか扱えませんが、ツボを爪や爪楊枝などで刺激するしたり、黒ゴマや米粒をテープで貼ったりしても効果的です、ぜひお試しください。 筆者プロフィール 梶村英男 梶村鍼灸整骨院院長国際中医師、鍼灸師、柔道整復師、ケアマネージャー、 チャイルドボディーワークセラピスト 高校時代に部活動の軟式テニスで腰痛症になり、整骨院へ通院した経験から治療家を志し、卒業後に行岡柔道整復専門学校へ進学、大阪鍼灸専門学校卒業時に大阪府知事表彰受賞し、平成2年に現在の大阪府藤井寺市に梶村鍼灸整骨院を開設。 25年にわたり地域医療に根ざした治療活動を展開。現在では中医鍼灸治療と極細鍼治療の普及活動を精力的に行っており、業界誌『鍼灸ジャーナル』に「心に残る症例」、『医道の日本』に「5分の置鍼で治った五十肩の症例と仮説」が掲載され論文やコラム多数執筆。来年1月発売予定の「腰痛解消!神の手を持つ15人」(現代書林)の一人に選ばれている。
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筆者プロフィール
梶村英男
梶村鍼灸整骨院院長
国際中医師、鍼灸師、柔道整復師、ケアマネージャー、
チャイルドボディーワークセラピスト
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