こんにちは。 パーソナルトレーナーの大久保です。 前回のコラムで、筋肉は、伸びたり縮んだりして動作を生み出す、細い糸のような「筋繊維」と、その「筋繊維」をキャンディの包み紙のように束ねている膜「筋膜」で形成されているというお話をさせていただきました。 私たちのカラダは、この「筋膜」を介して全身影響し合っていると言われています。 今回はそれをご自身で体感する方法を紹介したいと思います。 筋膜を体感する方法 ①前屈をして、どこまで指が付くか確認しておきます。 ②上体を起こしたら、眉間に手をあてて、縦に何度かさすってみてください。 ③皮膚を優しくさするのではなく、奥にある骨と筋肉の間をスライドする様にさすります。 その時に、さすっている動きの波及が、前髪の生え際や頭頂部、後頭部まで届くのを感じてみてください。 こうして頭部周辺の筋膜の緊張を取り除きます。 ④そして、もう一度前屈をしてみてください。 先ほどよりも指が下に降りると思います。 なぜカラダの一部をさするだけで別の場所が反応するのか これは、前屈の動きに関わる眉間から足底まで、身体の背面の筋膜が影響し合っていて、どこか1個所をゆるめることによって、前屈の可動域が広がることを体感できるエクササイズです。 極端なことを言えば、足の裏の状態と頭皮の状態はお互いに影響し合っています。 青竹踏みをしたことがありますか? 足裏の筋肉をほぐすと、足裏の筋膜が緩まって柔らかくなります。 私の体験談でもありますが、その状態で、頭皮に意識を向けて触れたり、シャンプーをしたりすると、自分の頭皮が弾力性に富んで、柔らかくなっているのを感じることが出来ます。 眉間から足底まで、身体の背面の筋膜が影響し合っているからです。 頭皮を柔らかくしたい時、頭皮をマッサージするだけでももちろん頭皮の状態は改善するでしょう。 しかし、足裏の状態とも影響し合っているため、足裏もマッサージしてあげると、いっそう頭皮に柔軟性を出すことが出来ます。 痛い場所とは別の場所に根本原因がある 身体のトラブル改善の時に、その部分だけをみていては、改善されないことがあります。 腰が痛いため、腰の筋肉のマッサージやストレッチを行うと、痛みや疲労が軽減します。 しかし、蓄積された痛みや疲労がその時だけ解消されるだけで、なかなか根本からの改善にならないことが多いです。 痛みや疲労が発生する根本の原因が、背中だったり、脚だったり、すねの前だったり、離れた場所にあることが多いです。 これも膜を介して影響し合っているからです。 さいごに 治療院などに行ってケアを受けている時、痛みや疲労がある部分とは遠い部分をケアされることがあるかも知れません、 それは決して、痛みや疲労がある部分と関係ない部分をケアしているわけではなく、影響し合っていることを考慮してケアをしているのでしょう。 また、自分でケアをする時も、肩がこる、腰が痛い、だからといってその部分だけの筋肉をケアするのではなく、筋膜で全身が繋がっていることに意識を向けて、他に身体の中で硬い筋肉や、他に疲れている筋肉を見付けて、合わせてケアをしてあげてください。 思わぬ場所に原因があって、思わぬ効果を発揮するかも知れません。木を見て森を見ず、ならず、筋肉を見て筋膜を見ずとならない様に。 筋膜ボディセラピー著者:大久保圭祐 出版社:三栄書房 筆者プロフィール 大久保圭祐 全米ストレングス&コンディショニング協会認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト 米国Rolf InstituteR卒業し、世界三大ボディワークのロルフィングRを修得する。トレーニングやエクササイズ、ランニング等の運動処方、ストレッチングや筋膜リリース等の手技を使って、クライアントの要望に応える。各種メディアにてボディメークの監修、セミナー講師、コラムの執筆など幅広く活躍中。
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筆者プロフィール
大久保圭祐
全米ストレングス&コンディショニング協会認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト
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