こんにちは。 JIN治療院の浅見仁です。 首や肩・背中のだるさや痛み、腕や指のしびれが起こる代表的なものの1つとして胸郭出口症候群があります。 今回は胸郭出口症候群の原因や対処法などを紹介していきます。 胸郭出口症候群とは 胸郭出口症候群とは、首から腕へとつながる腕神経叢(わんしんけいそう)という神経の集まりや、鎖骨下動脈(さこつかどうみゃく)・鎖骨下静脈(さこつかじょうみゃく)という血管が、首の付け根の周辺(=胸郭出口)で筋肉や鎖骨、肋骨などにより圧迫されたり引っ張られたりすることで、首や肩・背中の痛みや腕のしびれなどを生じるものをいいます。 他にも肩から背中、腕のだるさや手の冷感、脱力感などの症状も起こります。 胸郭出口症候群の原因 先ほど説明した腕神経叢や鎖骨下動脈・鎖骨下静脈は、途中で筋肉や骨の隙間の「トンネル」の中を通過していくのですが、筋肉の過緊張や骨の位置が本来あるべきところからズレてしまったり、骨自体が変形することにより「トンネル」が狭くなります。 そうすると、狭くなった部分で神経や血管が圧迫されたり、体の動きによって無理に引っ張られたりするので、痛みやしびれなどの症状が出ることになります。 胸郭出口症候群の症状 神経や血管の流れが阻害されることで、首や肩、腕などに様々な症状が出現します。 ・首の痛み ・肩こり ・肩甲骨の周りや背中の痛み ・腕の痛みやしびれ、だるさ ・つり革につかまっている姿勢や、洗濯物を干す姿勢のように腕を上げていると痛みやしびれがひどくなる ・手の冷感や血色が悪くなる ・頭痛 など 胸郭出口症候群になりやすい人の特徴 胸郭出口症候群になりやすい人には、2つの特徴的な姿勢のタイプがあります。 1つは20~30代のなで肩の女性で、もう1つがいかり肩の男性です。 なで肩のタイプの人は、鎖骨の位置が通常よりも下がっている状態ですが、この状態だと腕や肩甲骨周辺が常に下に引っ張られることになります。 そうすると、鎖骨と肋骨の間が狭くなり、神経や血管に影響を与えます。 いかり肩のタイプの人は、鎖骨の位置は通常より上がって、肩を後ろに引いた姿勢になります。 この姿勢が続くと首の筋肉が過緊張を起こし、筋肉と肋骨の間が狭くなり、ここの間を通る神経や血管が圧迫されます。 このようになで肩といかり肩は、対照的な姿勢であるにもかかわらずどちらの姿勢も胸郭出口症候群を引き起こす場合があります。 胸郭出口症候群の対処法 胸郭出口症候群は、なで肩といかり肩のどちらの姿勢でも起こりますが、負担のかかっている部分はそれぞれ違います。 そのため、それぞれに合わせた対処法を行うことで症状を改善することができます。 間違った動きをしている場合や、症状の重さによっては痛みが出る場合がありますので、その時は中止してください。 なで肩のタイプの対処法 なで肩のタイプの人は、まず1つ目になで肩を改善させる方法として「シュラッグ」という運動法があります。 ①肩幅くらいの足幅で立ちます。 ②息を吸いながらゆっくり両方の肩をすくめるように引き上げます。 ③息を吐きながら両肩を下げて元の位置に戻します。 ゆっくり10~15回行います。余裕があれば両手にペットボトルをもって行うとさらに運動効果が上がります。 この運動を行うことで、鎖骨や肩甲骨が正しい位置に保持されます。 2つ目の方法として、胸の筋肉の緊張を緩めるストレッチを行います。 ①立った姿勢で症状の出ている方の手を130°くらい横の方向に持ち上げていきます。 ②持ち上げた手を壁に付けた状態で体をゆっくりひねって胸の筋肉をストレッチしていきます。 15秒~30秒くらい気持ち良いくらいの強さで伸ばします。 この運動を行うことで神経や血管が通る腕の付け根の部分の隙間を広げる効果があります。 いかり肩のタイプの対処法 いかり肩のタイプの人は、首や肩の筋肉が緊張していて、首の付け根の部分で神経や血管を圧迫していることが多いため、まずは緊張した筋肉を緩める必要があります。 首の前側にある筋肉を緩める方法として、 ①症状の出ている側の筋肉の反対側に首を軽く後ろ斜め横に曲げていきます。 (右側の首に症状が出ている場合、左斜め後ろに曲げていきます。) ②手で頭をおさえて、手を使ってゆっくり筋肉を伸ばしていきます。 (右側に症状が出ている場合は左手を使います。) 肩の筋肉を緩める方法として、 ①症状の出ている側の反対側に首を斜め前側に曲げます。 (右側の首に症状が出ている場合、左斜め前側に曲げていきます。) ②手で頭をおさえて、手を使ってゆっくり筋肉を伸ばしていきます。 (右側に症状が出ている場合は左手を使います。) 15秒~30秒くらい気持ち良いくらいの強さで伸ばします。 この運動を行うことで神経や血管が通る首の付け根の部分の隙間を広げる効果があります。 いかり肩のタイプの人は、胸を張りすぎて首や肩に負担のかかりやすい姿勢になっています。前回のコラム「良い姿勢だと逆に悪化する?肩こり・首こりを解消させる意外な方法」で、正しい姿勢に改善させる方法を紹介しましたので、こちらの体操も行うと効果的です。 まとめ いかがでしたでしょうか? ここで紹介した体操は症状の軽減や改善を目的とした対処法です。 この体操をして痛みや症状が出る、または違和感が残る場合は、やり方が間違っているか適応しないことが考えられますので、すぐに中止してください。 症状が重い場合は、この対処法だけでは改善しないこともありますので、つらいままで我慢せず専門家に相談しましょう。 筆者プロフィール 浅見 仁 「はり・きゅう・マッサージJIN治療院」院長 鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師 頚椎症、頚椎ヘルニア、ムチウチなど首の症状でお悩みの方が数多く来院し、痛みやしびれ、頭痛などの改善を得意としている。 腰や膝の痛みなどの一般的な症状はもちろんのこと、内臓の不調や婦人科系のトラブルなども幅広く対応している。 施術だけでなく、日常の姿勢や動作、食事や運動など、健康に近づくためのトータル的な視点からとらえたアドバイスを心がけている。
筆者プロフィール
浅見 仁
「はり・きゅう・マッサージJIN治療院」院長
鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師
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