その痛み、腱鞘炎ではないかも!?手首の痛み、原因と症状
こんにちは。かわむら整体院です。 お客さまのなかで、時折、手指の痛みを訴える方がいらっしゃいます。 そして、ほとんどの場合、「腱鞘炎(けんしょうえん)なんですけど、治りますか?」という質問をされます。 こういった場合、いくつか説明しなければいけないことがあります。 今回のコラムでは、どういった説明をして、そしてどのような対処をしているのかをお伝えします。 「治せる」のではなく「治る」 法律上のことでもあり、人の体の本質的なことでもあるのですが、「治せますか?」という質問には「あなたの力で治ります」という答えしかできません。 基本的に、たとえそれが医療上の処置であったとしても、自分の体は他人の力で誰かを治すことはできません。 自分の体は、自分の治癒力で治っていくのです。 医療や整体というのは、その治癒力が働きやすい状態にしていく技術である、と考えています。 では、腱鞘炎は治るのか? という疑問がおきますが、実は、そもそも腱鞘炎でないことがほとんどなんですね。 腱鞘炎とは まずは腱鞘(けんしょう)について説明します。 手や足の指を動かすためには筋肉の働きがあるのですが、筋肉は骨にくっついているんですね。 骨に着く前に、筋肉は腱(けん)という名前の白っぽいスジに変化します。 あの巨人アニメでアニが硬くするところあたりが腱(けん)です。 それで、手の指の足の指の場合、この腱の通り道はトンネルのようなもので覆われています。 このトンネルの名前を腱鞘(けんしょう)、つまり腱の鞘(さや)と呼ばれていて、内部はとても滑りやすい構造になっています。 名前をつけた人はきっと、刀の鞘(かたなのさや)をイメージしたのでしょうね。 この腱鞘が何らかの原因で炎症を起こしたのが、腱鞘炎と呼ばれる病名の正体です。 原因の多くは使いすぎによる腱鞘の磨耗であるといわれています。 手作業を長くしていることで、腱鞘の滑りやすさが減ってきて、摩擦がひどくなり腫れてくるということです。 もし、腱鞘炎ならば、腫れがおさまるまで安静にして手を休めておけば治るはずです。 さて、冒頭のお客さまはどうなったでしょうか? ちょっと戻っていきましょう。 手指の痛みと腱鞘炎の違い 手の指を動かした時に、みなさん「腱鞘炎だと思うのですが・・・」といってこられます。 でも、さきほどの説明の通り、腱鞘炎というのは腱鞘の炎症がある状態です。 炎症がある場合、たいていは指を動かした時に腱鞘の中で「ギコギコ」という雑音がします。腱が内部で擦れる音がするんですね。 結果、冒頭のお客さまは、そのような雑音が出ませんでした。 でも、手関節の8つある骨の関節面を動かすと、痛みは解消しました。 これはどういうことかといえば、このお客さまは腱鞘炎ではなかった可能性が高いということですね。 もちろん、腱鞘炎かどうかを診断するのは医師だけができることです。 しかし、関節を動かすことで、手指を動かした時の痛みが改善されるということは、関節の動きの悪さが痛みをもたらしているということです。 部分ではなく全体で見る ちなみに、手首の関節の動きの悪さというのは、それより中枢側、つまり、肘の関節や肩・肋骨の関節の影響を受けていることがよくあります。 「指が痛い」と「肩がこる」はとても関係が深いんですよね。 体というものは、ひとつひとつのパーツの組み合わせでできています。 それぞれのパーツがしっかり働かなければ体は機能しないしパーツ同士の連携がうまくいかなければ体は機能しないんです。 手が痛いから手だけを見るのではなく、全体との関係性をみていきたいですよね。 筆者プロフィール 川村 浩 かわむら整体院院長理学療法士(国家資格)/3学会合同呼吸療法認定士イネイトホルダー 総合病院で脳血管疾患や整形外科疾患をはじめ、多岐にわたる疾患のリハビリテーションで16年の臨床経験を通して延べ5万人以上の患者に効果を上げる。 またその実績を評価され南米で現地の理学療法士や学生50人に関節機能障害の改善方法を指導する。関節疾患のスペシャリストとして延べ3万人の関節機能改善の治療実績を持つ。海外での治療実績も豊富で800症例以上の疾患を改善させてきた。 趣味は40代から始めたマラソンで、五島の海を眺めながら走るのを楽しんでいる。
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