花粉の飛散量は前年の夏に決まってしまう 花粉症の季節が今年もやってきましたね。今年は花粉の飛散量が多いという予想です。 実は、花粉の飛散量は前の夏(7~8月)に決まっています。この間の気温が高いとスギの雄花がたくさん形成され、その分だけ花粉もできるからです。 今年も、その花粉がそろそろ飛び始めてきました。 花粉症で悩んでいる人は、飛散量のチェックが始まっているのではないでしょうか。 花粉症と名前が付いているくらいですから、花粉の飛散量が気になるのが当然です。 でも、気にして欲しいのはそれだけではないのです。 気温差も見逃せない 花粉症という名前に気を取られていると見逃してしまうのが気温差です。 実は、花粉症が出る条件には気温差も関わっているのです。気温が前日と比べて高い日の方が症状が激しくなります。 原因は体の方にあります。気温が急に上がってくると、体内に熱がこもりやすくなります。 体温調節には大きく分けて2種類あると考えられます。 一つは季節や気候に合わせてゆったりと調節されるマクロ的なもの。 もう一つは、室内や屋外の温度にキビキビ反応するミクロ的なものです。 花粉症と関連性が高いのは、マクロ的な調節機能の方だと考えています。 寒さに対して体温を体内に維持しておこうというマクロな視点のセットポイントがあるため、気温が高くなってくると、熱を体内に溜めすぎてしまいます。これが“熱こもり”のメカニズムです。 花粉は原因とは言えない 体内に熱がこもっただけでは花粉症にはなりません。 こもった熱が頭部や頚部に蓄積し、目、鼻、耳、喉の粘膜を過敏になってしまうことが問題です。 昇った熱が出口を探して、穴である目や鼻の近くでチャンスを待っている状態です。 何かあったら動き出しかねない一触即発な状況です。 そこに花粉などの物質が飛んできて粘膜に入ると、その熱が暴れ出します。これが花粉症です。 このように考えてくると、花粉は、原因ではなく“きっかけ”に過ぎないと言えます。 春が見え隠れする2月頃から始まる花粉症は、「季節性粘膜過敏症」だと考えています。 こうして考える方が攻めの対策がしやすくなります。 本当に対処しなければいけないのは、花粉ではなく熱です。頭部や頚部にこもる熱は粘膜を過敏にしてしまいます。 この熱がこもる原因の一つとして、頚から肩にかけての筋緊張があります。 いわゆる、頚こりや肩こりです。 その緊張部位の中で熱のこもりに深く関わっている所があります。この緊張を緩めることで、熱が下降するルートが確保されて粘膜は鎮まります。 花粉症と慢性鼻炎 季節性の症状であれば、熱の下降ルートをしっかり確保するだけで症状が緩和されます。 しかし、季節を問わない通年性の症状(慢性鼻炎)の場合は、“のぼせ体質”にアプローチしなければなりません。 のぼせには、精神的な緊張や胃腸の調子が深く関わっていますし、女性であれば月経との関係もあります。 呼吸器の主役である肺の調子も見逃せません。 内臓の調子を整えながら、のぼせを抑え、かつ粘膜周辺の熱が降りられるルートを確保しなければなりません。 ですので、改善が見えるまで時間がかかる場合があります。 花粉症のツボ 広く知れ渡っている“花粉症のツボ”のほとんどは目や鼻の周囲にあります。 これらのツボには目や鼻にこもった熱を散らす効果があります。ですので、上手に刺激すると、目の痒み、鼻のズルズルなどの症状を軽くすることができます。 指圧やマッサージでもある程度の効果が期待できますが、鍼を使う方が効果がハッキリ分かります。 ですが、これらのツボで花粉症を治すのは難しいでしょう。 一時的に熱を散らすのが目的ですから、時間が経てば再び熱が集まってきてしまいます。 症状を根本から治そうと思ったら、もう少し踏み込んで行かなければなりません。熱の下降ルートに注目したツボ、そして内臓機能を整えるツボが必要になります。 花粉症に悩む人には共通する体の癖があります。その癖をヒントに私たちは独自のツボを使って成果を出しています。 一般的な鍼を使うこともありますが、現在はシール型の超微細鍼を用いても同等の効果が出せるようになっています。 完全な無痛なので、誰でも気軽に試すことができます。 鍼灸院に行ったことありますか? 「鍼灸」と言っても、やり方は千差万別。鍼灸院によってコンセプトも得意分野も違います。でも、その違いは外からわかりにくいものです。 あなたの鍼灸院を選ぶ時、何を基準にすればよいのか、鍼灸院の腕の違いはどこに出るのかなど、2つの鍼灸院を経営する現役鍼灸師がシリーズでお伝えします。 【これまでのコラム】 Vol.1:『鍼灸でできることを知っておこう』 Vol.2:『鍼のイロハ、灸のイロハ』 Vol.3:『鍼灸院は専門院がおすすめ』 Vol.4:『鍼灸院選びは雰囲気も大切』 Vol.5:『鍼灸院に行く前の心構え』 筆者プロフィール 栗原 誠 鍼灸師 あん摩マッサージ指圧師 鍼灸養気院院長 はりきゅうルーム・カポス代表 ダイエットアドバイザー協会代表 活法研究会副代表 群馬に鍼灸院を構え患者さんと向き合う傍ら、東京の鍼灸院を経営。日本古 来の整体術「活法(かっぽう)」に魅せられ、その叡智を鍼灸の分野に導入。 新たに「整動鍼」を提唱し、プロ向けの技術セミナーを定期的に開催。 また、ブログや業界誌での連載を通じて、情報発信も積極的に行っている。
筆者プロフィール
栗原 誠
鍼灸師 あん摩マッサージ指圧師
鍼灸養気院院長
はりきゅうルーム・カポス代表
ダイエットアドバイザー協会代表
活法研究会副代表
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