TH東洋総合治療センターの外山です。 前回の「子供の不調」のコラムをご覧になった方から、 「参考になりました」「子供に注意を払う機会が増えました」 などのお話しをいただき、記事を寄稿してよかったと思っております。 さて今回は、当センターにも多く来院されている「五感」から負担の掛かる問題についてお話ししましょう。 このコラムをご覧になっている方の多くは、不眠症にお悩みかと思います。 実はその不眠症、「嗅覚」に過敏になっていることが原因かもしれません。 そこでこのコラムでは、不眠症と「嗅覚」の関係性と、その対策をご紹介します。 嗅覚について 嗅覚は五感の中でも、ことに本能的な感覚といえます。 匂いによって危険を察知し、回避する動物がそれを物語っていますね。 また、匂いにより雄雌の分別や求愛行動を起こすことも多いのは周知の通りです。 このように動物の発達した嗅覚は、生命の基本行動に重要な位置を占めると言えます。 動物と比べるとさほど強くない人間の場合でも、匂いは本能的な感覚です。 さて、嗅覚は「匂い」と「香り」の2つに分けることができます。 動物で考えると以下の通りになります。 ・危険を回避する本能と結びつくのが「匂い」 ・種族保存の本能と関わりが強いのが「香り」 これを人間の行動で考えてみましょう。 例えば、物が焦げる匂いを「きな臭い」と感じると、危険を回避する行動とつながり、私たちはカラダや心を緊張させます。 今度は同じ匂いでも「香ばしい」と感じると、危険を感じず、食欲とつながり、カラダや心は自然と緩む方向へと働きます。 心地よい「香り」はカラダと心が緩み、不快な「匂い」には緊張する。 まさに「本能的」な感覚と言えますね! 嗅覚過敏とは何か? 生きていく上で大切な「嗅覚」ですが、時として私たちの妨げにもなるのです。 嗅覚には、全く匂いを感じない「嗅覚鈍磨」と効きすぎてしまう「嗅覚過敏」があるのをご存知ですか? 今回特にご紹介したいのが「嗅覚過敏」。これは、必要以上にニオイに過敏になっている状態を指します。 最近、当センターにはこの「嗅覚過敏」でお悩みの方が多く来院されるようになりました。 ここでひとつ区別したいのが、この症状は嗅覚が「過敏」なのであって「敏感」とは少し違うということ。 「嗅覚過敏」は嗅覚が敏感な人を指すのではなく、”嗅覚に過剰に反応するカラダ”になっている人のことを指します。 嗅覚過敏の大きな問題とは では何故「嗅覚過敏」が不眠症を引き起こすのでしょうか? これには、危険回避の本能と結びつき、カラダを緊張させる「匂い」が深く関わっています。 過敏になっている嗅覚が「匂い」を嗅ぎ分け、私たちのカラダへ次々と緊張の指令を伝えているのです。 まず、私たちがその指令を意識的に行っていたら問題はありません。 意識的に匂いを嗅ぎ分けるとは、一体どういうことなのでしょうか。ここで、ひとつ例を挙げましょう。 1. 物が焦げる匂いを感じる 2. 火事か?と思う 3. ガスの元栓や火の元を確認する こういった行動が、意識的な匂いの嗅ぎ分けとなります。 ここで問題なのは、意識的ではなく、無意識にこの反応がカラダに出てしまうということ。 それで、自分の意思と関係なく緊張状態になっている人が、最近すごく多くなっているということです。 現代社会は嗅いだらけ! 現代は「匂い」の宝庫です。 道を歩けば、排気ガスの匂いが充満し、食品には防腐剤の匂いや添加物の匂い、水などのカルキ臭もそうでしょう。 嗅覚過敏が異常なのではなく、生活に不可欠な空気や水にさえ「匂い」が溢れている状況が異常なのです。 匂いを過敏に嗅ぎ分け続けると、どのようなことが起こるのでしょう。 それは、無意識的に「呼吸を止める」という行動を引き起こしてしまいます。 皆さんは、「呼吸を止める」ことがカラダや心に緩みのない生活を招くことが想像できるでしょう。 そして、緊張によって24時間神経が興奮した状態が続くと、睡眠がとりづらくなってしまいます。 これが「嗅覚過敏」が不眠を引き起こす原因となってくるのです。 気持ちよく眠るには「香り」が重要! こうした、嗅覚過敏によって起こる不眠に対処するためには、過敏な嗅覚に「匂い」ではなく「香り」を感じさせることが大切です。 例えば、自分の周りに好きな香りを置きましょう! 花でもいいし、アロマオイルや香水でも構いません。 ただ、できればカラダには自然な匂いが望ましいと私は思います。 置き場所は、枕元が良いでしょう。 とにかく、安眠にはカラダの緊張を緩めることが重要です。 心地よい「香り」が、緊張したカラダと神経を緩めてくれますよ。 ぜひ、お試しください。 まとめ さて、いかがでしたでしょうか。 今回は、不眠症と「嗅覚」の関係性と、その対策をご紹介しました。 香りだけでは改善されない場合には、緊張を解きほぐす施術が必要となります。 お近くで五感調整できる施術家にぜひご相談いただければ、親身になってくれると思いますよ。 筆者プロフィール 外山 仁 TH東洋総合治療センター 代表B−upセラピストアカデミー 代表 資格:鍼灸師・柔道整復師・整体師 予防医学メンタルヘルス指導士 臨床経験18年。これまで約17万人以上の施術を行う。 多くの担当患者様からのご紹介で近郊だけでなく、全国、海外の患者さんを持ち、 治療院技術指導や美容店舗技術指導も経験。 関連書籍、DVD2本を商業出版でリリース。 女性の為のポータルサイト「マイナビウーマン」や、月間2億PVを誇る 「東洋経済オンライン」などにも記事寄稿。その他、記事寄稿多数あり。
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筆者プロフィール
外山 仁
TH東洋総合治療センター 代表
B−upセラピストアカデミー 代表
資格:鍼灸師・柔道整復師・整体師
予防医学メンタルヘルス指導士
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