出産経験者に多い骨盤トラブル 骨盤臓器脱
骨盤の中には子宮、膀胱、直腸といった臓器が収納されているのですが、それらが膣の外に出てきてしまうのが骨盤臓器脱です。 特に経膣分娩をした女性に多く、スウェーデンのSamuelssonによると44%の方が一生のうちに経験するという報告があります。 しかしこのような症状は恥ずかしさから病院の受診をしない方も多いので、実際の数は統計上より多いと考えられています。 更年期によるホルモンバランスの変化と出産による骨盤底筋の損傷という2つの要因が重なって骨盤臓器脱のリスクが高まります。 骨盤臓器脱の2つの要因 更年期によるホルモンバランスの変化 更年期になるとエストロゲンという女性ホルモンのバランスが変化するため、子宮の張りが無くなり垂れ下がってきます。 また加齢によりコラーゲン量が低下する事も臓器の下垂に影響します。 また慢性の咳、便秘、体重の増加も内臓を押し下げてしまうためリスクになります。 出産による骨盤底筋の損傷 さらに自然(経膣)分娩をした女性であれば骨盤底筋が弱化しているため下がった内臓を支えることが負担となり、骨盤臓器脱を起こすリスクになります。 骨盤底筋というのは骨盤の底に張ってあるシート状の筋肉です。自然(経膣)分娩の場合、出産の際に骨盤底筋は引き伸ばされ、損傷します。 また80%以上の方は骨盤底筋をコントロールしている神経も同時に損傷するので骨盤底筋の筋力はかなり弱くなってしまいます。 このように伸びて損傷し弱くなってしまった骨盤底筋に重力がかかると内臓を支えることが困難になり骨盤内の臓器は下がってしまいます。 特に産後6週は損傷した骨盤や骨盤底筋の傷がまだ癒えていません。この期間に長く立っていたり、歩いたりする事は骨盤底筋に負担をかけ、骨盤臓器脱のリスクとなります。 産後30〜45日は安静にすることが必要 東洋医学ではこの期間、骨盤にストレスを与えることは今後の女性の心身に影響を与え、更年期の症状を複雑化すると言われています。 世界のあらゆる国や地域の伝統では産後30〜45日はあまり出歩かずなるべく横になって生活することが習慣になっています。 キリスト教では「産後感謝式」と呼びますし、日本でも「床上げ」という習慣がありますよね。 産後すくなくとも4週はなるべく立ちっぱなしや長時間歩くことを避けて、重力がかからないよう努めた方がよいでしょう。 またお腹に圧力がかからない様にすることも大切です。 産後の骨盤ケアのため当院に来ている方でも体型を早く戻したくて不適切なトレーニングを行っている方がよくいます。 上半身を起こす腹筋運動などは不適切なトレーニングの一例です。これは弱くなった骨盤底筋に圧力がかかるため、好ましくありません。 出産後に開いた骨盤を閉めようとケアする事も大切ですが、弱くなった骨盤底筋を回復するために負担をかけないこと、リハビリしてもとの張りを戻す事、下がった内臓をあげるなど、複合的にケアしていくことが重要です。 筆者プロフィール 小松吾朗 ココから整体グループ代表 痛い→病院へGO→異常なし→でも痛いです・・・ 皆さんも経験あるのではないでしょうか?痛みや不調をかかえて生きていくのはつらいことです。私はそんな方の役に立ちたくてこの仕事をやっています。医療では対象にならない痛みや不調の原因を追求する仕事です。 臨床で経験したこと学んだこと、書籍やセミナーで学んだことなどを知っていただき改善へのヒントにしていただけたら幸いです。
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