平均体温は酵素が働きやすい温度 前回のコラムで「入浴して体を温めましょう」ということを書きました。 温まることによって体中の血流が良くなるし、老廃物の排出が捗ります。 また、血液を通じて体中に栄養を運ぶことができます。 人間の平均体温は36.5℃~37℃くらいです。しかし現在では35℃台から酷い場合は34℃台の人もでてきていると言われています。 体温が低くなるとよく言われるのが免疫力の低下。 これは体温が下がることにより体内酵素の働きが鈍るからです。 酵素には大きく分けて「消化酵素」と「代謝酵素」があり、免疫力や自然治癒力に関係してくるのが「代謝酵素」です。 この酵素が活発に働くのにちょうど良い体温が36.5℃~37℃。体が温かい=体温が高いというのは、大事なことなんですね。 ちなみに、体温が高すぎても酵素の働きは鈍くなります。 ではそもそも体温があるってどういうことなのでしょうか? 人間は恒温動物 人間は恒温動物です。恒温動物とは簡単に言うと体温を常に一定に保つことのできる動物のことを言います。 そして体温を維持するために、様々な方法で産熱と放熱を行い体温を一定に保とうとします。 例えば寒い時期に震えるという動作。これは「ふるえ産熱」と言って筋肉が無意識に細かく振動することで熱を生み出しています。 筋肉の発熱量は馬鹿にできないもので、横紋筋(ようするに骨格筋)の産熱量は安静時では全体の約25%ですが、筋活動時だと約75%に上がると言われています。 だから運動すると体温が上昇します。体温が上がりすぎると汗を出して気化熱で放熱をします。逆に寒いときは毛穴を閉じたりして放熱を防ぎます。 産熱には他に「基礎代謝(最小限の生命維持活動)」「食事誘発性産熱反応(要するに食事後の消化活動)」「非ふるえ産熱(肝臓や褐色脂肪組織なの働きによる)」「ホルモンの作用」などがあるそうです。 人間というのは産熱と放熱を使って、体温を一定に保つ為ようになっているんですね。 こういった産熱と放熱(特に産熱)が上手くいっていると、36.5℃~37℃の平均的な体温があるという状態になります。 逆に上手く産熱されていないと低体温になり様々な障害がでてきます。一例を上げれば「新陳代謝の低下」「自律神経の乱れ」などです。 「低体温」と「冷え性」 「低体温」と似た症状に「冷え性」というものがあります。 低体温は文字通り〝体温〟が〝低い〟ことを言います。最近多いと言われる体温が35℃台の人がこれに当たります。 対して冷え性は、体温は正常なのに手足が冷たくて実際の温度に関係なく寒さを感じるというもの。 原因はそれぞれで違います。 上にも書いてあるように、「低体温」は生活習慣などの理由で産熱が上手くいっていない場合に起こります。 しかし「冷え性」は産熱は上手くいっているのに、筋力不足や毛細血管の収縮などにより末端へ熱が上手く回らないのが理由であると言われているのです。 低体温にしろ、冷え性にしろ、共通して言えるのは体を温めることの大事さです。 体を温める方法としては前回書いた入浴もそうですし、食事などで冷たいものをさけるというのもあります。 食事と言えば薬膳などで言われている、体を冷やすとされる食材を避けたり、逆に温めると言われる食材を取り入れることも考えられます。 また運動をして筋肉をつけて基礎代謝を上げるという方法もあります。 ですがもう一つ。私が注目したいのは近年なにかと話題の「腸」です。 鍵となるのは腸 腱引き療法には「腸もみ」という施術があります。 「腸もみ」の効果としては色々なものがあるのですが「低体温」や「冷え性」といった症状の対策としても施術します。 ではなぜ「腸もみ」で刺激してあげると「低体温」や「冷え性」の対策となるのか? 個人的には理由は二つあると考えています。 腸の活動が活発になる 一つは腸を刺激することにより、腸の活動が活発になるということ。 腸の活動が活発になるで真っ先に思いつくのは、食物の消化と吸収や排便でしょうか? 消化と吸収ということなら、先に挙げた「食事誘発性産熱反応」による産熱がありますね。 では腸もみなどで刺激を与えれば、食事しなくても消化活動が起こるのかというと……もちろんそんな訳はありません。 自律神経と腸の関係 二つ目は自律神経と腸の関係です。 自律神経とは「循環器系」「消化器系」「呼吸器系」などの機能を監視し調整している神経系のことです。 自律神経には交感神経と副交感神経があり、消化器系は副交感神経によってコントロールされています。 ということは腸は副交感神経によって動いており、腸を調整することで副交感神経に働きかけることができるということです。 なぜ腸の活動が活発になることにより何が変わるのか? なぜ副交感神経に働きかけることで何が変わるのか? 体温と腸の具体的な関係については次回に。 筆者プロフィール 河野 伸幸 筋整流法 専門指導施術師 筋整流法 東広島道場 道場主 350年続く武術流派の活法であった〝腱引き〟。その腱引きの技を元に現代に合うよう改良されたのが『腱引き療法』になります。 お店の名前が道場となっていますが、これは武術の活法が起源であること。また一方的に施術するだけでなく共に学び合う場所、という意味が込められています。 どこに行ってもダメと諦める前に、腱引き受けに来てみんさい!
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筆者プロフィール
河野 伸幸
筋整流法 専門指導施術師
筋整流法 東広島道場 道場主
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